ナターシャ・ロマノフに焦点を合わせたMCU作品をU-NEXTで観ました。
監督はケイト・ショートランド。予告編はコチラ。
1995年の米国アイオワに住むナターシャ(エヴァー・アンダーソン。ポール・W・S・アンダーソンとミラ・ジョヴォヴィッチの娘)は、父のアレクセイ(デヴィッド・ハーバー)、母のメリーナ(レイチェル・ワイズ)、妹のエレーナとの4人暮らし。ある日、突然、S.H.I.E.L.D.が襲ってきたので、隠していたセスナ機でキューバへと逃げ込みます。彼らは、ロシアのスパイとして米国に潜入していた偽装家族だったことが分かり、ミッションを終えた4人はバラバラに。それから年月が経った2016年。アベンジャーズの分裂後、ナターシャ(スカーレット・ヨハンソン)は反逆者として米国政府から追われる身となっていました。潜伏先のノルウェーで何者かに襲われた理由が、妹エレーナから送り付けられたブツ(合成ガス)を狙っての犯行だと分かったナターシャはエレーナ(フローレンス・ピュー)がいるブダペストで再会。自分を狙った刺客はレッドルーム(ナターシャが育てられたスパイ養成機関)が仕向けた"タスクマスター"という相手の動きを完コピして戦闘能力をブーストする強者であること、かつて殺害したはずのドレイコフ将軍(レイ・ウィンストン)がレッドルームの支配者としていまだ健在であることを知ると、エレーナとたった二人で組織を倒すことを誓い合います。そして、組織の所在を知るであろうアレクセイとメリーナに会いに行って、20年ぶりに揃った4人の偽装家族。彼らは力を合わせて、レッドルームを壊滅することはできるのか・・・というのが大まかなあらすじ。
シリーズの全てを観てないMCU弱者のため、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019)の感動もファンの方々の数十分の一しかなかった経験から、フェーズ4の映画第一弾の本作からはちゃんと観ていこうかなと思っています。ブラック・ウィドウ単独の主演作は初めて。2020年5月1日日米同時公開予定がコロナ禍の影響をモロに受けて、2021年7月9日(日本では7月8日)に延期となりました。ラスボスはドレイコフ。ソ連時代から続くレッドルームを発展させた私設組織を率いて、世界中の少女を誘拐して女性暗殺者ウィドウを作り出しています。4人家族が米国潜入時に人間の自由意思を操る技術を盗んだことにより、それを利用してドレイコフの指示通りにウィドウ達が世界を暗躍する恐ろしい状況が本作のベース。
女性を戦いの道具として利用する組織から解放する役目を担うのがナターシャとエレーナ。敵の実働部隊は、ほぼ女性。味方側も父のアレクセイが唯一の男性ですが、ほぼ役立たずの元ソ連製のヒーロー。実質的には女性同士の戦いです。スパイアクション映画の定型を取りながらも、007シリーズ等に見られるような、女性(たいていはブロンド美女)をセックスアピール要員として登場させるような古臭い描き方だけは更新しようという意図が明確に見られます。女性の解放というマジメなテーマを内包しながら、ユーモアを絶妙に織り込んでいて、ハデなアクションは見せ場だらけで、さすがMCUクオリティ。
特に、姉妹を軸にした偽装家族間での皮肉多めのやりとりが楽しく、家族モノのコメディドラマとして非常に秀逸。まず、アレクセイ役のデヴィッド・ハーバー。ランディ・バースをハリウッドで映画化したら、この人が最有力候補といえるような風貌でうざい親父キャラを好演。淡々とした科学者気質のメリーナ役のレイチェル・ワイズは4人の中ではおとなしめ。ナターシャ役のスカヨハが大黒柱として物語を引っ張っている活躍はもちろんですが、面白さに一番貢献しているのは、エレーナ役のフロピュー。姉ちゃんのいつもの決めポーズを茶化すやりとりを始めとしたヤンチャな妹感が最高です。ストーリー進行がゆったりとしてる本作ですが、4人のアンサンブルが優れているため、ダレる時間帯がありませんでした。芸達者な彼女が新しいアベンジャーズの一員になるとのことで、今後の活躍に期待したいところ。ですが、いるだけで華を感じるスカヨハの代わりとなる色気のある女性スターが一人出てきてほしいなと個人的に思います。