「テコンドーが炸裂する時」(1973)

 

アンジェラ・マオが韓国で日本人をやっつけるお話を観ました。初見。

 

 

監督・脚本はファン・フェン。予告編はコチラ

 

第二次大戦中の韓国を統治している卑劣な日本人が現地の人をイジメています。横山道場の門弟に追われて教会に逃げ込む韓国人青年キム(カーター・ウォン)もその一人。門弟たちが神父に詰め寄ったところ、突如現れたキムの師匠イ・ジュンドン(ジューン・リー)が事を収めようとします。抗日運動家でテコンドーの達人でもありますが、無抵抗主義を信条としているため、門弟たちの暴力に黙って耐えます。でも、神父の姪でイの弟子でもあるマリー(アン・ウィントン)がガマンできずに応戦して追っ払うことに成功。懲りずに師範クラスの門弟(サモ・ハン・キンポー)を連れてやって来た横山道場に対して、今度は華麗なテコンドーの技で撃退する

 

しかし、事態は悪化して、横山の門弟たちが強引に神父を拉致して拷問。イが協力を求めた中国人女性ホアン(アンジェラ・マオ)も、実家の中華料理店を横山道場の連中に襲われて、母が惨殺されてしまいます。イは神父を救出しようと横山道場に直談判。自分が身代わりになるという条件を提示するも、目の前で神父を殺された挙句、羽交い絞めされて人質になって激しい拷問を受けます。さらに、横山道場は結託している日本軍の協力を得て、キムとホアンを反日分子としてお尋ね者にします。師匠のイを救出するために横山道場へと敢然と乗り込むキムとマリー。そこに遅れてホアンも駆けつけて、横山道場の猛者たちとの最終決戦となって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「跆拳震九州」。英題は「When Taekwondo Strikes」。"九州"というのは中国全土という意味らしく、テコンドーが全土を震撼させるといったニュアンスのタイトルでしょうか。いつものごとく、民衆を困らせている極悪な日本人を退治するパターン。「ドラゴン怒りの鉄拳」のセットを使い回ししてるようで、道場の名札に見覚えがあります。前年の「女活殺拳」とスタッフ・キャストが被っていて、本作の舞台はずっとソウルのまま。韓国の抗日運動家の闘いがメインですが、アンジェラ・マオ演じるソウル在住中国人が助っ人として参戦。横山道場のボス横山を演じるのは風間健。ホアンの母を殺す日本人部下がサモハンで、スケベだけど道場で一番強い存在がウォン・インシク

 

実質的な主演は、本作が唯一の映画出演となるジューン・リー。"米国テコンドーの父"と呼ばれる人物で、旧知の仲だったブルース・リーの紹介で本作に出演したとのこと。ただし、俳優志望じゃないため、戦ってる時以外の演技はぎごちないです。体の作りやキレはさすが。縛られていた柱を根性でぶち壊して風間健ウォン・インシクをぶちのめします。彼とアンジェラ・マオウォン・インシクのスタントが見どころです。なお、カーター・ウォンと共に弟子を演じたアン・ウィントンは、実際にジューン・リーのワシントンの道場でテコンドーの黒帯を獲得した弟子で、本作で映画デビュー。その後のキャリアはブルース・リーの伝記映画に出演したのみで、夫に殺されて30代前半で亡くなられたそうです。あと、カンフー映画のお店の旦那役などでちょくちょく出てくるこの人の名前が曾楚霖(チャン・チョーラム)だということを覚えました。