並走してきたなどというと、口幅ったいが、3月30日に刊行された『伊藤銀次自伝MY LIFE, POP LIFE』(シンコーミュージック)の取材時期は、伊藤銀次の少年時代から現在までを語るという大河トーク・イベント<「MUSICIAN FILE Vol.1伊藤銀次 徹底研究 2016」>と被る。同イベントは、2017年のデビュー45周年のキックオフ・イベントとして、2016年2月、3月、4月、6月、9月と連続開催。11月には同イベントのスピン・オフとして、「伊藤銀次 VS 吉田建『伝説の “イカ天 ”から 26年…帰ってきた辛口コンビ~あの時、君は辛かった!』」も開催している。参加された方はご存知かもしれないが、毎回、3時間超えの“話し出したら止まらナイト”状態。気づけば終電間近なんていうこともあった。同イベントは、少年時代からキューン/ソニー時代まで、アルバム『LOVE PARADE』を出したところで、一端、終了となる(私的には休止と考えている)。伊藤の記憶が鮮明で、微に入り細に入りに詳しく話し出すからトークは延々と続いていく。実はトーク・イベントの開催と、自伝のための取材が交互に入ることが多く、常に“予習・復習”状態だから、繰り返すことで記憶も鮮明になり、語りも滑らかになるというもの。
伊藤銀次の自伝を取材、編集したのは荒野政寿。伊藤もイベント中に告白していたが、80年代の英米の最新音楽の教科書にしていたという雑誌『クロスビート』の編集者だ。実際、彼にはイベントへも足を運んでいただいている。
トーク・イベント自体は志半ばで、休止になったが、自伝は当然、キューン/ソニー時代の先も語られている。少年時代から現在まで、すべてを網羅。イベントと自伝は直接、関係ないものの、何か、引き継いでくれたと、勝手に思っている。<「MUSICIAN FILE Vol.1伊藤銀次 徹底研究 2016」>にやり残し感がない(!?)のは、彼のお陰だ。
250ページに及ぶ、大部の書籍で、伊藤の膨大な発言を整理、編纂して、見事に1冊の書籍としてまとめている。編集者、執筆者としての荒野の技量、力業があってこそのものだろう。感服するしかない。同書は伊藤の自伝だが、それは日本のロックやポップスの歩みを照らすものでもある。佐野元春して、「日本のロック史を振り返ると、そこに銀次がいた」と、言わしめる。ごまのはえ~ココナツ・バンクとシュガー・ベイブ在籍時を含む、ナイアガラ・イヤーズから大滝詠一、山下達郎らとの交流、フュージョン、クロスオーバー時代のソロ・デビュー・アルバム『DEADLY DRIVE』、佐野元春のハートランド時代、沢田研二、アン・ルイスのアレンジャーとしての活躍、『BABY BLUE』でソロとして再デビュー、東芝EMIへの移籍、イカ天、バンドブーム、ウルフルズのプロデューサーとしての成功、Facebookでの快進撃、ココナツ・バンク再結成、デビュー45周年アルバム『MAGIC TIME』のリリース…まで、伊藤銀次の歩みと日本のロック、ポップス史がシンクロしていく。伊藤の大河物語を見ながら日本のロックの歴史絵巻をも体感できる。
また、盟友・上原“ユカリ”裕との対談はごまのはえ時代のみならず、アマチュア時代の生々しい話も語られ、不思議な縁で結ばれた二人ならではの空気感に溢れている。いままでありそうでなかった貴重な対談だろう。
さらにディスコグラフィー、提供楽曲、編曲、プロデュース作品などをリストアップした詳細なデータと、同書に登場するアーティストを網羅した索引が便利である。それだけでも膨大な作業だ。ご苦労様といいたい。活用させていただく。
同書とともに昨2017年11月にリリースされた4枚組CDボックス『GINJI ITO POP FILE1972~2017』を併せてお聞きすることをお薦めする。代表曲に留まらず、提供楽曲、プロデュース作品なども網羅している。同作品を聞くと、同書がより立体的に見えてくる(聞こえてくる)。ビートルズの“青盤”“赤盤”ではないが、おまとめ購入すべきだろう。伊藤銀次ファンのみならず、日本のロック、ポップスに興味を持つ者にはマストというべきアイテムである。
また、4月20日に更新されたWEBラジオ番組「伊藤銀次のPOP FILE RETURNS」の第239回のゲストには伊藤をして“オイラの自伝出版を提案してくださりこの大変な作業をモノともせずひたすら発行に向け推進してくださったこの労作の立役者”というシンコーミュージックの荒野政寿を迎えている。「 伊藤銀次のPOP FILE RETURNS 第239回『MY LIFE, POP LIFE』特集~まるで『火の鳥』か『フォレスト・ガンプ』か編~」も聞き逃さないでいただきたい。
www.110107.com/s/oto/diary/detail/2870?ima=1907&cd=radio
さらに5月18日(金)、 dues 新宿で、ディスクユニオンでの購入者特典として、トークショー&ミニライブが開催される。前半のトークショーでは『MY LIFE, POP LIFE』制作のこぼれ話、そして後半はミニライブをお届けするという。これまた、聞き逃せない。
是非、伊藤の生声を聴いていただきたい。『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』の「遅すぎた別れ」での“いやらしい声選手権”(!?)で、1位は伊達ではない。魅惑の声は耳の保養である。
http://diskunion.net/jp/ct/news/article/1/72958?dss_mode=pc
なお、 「MUSICIAN FILE Vol.1 伊藤銀次徹底研究2016」の模様は以下に報告している。
同エントリーから辿っていただければと思う。「MUSICIAN FILE」というテーマで、PART1から5まで、そして吉田建との対談も報告している。ご参考いただきたい。
盛会御礼!「MUSICIAN FILE Vol.1 伊藤銀次徹底研究2016」
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12123018647.html
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