「007 黄金銃を持つ男」(1974)

 

シリーズ第9作をAmazonプライムビデオで観ました。

 

 

監督はガイ・ハミルトン。予告編はコチラ。小堺一機の解説はコチラ

 

バツグンの殺しのテクニックを持つ殺し屋フランシスコ・スカラマンガ(クリストファー・リー)乳首が3つあることしか知られていない正体不明の男で、007をいつか倒すことを夢見ています。ある日、英国諜報部に007と刻印された黄金の銃弾が届きます。「黄金銃を持つ男」と呼ばれているスカラマンガからの挑戦状だと受け取って、自ら調査に乗り出すボンド(ロジャー・ムーア)。ベイルートで黄金の弾丸を美女ダンサーから奪って、製造元のマカオを経由して、助手メアリー(ブリット・エクランド)の情報を元に、スカラマンガの愛人アンドレア(モード・アダムス)を捕まえます。銃弾を送りつけたのは、スカラマンガと別れたいと思っているアンドレアの仕業でした。続いて、スカラマンガを装って香港の大物ハイ・ファットに接触して情報を収集しますが、先回りしたスカラマンガが待ち受けていました。

 

ハイ・ファットを始末して逃げ切ることに成功したボンドは、とりあえず、アンドレアとイチャイチャしてから、スカラマンガが向かったというバンコクに飛びます。スカラマンガは太陽光エネルギー変換装置『ソレックス・アジテーター』を所有していました。アンドレアは盗み出したソレックスをボンドに渡そうと試みるも、キックボクシング観戦中スカラマンガが現れて、彼の部下ニック・ナック(エルヴェ・ヴィルシェーズ)の銃弾に倒れます。同席していたボンドはソレックスを助手メアリーに預けてスカラマンガを追いますが、アンドレアがスカラマンガに拉致されて、特製飛行機でトンズラされてしまう大失態。で、中国あたりの孤島に連れ去られたメアリーを救出しに行くと、待ち受けていたスカラマンガはものすごいエネルギーを作り出す秘密基地に案内して、世界の電力を思いのままに操る野望をボンドに自慢しはじめます。そして、決闘を申し込んで、最終対決となるのだが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「The Man with the Golden Gun」。この年の世界興収第4位。今回の敵はスペクターのような悪の組織ではなく、打倒007に執念を燃やすプロの殺し屋。黄金銃を持つスカラマンガを演じるのは、原作者イアン・フレミングのいとこでもあるクリストファー・リー。ジャンルムービーで活躍した知的な英国紳士で、リアルな英国諜報部員にいても違和感のない雰囲気があります。ニック・ナックとのコンビネーションもGOODで、クレージーな悪党がサマになってます。香港パートでは、ボンドの調査に協力するヒップ中尉で登場するスーン=テック・オーも印象的。あと、ボンドにたまたま出会って追跡劇で巻き込まれるおじさんペッパー保安官を演じるクリフトン・ジェームズ。前作に続いてのコメディリリーフでの起用だったことを今さらになって知りました。頑固者の保安官のパブリックイメージまんまの風貌が愛らしく、有名な娯楽作にたくさん出演してた俳優さんなんですね。

 

ボンドガールはモード・アダムスブリット・エクランドスカラマンガの愛人稼業に嫌気が差してボンドに協力して殺されてしまう前者と、ボンドの助手だったのに拉致されてから孤島生活をエンジョイする後者。後者は押してはいけないボタンお尻で押してしまって、大変なことになるアホな展開になりますが、キュートだから良しとしましょう。当時はピーター・セラーズと結婚していたようです。ラストでハッピーエンドかと思いきや、もう1度バトルになる展開もあり。ライターを組み立てて作る黄金銃が超カッコいいガジェットだと感じたことを思い出しました。しょーもないBGMでも有名なアクロバティックなカースタントも昔観た時はオーっと思いました。あと、相撲取りオブジェ空手家との争いカンフー使い(女子高生)鏡の間での戦いなどのシーンでは、前年にヒットした「燃えよドラゴン」の影響がちらほら見られますね。奇抜な小ネタの数々が楽しい一品ではございました。