アンダーグラウンドのカリスマの壮絶なドキュメンタリー『THE FOOLS〜愚か者たちの歌』 | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

映画『THE FOOLS 〜愚か者たちの歌』(監督は2015年、『Cu-Bop』でキューバの音楽事情を活写した高橋慎一)を昨日、3月27日(月)に横浜の劇場「シネマ・ジャック & ベティ」で見た。東京での再上映も始まっていたが、気分は黄金町、どうしても同所で見たかった。アンダーグラウンドのカリスマ、アングラの帝王、ロック界の暴れん坊将軍(という呼称はないか)…などの異名を取る彼らを10年かけて肉薄した壮絶なドキュメンタリー。メンバーの病死や逮捕、事件など、音楽以上にお騒がせだが、そんな彼らの歌や音は一級品。業界の忖度や営業、約束とは無縁、孤高ゆえに光り輝く。スキャンダルを超えて、THE FOOLSの凄さを体感する113分間。伊藤耕と川田良を改めてリスペクト。ロックンロールドリームなど、無縁だが、そこには至高のロックがあった。ロックンロールでソウルフルでファンキーな音楽そのものが心に響き、身体を揺らす。映画を見た後、「OH BABY」が頭の中をリフレインする。なんて、純粋で優しいのか――。

 

伊藤の理不尽な獄中死に関しては、この日、急遽、開催された遺族や弁護士による「Dommune」の緊急記者会見を再放送で見る。伊藤が収監されていた北海道・月形刑務所の言動や対応など、あまりに納得がいかない。生きようとする人間に対して、“伊藤、生き返るのか”は無慈悲である。心を亡くしたのは、どっちだろう。

 

いろんな意味で、この国のロックの在り様を考える。ロックとは何かを問いかけると書くと、まるで惹句みたいになるが、インディーズやメジャーなどの枠に留まらず、“自由が最高!”と叫び続け、そのままに活動すれば、どこかで社会や政治に抵触(もしくは衝突)してしまうこともある。彼らはいかに無法者、愚か者と言われても心は捨てていない(時々、記憶が飛ぶことがあったらしい!?)。

 

多くの方に見ていただきたいドキュメンタリーだ。同映画と同時進行で志田歩が書いた『THE FOOLS MR.ロックンロール・フリーダム』(東京キララ社)を予約し、彼らの旧譜を改めて聞き直そう。それにしてもTHE FOOLSを始め、JAGATARA(じゃがたら)やジャングルズ、山口富士夫など、周辺には不穏な空気が漂うが、その音は本物、いまも不滅である。

 

劇場のそばの大岡川の両岸には春の桜が咲き誇る。花冷えだったが、胸が熱くなり、心が温かい。桜を見ていたら、40年以上前だが、オールナイトコンサート(残念ながら場所は覚えてない。学祭だったかもしれない)で、川田良のバンド「午前四時」を午前4時(頃)に見たことをふと思い出した。

 

 

 

1/13(金)公開『THE FOOLS 愚か者たちの歌』予告編

 

 

 

http://thefoolsfilm2022.jp/

 

 

https://www.dommune.com/streamings/2023/032701/