55歳からの“ハロー・フジロック!”Ⅰ | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

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Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

寒中お見舞い申し上げます。遅い新年のご挨拶で申し訳ないが、年末のコンサート・ラッシュに心地良く疲れ果て、年始は気の緩みか、風邪を引いてしまい、寝正月になってしまった。


年頭だから今年の意気込みなどを書きたいところだが、いきなり去年のこと、それも夏のことを書かせていただく。11月くらいに公開を予定していたが、長編ゆえ、なかなか、推敲ができず、先延ばしになってしまった。全文を書き換えればいいのだが、そうすると膨大な作業になってしまい、さらに先延ばしになってしまいそう。“ありのままの掲載”をお許しいただきたい。同文章の“今年”は2014年、“昨年”は2013年、“来年”は2015年になる。そんなことを頭に入れて、読んでいただければ幸いだ。


本来の新春の初日記は、冬休みの宿題ではないが、2014年末に見たライブのことを綴っていく予定である。楽しみにしていただきたい、と、自らにプレッシャーをかけてみる(笑)。



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11月だから当たり前だが、夏は終わった。もう秋も終わり、冬になろうとしている。漸く、夏休みの宿題を終えることができそうだ。


今年の夏は特別だったような気がする。この年齢になって、新しい体験や発見、出会いなどがあるとは思わなかった。


自分には関係ないと思っていた、野外フェスティバルなんて。音楽業界に多少なりとも関わりながら、変な話だが、どちらかというと史料編纂、もしくは聞き取り調査という地味な仕事というか、インドア派なので、ライブハウスやホール・コンサートには行くものの、フェスティバル形式の野外コンサートなどは随分と遠ざかっていた。


記憶が確かなら、映画にもなった『ビート・チャイルド』(1987年8月、熊本阿蘇郡 久木野村〈現・南阿蘇村〉にあるアスペクタで行われたオールナイト・コンサート。BOΦWY、尾崎豊、ハウンドドッグ、ブルーハーツ、レッド・ウォーリアーズ、佐野元春、白井貴子などが出演)以来だろうか。多分、そんなことはないと思うが、あの豪雨の中、夜を超え、朝を迎えた時の感動はいまだに覚えている。


過去の思い出話になるのは恥ずかしい限り。特にいまはフジロックやサマーソニック、ロックインジャパンなど、大型の野外フェスが各地で開催されるようになり、既に10年以上が経ち、夏の風物詩として、完全に定着しているというのに、行ったことも行ってみたいとも思わなかった。


ある意味、浮世離れしているのだろう。特にフジロックなどは、私に近しい人達が関わり、ニール・ヤングやルー・リード、パティ・スミス、スティーブ・ウィンウッドなど、新譜なども比較的チェックする長年、愛着あるアーティストが出演していたにも関わらず行かなかった。勿論、各々の東京公演はちゃんと行っているが、新潟の湯沢町の苗場スキー場(何故か、同スキー場は学生時代にスキー旅行で行っている)という野外、それも新潟という遠隔地であることで敬遠していた。



それ以前にヘッドライナーとして毎年、華々しく発表される海外アーティストに興味がなかったことも関係しているかもしれない。海外のアーティストを聞くことは聞くが、昔から慣れ親しんだクラシック・ロック系のアーティストやスワンプやブルースなどのルーツ・ミュージック系のアーティスト、もしくはそれらを現代的に解釈したアーティスト(私的にはGラブやベック、ダニエル・ラノアなどがそうだと思うが、果たしてあっているか!?)くらい、まったくの偏食である。わざわざ、嗜好品以外のものを見に行くことは億劫に感じていたのだ。


また、野外コンサートを乗り切る体力があるか、そんな肉体的な不安も抱えていた。特に大病をしているわけではないが、『ビート・チャイルド』の時と比べれば、確実に体力が低下している。昨年、東京の夢の島の「ワールド・ハピネス2013」(今年も行きました)も必死の覚悟で行ったくらい。真夏の野外での長時間のライブ、もし酷暑や豪雨になったら、耐えられるか、そんな不安もつきまとっていた。



と、前置きが長くなったが、今年のフジロックは特別だった。行かなければならないという使命感のようなものが生まれていたのも事実。


佐野元春が初めてフジロックに出演する。多分、それだけだったら、行かなかったかもしれないが、『VISITORS』の完全再現ライブであると聞いた時、絶対、見なければいけないという思いが込みあげる。昨年は『SOMEDAY』完全再現ライブを行った佐野だが、同イベントに少なからず、関わらせていただいた。それなら、当時を知るものとして、『VISITORS』完全再現ライブを見ないわけにはいかない。自分勝手な思い込みだが、フジロック行きへと舵取りをする。


そして、ルースターズである。既に復活ライブを名古屋で見たが、マネージャーから<GREEN STAGE>でなければ見れないものある、と、“天使の誘惑”があり、同じように行かないわけにはいかなくなる。


佐野は1日目、7月25日(金)、ルースターズは3日目、同月27日(日)の出演。3日間通しで見るしかない。久しぶりの野外フェスに3日間連続、余計、恐怖心(!?)が増し、不安が込み上げるが、ヤンキーではないが、行くっきゃない、だ。意を決して“フジロック3日間”に参戦(笑)することにしたのだ。


行くことは決意したが、初めてのおつかいや遠足という感じで、フジロック初体験。野外フェスなど、数十年ぶり、わからないことだらけ。フジロックの公式HPを参考にしつつ、「フジロック」、「持ち物」、「交通手段」、「宿泊」などのキーワードを入力し、予め、検索していく。すると、先人達の知恵が披瀝され、行くための“コンパス”や“双眼鏡”が用意されて、迷子にならずに行けそうな気分になる。持ち物などは、服装を含め、具体的に出ているから便利なこと、この上もない。



まず、交通手段は車で行くことにした。今年は岩手・宮古のリアス線開通記念にも車で行っているし、直近ではルースターズの名古屋公演にも同じく車で行っている。長距離運転も慣れたものである。流石、この年齢で電車やバスを乗り継いでいくのは身体に応える。高速を利用すれば、冬季ではないので、大した距離を感じなくて済む。先日も沼田の温泉へ行ったばかり。土地勘もあるというもの。


そして、宿泊先だが、幸いなことに会場の苗場スキー場の側に、家族が契約している会員制のリゾートマンションがあった。それを使用できる。あまり時間はなく、予約は難しいと思っていたが、前日の24日(木)から予約が取れた。もっとも本来であれば、ツインやダブルくらいの部屋で充分なのだが、メゾネットタイプしか、空いていないため、一人で大部屋を占領することになる。部屋がないという方に貸したいくらい(24日は知り合いの事務所の方に利用いただいた)。


さらに持ち物は、野外フェスということで、アウトドア―関係の用具や服装が必要になる。元々、アウトドア―が好きで、登山やサイクリングなどをしていた。そのため、アウトドア―の用具や服装を持っていたが、流石、老朽化しているものも多く、改めて、買い直す。思わぬ、出費だが、何か、買い出しが遠足前気分で楽しい。


酒々井や幕張、阿見など、都内近郊のアウトレットモールのコロンビアやテインバーランド、エイグル、ノースフェイス、モンベル……アウトドア―系のショップを探し回る。


ネットなどでは、雨が降らない日はないといわれるフジロック、雨対策に多くが記述されている。ゴアテックスのレインパーカーやパンツもあったが、マリンメイカーのもので、そもそも数十年前のものだから、防水性も怪しい。ポンチョなどを新たに買い求める。リックなどは、再燃したサイクリング熱 で、数年前にドイタ-のものがあったが、防水のためザックカバーも買う。


靴は奇跡的にダナーのトレッキングブーツがあり、いまだに使用できる状態にあった。バードウッチングの用のレインブーツなどをネットでは薦めていたが、トレッキングブーツと、完全な雨なら開きなおって、濡れるのを覚悟で、サンダルVANSを購入。


パンツなども本来はタイツにハーフパンツなどのトレッキングスタイルがいいのかもしれないが、流石、本格的過ぎで恥ずかしい。ジーンズやチノパンツでは雨対策は不完全なので、コロンビアのトレッキングパンツを買い求めた。


HPなどで必携とあった折り畳み式の椅子も購入。キャンプ用のコンパクトなものだが、椅子がない会場ゆえ、必須とあった。コールマンのアウトレットで手頃なものがセール価格で出ていた。本当にコンパクトなものだが、背もたれもあり、クッション性も充分という、なかなかの優れものである。


あとは防虫用のリストバンドや日焼け止めなども新たに買い求めた。いろいろ、取り揃えていたら、かなりの出費になってしまった。おそらく、使わないものも買ってしまったかもしれないが、どうせ、車である、荷物はいくらでも詰め込める。知らぬ間に荷物が増えていった。



出発は前日の昼前。どうせなら3日間、オープニングから楽しみたい。25日(金)発だと渋滞もあり、遅れてしまい、見逃すなんていう恐れもある。前日から行くことにする。前夜祭もあるという。フジロックをまるごと、堪能してしまおう。味わいつくすのだ!


7月24日(木)の昼過ぎに東京を発ったが、時間にはゆとりがある。関越自動車道をそのまま、走るのではなく、折角なら、17号線を味わうため、埼玉を過ぎ、群馬の手前辺りで高速を降りる。実は、17号を沼田方面へ行くと上州とんかつ街道という上州ポークを使用したとんかつの名店が林立している地帯がある。そこへ寄ろうと思ったからだ。


と、思っていたが、渋川を過ぎたところで、“日本一うまいもつ煮込み”というキャッチフレーズのある「永井食堂」が国道沿いに見えてきた。以前からテレビやネットなどでも取り上げられ、機会があれば行ってみたいと思っていたところだ。予定変更(!?)して、同食堂に飛び込む。いまどき珍しいカウンターだけの国道沿いのドライブインという佇まい。平日にも関わらず、駐車場には車がたくさん停まっている。


店に入ると、もつ煮込み定食を注文。数分もせずに出てくる。もつも普通盛りでも多いが、ご飯がどんぶりに目いっぱいである。特に大盛りと頼んでいるわけではない。普通にお茶碗、三杯分はあるのではないだろうか。


もつは柔らかく、みそ味も甘からず、辛からずで、丁度いい。ご飯が進む。トラック運転手などが好むというのもわかる。満腹感が身体中を駆け巡る。


当初はもつ煮込みを軽く食べ、とんかつもと思ったが、とても無理。沼田はとんかつ街道を通るだけで、スルーさせていただいた。



のんびり、寄り道しながら来たが苗場には夕方前に到着。宿泊先は苗場スキー場に隣接し、部屋の窓からは会場(会場ではなく、入場口のアプローチであることがあとでわかった)も見える。まさに絶好のロケーション。歩いて数分というところで、バスや自転車などを利用しなくて済む。移動の手間もない、好立地に驚く。こんな便利ところを前から使えたのなら、もっと前から行くべきだったとも思う。


今回、同宿する知り合いの事務所の方と合流。会場を目指す。会場の入口は見えるものの、入口までは結構遠く、なかなか、到着しない。漸く入口に辿りつき、入場するも前夜祭会場は、<OASIS>と呼ばれる場所で、苗場食堂などがある。入口から橋を渡り、10分は歩かされる。今日は入場無料。中央には櫓が立ち、主催者の挨拶などやプレゼント大会が行われ、祭り気分を盛り上げる。その盛り上がりが最高潮になるのは、花火が打ち上げられた時。会場は小雨がぱらついたが、夜の空に花火の花が咲く。夏祭りの始まりを告げるときのようだ。


いやが王でも長島でも気分は盛り上がるというもの。会場の周辺には夜店(屋台!?)が並ぶ。川魚など、苗場らしいところか。この日は明日に備え、早めに会場を出る。同宿者と夕食を食することになるが、私の昼食は山盛りだった。空腹はあまりやってこないが、食べておかなければならない。明日に備え体力を蓄える必要がある。



同宿者の知り合いが既に宴会をしているという、ユーミンが苗場に来ると必ず寄るちゃんこ料理屋へ行く。ちゃんこもうまいが、のどぐろや蟹など、日本海の魚介もメニューにあり、山の中で絶品の海産物を食すという嬉しい意外な体験をする。もっとも昼食が残っていて、あまり、箸は進まず、いまにして思えば惜しいが、だからといって暴飲暴食して腹の調子をおかしくしては、長丁場を乗り切れない。そのためにはご法度というところだろう。



こうして、前置きが長くなったが、1日目は漸く幕が切って下ろされる。勿論、本番は明日からである。


※「55歳からの“ハロー・フジロック!”Ⅱ」へ続く