「ピラニア」(1978)

 

ジョーズもどき映画の傑作をAmazonプライムビデオでひさびさに観ました。

 

 

監督はジョー・ダンテ。予告編はコチラ

 

ハイキング中に迷子になった若いカップルが軍事施設っぽいところに不法侵入。すると、プールがあるっていうんで、二人とも裸になってスイミングを堪能。と思ったら、プールにいる何者かに襲われてしまいます。数日後、行方不明となったカップル捜索を依頼された調査員マギー(ヘザー・メンジース)が現地に到着。聞き込みで訪れた川辺のログハウスに住んでいるバツイチ中年男ポール(ブラッドフォード・ディルマン)に現地ガイドをお願いして、近くにあるという閉鎖された軍事施設を訪れます。そこでは、開発を諦めらきれない博士だけが居座っていて、こっそりとある生物の品種改良を行っていました。"ピラニア"です。ピラニアを兵器として海でも生息できるように改良してプールで飼育していた博士。カップルの脱ぎ捨てた服や荷物が施設にあったため、プールの水を勝手に抜くマギー。博士があわてて制止しようとしますが、時すでに遅し。凶暴化したピラニアの群衆が川に放たれてしまいます。

 

ピラニアは川にいる人間たち次々襲いながら下流にあるキャンプ場に向かっています。キャンプ場にはポールの娘がサマーキャンプに参加中。大勢の子供たちが川で戯れているのでキケンです。ポールとマギー軍に連絡して事態を収拾しようとしますが、軍事実験の事実を公けにしたくない軍部は二人を留置所に監禁します。そうこうしているうちに、ピラニア軍団はキャンプの子供たちを襲撃。水を恐れているポールの娘はかろうじて命を取り留めます。一方で、保安官を欺いて脱獄に成功したポールとマギー。娘の安全を確かめた後、ポールはさらに川の下流にあるサマーリゾート施設の観光客たちを避難させようとするも、一足先に到着したピラニア軍団が観光客を襲撃パニック状態は続きます。軍が何もしてくれないならオレがやるということで、ピラニア軍団をある場所に誘導して、撒き散らした硫酸で退治しようと考えたポールの決死の作戦成功するのか・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Piranha」。面白かった記憶はあれど、詳細はほとんど覚えてませんでした。コレだっ!と蘇ったのは、ピラニアが動く時のチョイカワな不気味さがある音。歯科用ドリルの音だそうです。ピラニアの造形(特殊効果担当は当時17才のロブ・ボッティン)のチープさも愛嬌あり。小さくても数で勝負するピラニアの攻撃力は恐るべし。善良な老人も、いたいけな子供も、優しいパパも容赦なし。隠蔽しようとした軍人は死んで良し。あと、主演のブラッドフォード・ディルマンという名前とヒゲ面は覚えていました。ピラニアを世に解放する無責任なヒロイン「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)の次女役だった人なんですね。最初は反発していた2人が危機を共有した後、一夜を共にするシーンはぼやかして描かれていて、濡れ場はなし。ただ、冒頭3分でサラリとオッパイを出して、クライマックスのピラニア襲撃場面でも、どさくさモンタージュの中に乳首をちゃっかり挿入しているところに製作者のロシャー・コーマンらしさが出ています。

 

脚本はジョン・セイルズ。ベトナム戦争用の生物兵器としてピラニアを品種改良していたというもっともらしいようでインチキ丸出しの設定あり。ジョー・ダンテ監督らしい遊び心を感じるのは、「ジョーズ」のゲームで遊んだり、ストップモーションアニメで動くクリーチャーをわざわざ登場させているところ。軍事施設にいた生物は一体何だったんでしょう。そして、昔の映画をTVで観ている場面では「大怪獣出現」(1957)の1シーンが登場。また、軍のプロジェクトリーダーの1人である博士役に、ホラー映画界を代表するエキゾチック美女バーバラ・スティールが出ていたことは今回初めて知りました。なお、本作公開の2か月前に「ジョーズ2」が公開されていて、本家から公開差し止めの訴訟騒ぎになりかけたようですが、スピルバーグが好意的なコメントを寄せたため、無事公開されてそれなりにヒットしたというエピソードがあるそうです。