「007 私を愛したスパイ」(1977)

 

シリーズ10作目をAmazonプライムビデオで観ました。

 

 

監督はルイス・ギルバート。予告編はコチラ。荻昌弘の解説はコチラ

 

核ミサイルを搭載した英国海軍の原子力潜水艦とソ連海軍の原子力潜水艦ポチョムキンが突如消息を絶ってしまいます。オーストリアのアルプスで美女と楽しんでいたところに襲ってきたソ連スパイスキーで逃げながらぶっ殺した後、ボンド(ロジャー・ムーア)エジプトのカイロに行って事件のカギを握る人物に接触。ソ連KGBが誇る美女スパイ"トリプルX"こと、アマソヴァ少佐(バーバラ・バック)も同じ目的でやって来ます。接触した人物はある黒幕が送り込んだ暗殺者に始末されて、二人も襲撃されたため、現地で協力することになります。東西に分かれた敵でありながら、共通の敵を持ったことでいい雰囲気になったボンドアマソヴァ一夜を共にしようと思って油断した隙に眠らされてしまいます。

 

その後、現地にやって来たMたちに会うと、KGB幹部と一緒にいるアマソヴァがいました。英国とソ連がタッグを組んで、共同で捜査することになった二人。黒幕の正体は大富豪でもある海洋学者のストロンバーグ(クルト・ユルゲンス)で、カイロで戦った暗殺者ジョーズ(リチャード・キール)も彼が送った刺客でした。ストロンバーグは大型タンカーから怪信号を発信して、機能不全に陥った原子力潜水艦を捕獲。海洋に浮かぶ秘密基地アトランティスを拠点にして、ゲットした核ミサイルで東西各国に攻撃しようとしていました。彼氏だったスパイボンドにアルプスで殺されたことを捜査途中に知ったアマソヴァは、任務終了後にはお前を殺すとボンドに宣言。美女に殺されるリスクを背負いながら、世界危機を救おうとするボンドの運命は・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「The Spy Who Loved Me」。原作小説とは全く違う映画オリジナルの脚本。この年の世界興収4位で、シリーズ最大のヒットを記録。大がかりな予算で作られたコント風のアトラクション映画という独自の世界観では敵なしの地位を驀進している頃だけに、雪山ピラミッド水中などのインスタ映えする場所で、スケールアップした様々な仕掛けを駆使して大げさに立ち回るボンドが堪能できます。水中に潜ってから潜水艦に変身するボンドカー(ロータス・エスプリ)がカッコイイと思った少年時代を思い出しました。本作の敵は金持ちの学者で、海を愛するあまり、海の楽園を作って、地上は全部破壊してしまえと思っている風変りなおっさん。ボンドガールはバーバラ・バック。前半でヤリ手のスパイであることを見せつけていたアマソヴァ少佐も、後半以降のいざという勝負どころでは、露出多めの衣装うろついてるだけの飾り物として活躍。目力が強くてスタイルがセクシーなバーバラ・バックは実業家と離婚した後、リンゴ・スターと再婚しています。それと、ジョーズと呼ばれる図体のデカい殺し屋を演じるリチャード・キールがとても印象的。見た目が特殊な悪役を配置するのも、007あるある。

 

以下は、IMDBトリビアで気になった記述。ガイ・ハミルトンが続投して監督する予定だったのが「スーパーマン」(1978)を監督するために辞退。でも「スーパーマン」も降板することになったこと。本作の監督候補として、スピルバーグが検討されていたこと。ボンドガール候補として、カトリーヌ・ドヌーヴ、ドミニク・サンダ、マルト・ケラーが挙がっていたこと。本作にジェットスキーが登場したことによって、世界的に知られる存在になったとのこと。ロジャー・ムーアが撮影前に若返り用の整形手術をしたこと。エルヴィス・プレスリーが生前に観た最後の映画でもあること。エンドクレジットで次回作は「ユア・アイズ・オンリー」だとクレジットされてますが、SF映画ブームの余波を受けて、「ムーンレイカー」に変更された経緯があること。