「アウトサイダー」(1983)

 

コッポラ監督の青春映画がU-NEXTに追加されてたので観ました。懐かしい。

 

 

配信されていたのは劇場公開版(91分)ではなく、ディレクターズカット版の113分。予告編はコチラ

 

1960年代中盤のオクラホマのタルサが舞台。貧困層の「グリース」と富裕層の「ソッシュ」の2つの対立する不良グループ。「グリース」のリーダー格は施設帰りのダラス(マット・ディロン)で、他のメンバーは喧嘩っ早いツー・ビット(エミリオ・エステベス)、陽気なスティーヴ(トム・クルーズ)、小柄なジョニー(ラルフ・マッチオ)、内気でポニーボーイ(C・トーマス・ハウエル)など。恵まれない環境で行き場のない不満をそれぞれに抱えながらも仲間とつるんでいた彼らは、マイカーを乗り回す「ソッシュ」の金持ち連中とはいつも小競り合いをしています。この映画では、そんな彼らに起きたあるエピソードをポニーボーイの視点で描いています。

 

交通事故で両親を失ったポニーボーイは、ダリー(パトリック・スウェイジ)ソーダポップ(ロブ・ロウ)の兄二人と暮らす13才の少年。グループ最年少ゆえに、「ソッシュ」のメンバーから真っ先にイジメられる存在。ある夜、空き地で野宿していたジョニーといたところを「ソッシュ」メンバーに襲われて、リンチをかけられたポニーボーイを助けるためにジョニーが「ソッシュ」のリーダーボブ(レイフ・ギャレット)刺殺してしまい、ダラスの手引きで少し離れた町の古い教会身を潜める二人。数日後、様子を見に来たダラスと共にドライブしている間に、教会が火事になっていて、たまたま教会に野外学習に来ていた地元の小学生が取り残されていたのを見て、三人は燃える教会の中に突入してチビッ子たちを救出その英雄的行動を称えたニュースがタルサ中に知れ渡ります。先日の刺殺事件も正当防衛だと認められそうな情勢でしたが、救出事件で重傷を負って、瀕死の状態に陥っているジョニー。今回のイザコザの決着のケリを付けるために決闘をした両グループ。軍配はグリースに上がって、ダラスとポニーボーイは病室に駆けつけて勝利の報告をしますが、ジョニーは息を引き取ります。ジョニーの死に動揺したダラスは、銃弾の入っていない拳銃を持って衝動的に強盗をしてしまい逃走、包囲された警官たちに銃口を向けるのだが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

S・E・ヒントン(チョイ役で出演)が18才で発表したYA(ヤング・アダルト)小説のベストセラーの映画化。「ランブル・フィッシュ」(1983)でも原作・脚本としてコッポラとタッグを組んでいます。両方に主演したマット・ディロンは一躍若手スターに。他のキャストたちも含めた若手俳優陣YAスター(ブラット・パック)と呼ばれて、1980年代を象徴する存在になりました。「ソッシュ」側のガールフレンドであり、「グリース」側にも理解のある美女チェリー役でダイアン・レインも出演。暴走する青春を生々しく描いてるというより、一昔前の若者をノスタルジックにゆったりと描いています。「風と共に去りぬ」(1939)を意識している点があるらしく、ポニーボーイが読む本に出てきたり、時折挿入されるロングショットにそれらしい気配を感じます。青春映画の古典として作ろうとしている感じで、スティーヴィー・ワンダーの主題歌「Stay Gold」もそんな雰囲気を醸成しています。この後に一時代を築いた俳優たちの青春時代が刻まれている映画として貴重な作品。

 

他には、ダラスがたまり場にしているバーの店員役でトム・ウェイツが出演。赤ちゃんの頃から父親の映画に出演させられているソフィア・コッポラはここでもチョイ役で出ています。IMDBトリビアによると、「グリース」側にはボロボロの台本を渡してショボいホテルに泊めて、「ソッシュ」側には革製の台本を渡して豪華なホテルに泊まらせて、両グループに緊張感を生み出そうとしていたそうです。ポニーボーイ役にはヴァル・キルマー、ダリー役にはデニス・クエイド、ニコラス・ケイジ、ミッキー・ローク、ジャド・ネルソン、チェリー役にはサラ・ジェシカ・パーカー、ブルック・シールズ、ヘレン・スレイターが候補に挙がっていた模様。また、序盤のドライブインシアターで彼らが観ている映画は「Beach Blanket Bingo」(1965)という映画とのこと。