「ディメンシャ13」(1963)

 

コッポラの監督デビュー作のホラーをU-NEXTで観ました。

 

 

脚本もフランシス・コッポラ。予告編はコチラ

 

アイルランドの古城。ここに住む金持ちのハロラン家には男兄弟が3人いて、もう一人、娘のキャサリーンがいたのですが、幼少時にで溺死したという暗い過去があります。それ以来10年以上喪に服し続けている母親。父親はすでに死んでいて、恋人のいる長男リチャード、彼女いない歴が長そうな三男ビリーはずっと古城で暮らしています。アメリカ在住の次男ジョンもアメリカ人妻ルイーズを連れて、キャサリンの命日のセレモニー参加のために帰省していました。ナオミ・ワッツ似のルイーズ(ルアナ・アンダース)は、母からの生前分配をひそかに狙っています。ところが、ボートでジョンとデート中に持病の心臓に異変が起きて、発作を起こして急死してしまいます。夫がいないと財産をもらう権利を失くしてしまうため、ルイーズはジョンの死を隠蔽、NY出張に行ったと偽装して、ジョンの死体は池に投げ捨ててしまいます。


義母が迷信深いことに目を付けたルイーズは、自分には霊能力があってキャサリンの亡霊と会話ができると嘘をついて、義母に取り入ろうとゴマすりを開始。少しでも自分の懐に入る財産を増やそうとする計算でしょうか。真夜中に池に潜って小細工を仕掛けようとしたところ、今度はルイーズが何者かに斧で惨殺されてしまいます。ジョンとルイーズ夫妻が行方不明になったことを知って、ハロラン家の異変に気づいた主治医ケイレブ(パトリック・マギー)が、誰にも頼まれていないのに事件の真相を探り始めます。長男も三男もどこか挙動不審で、事件を起こした張本人じゃないかと疑い始めるケイレブ。その後も隣人が殺されて、母親も襲われたりもしながら、長男リチャードが恋人と結婚式を挙げた当日、とうとう真犯人が明らかになって・・・というのが大まかなあらすじ。
 

"ディメンシャ"とは認知症の意味のようです。それに不吉な数字13をくっつけたタイトルは原題と同じ。のちに大監督のデビュー作であることだけに価値がある作品かな。モノクロの怪奇映画風の雰囲気はなかなか良いです。エンディングは不気味。アイルランド等でのロケで「栄光のレーサー」(1963)を撮影したロジャー・コーマンが、余った制作費でもう1本別の映画を作っちゃえというんで、門下生のコッポラにわずか9日間で作らせたのが本作。そのため、出演者も流用。知っている俳優さんは、キューブリック映画にも数本出演しているパトリック・マギーぐらい。IMDBトリビアによると、リチャードの恋人役のメアリー・ミッチェルは、コッポラ作品の裏方として本作以降もずっと付き合いがあった模様。第二班監督にはジャック・ヒル美術スタッフ(セット・ディレクター)に参加していたエレノアが本作で出会ったコッポラと結婚したおかげで、ソフィア・コッポラが生まれます。