「エクソシスト ビギニング」(2004)

 

名作ホラーの前日譚をNETFLIXで観ました。初見。

 

 

監督はレニー・ハーリン。予告編はコチラ

 

第二次大戦末期、神父から考古学者となっていたメリン(ステラン・スカルスガルド)。ドイツ占領時のオランダでナチス将校に民間人虐殺の片棒を無理矢理担がされたことがトラウマとなって、聖職を捨てた過去があります。滞在先のエジプトで古美術収集家のエージェント(ベン・クロス)に依頼されたメリン。アフリカ東部のキリスト教会の発掘作業に立ち会って、そこに眠る彫像をGETしてほしいという内容。イギリス軍が指揮する考古学発掘隊には、教皇庁から派遣されたフランシス神父も同行。まだキリスト教の布教活動がされてない5世紀に建設されたという教会の秘密を探るのが目的。現地人がコキ使われている発掘現場には女医のサラ(イザベラ・スコルプコ)がいて、美人ぶりにちょっと目を奪われるメリン。

 

発掘途中の教会にあったのは、ルシファーの壁画と逆さに吊るされた十字架。キリスト教への冒涜でしかない建造物におののくメリンとフランシス神父。地下には魔神パズズ像が祭られていました。"パズズ"といえば、シリーズにおける悪魔の象徴です。その像を発見以降、教会付近でハイエナに子供が殺されたり、殺人事件が頻発。ちょっと前まで現場責任者だった博士が発狂して精神病院にいるというんで聞き込みに行くと、いきなり自分の喉を斬り裂いて自害します。数十年前に悪魔が現れて地元住民が全滅した過去がある土地であることを知ったメリン。発掘作業によって封じ込められていた悪魔が復活、人間に憑りついて惨事を巻き起こしている様子。フランシス神父も女医サラもヒドイ目に遭います。メリンは神への信仰を復活させて、悪魔との正面対決に挑むのだが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Exorcist: The Beginning」。製作から完成までにいたるエピソードの方が映画よりも面白いくらいで、三人目の監督レニー・ハーリンが完成させたのが本作。ゴールデンラズベリー賞の最低監督賞と最低リメイク及び続編賞にノミネートされましたが、惜しくも受賞ならず。1作目にあったパズズ像を発掘している現場で実際に起きていたことを含めたメリン神父の過去が描かれています。神を信じられなくなっていたメリンが悪魔との対決で再び信仰を復活させる話で、(いつまで経っても名前が覚えられない)ステラン・スカルスガルド演じるメリンがいつもの深刻顔で教会の謎を突き止めようと孤軍奮闘。悪魔が人を操って殺人行為に及んだり、周りの物をぶっ壊したり、いろいろと暴れますが、面と向かって聖書の文言をブツブツ唱えるとギャーッとなって消滅してくれるので、カンタンな敵ではあります。

 

シリーズを通して退治する方法は結局同じなので、そこに至るまでの心理や忍び寄る恐怖、どんな化身でビックリさせるかといった描写がカギなわけですが、そこそこの物量作戦で大変なことが起きてる感は出てるものの、ゾクゾクと怖がらせる演出ではなく、ちょっとしたアトラクションを楽しんだ程度の内容になってるくらいの印象です。メリルが戦時中に体験したナチスドイツの残虐性、地元住民を無視して教会の発掘作業を力ずくで実行するイギリス軍の横暴といった人間が持つ邪悪な要素と悪魔の存在を1つの作品に盛り込んで何を表現しようとしているのかがピンと来ないまま、映画は終わりました。撮影は名匠ヴィットリオ・ストラーロ。さすがという仕事ぶりは感じません。他には「炎のランナー」のベン・クロスを久々に見たなあということ以外は忘れてしまうだろう本作のことはおいといて、10月には1作目のエレン・バースティンがシリーズに復帰するリブート作がいよいよ公開。リンダ・ブレアも撮影に参加したという情報もあります。こちらがどんな出来になっているかに期待したいです。