「エクソシスト3」(1990)

 

原作者が挑んだホラー古典の後日譚をU-NEXTで観ました。初見。

 

 

製作・原作・脚本・監督はウィリアム・ピーター・ブラッディ。予告編はコチラ

 

1990年、ワシントンD.C.のジョージタウン。黒人少年が無残な死体で発見されます。担当のキンダーマン警部(ジョージ・C・スコット)は、15年前に解決した双子座殺人鬼事件とソックリの犯行に驚愕。警察しか知らない手口の細部が全く同じであり、そもそも、犯人はもう死刑執行されています。続いて、教会の懺悔室でカナバン神父で殺害されます。やはり、同じ手口。次はキンダーマン警部の親友ダイアー神父(エド・フランダース)が入院先の病院で殺害されます。こちらは別のやり口による酷い死体で発見。やがて、三人の被害者には15年前のリーガンの悪魔祓い事件との関連性があることに気づいたキンダーマン。キンダーマン自身も当時の事件を捜査する担当者でした。

 

その後、病院の精神科病棟に双子座殺人鬼は俺だと名乗る患者がいることを知ります。15年前から隔離病棟にいる患者に面会して、またしても驚愕するキンダーマン。15年前にリーガンを助けて、自らの命を落としたカラス神父(ジェイソン・ミラー)とソックリではありませんか。患者本人(ブラッド・ドゥーリフ)の姿カラス神父の姿にコロコロ変えて、キンダーマンを困惑させます。看護婦を遠隔操作で殺害してみせても、まだ彼の犯行であることに懐疑的なキンダーマンに向かって、自分はご主人様(悪魔)の命令でリーガン事件の関係者への復讐のため、病院内の精神病患者に憑りついて殺人行為をさせていることを告白。さらに、キンダーマンの娘を殺害しようとします。キンダーマンは悪魔祓いの神父の力を借りながら、隔離病棟で殺人鬼(悪魔)との最終対決に挑むのだが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「The Exorcist III」。連続猟奇殺人鬼が絡むサイコサスペンスと悪魔祓いのオカルトがミックスされた良作でした。原作には悪魔祓いの神父は登場せず、「エクソシスト」(1973)とは独立させた作品として公開する予定でしたが、商業的理由から第三弾として製作された経緯があるそうです。そこで、1作目でカラス神父を演じたジェイソン・ミラーを使ってカラス神父のパートを再撮影、悪魔祓いの神父のキャラも追加させて改変したとのこと。もともとの構想と違った作品になったことは残念かもと思いつつ、ジェイソン・ミラーが再登場する展開に変わったことはシリーズファンにとっては良い結果となったのではないでしょうか。悲しげな表情一発で、名作の1作目と本作を接続してくれます。シリーズ中、最も不幸な目に遭ったのはカラス神父なのかもしれません。ブラッド・ドゥーリフが一人二役演じたバージョンは米国版ブルーレイに収録されていて、YouTubeにUPされていますね。悪魔の使いである双子座殺人鬼を演じたブラッド・ドゥーリフは、不幸で不気味な男を演じさせたら天下一品なので、ここでもいい芝居をしています。ジョージ・C・スコットのどっしりした存在も安定感バツグン。

 

殺人鬼が死体にかなりヒドイ処理を施しますが、ゴアシーンは見せずにセリフだけで観客に想像させる手法をとっています。急に襲いかかったり、大きな音を出して驚かせるジャンプスケアを効果的に使っていて、3回ぐらいギョギョギョっとなりました。具体的にはこのシーンと、このシーンこのシーン。怖がらせる場面で的確な演出がなされている点は出色。小ネタをメモしておくと、キンダーマンが親友ダイアー神父とおっさん同志で観に行く映画は「素晴らしき哉、人生!」。あと、キンダーマンが見る天国の夢のシーンでは、サミュエル・L・ジャクソンやNBAプレーヤーのパトリック・ユーイングが出ていました。

それと、ダウン症患者の子供さんのことを"モンゴロイドベイビー"と呼んでいたのは気に障りましたね。