「三大怪獣グルメ」

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「三大怪獣グルメ」(2020)

 

鬼才河崎実監督の怪獣映画をU-NEXTで観ました。

 

 

巨大化したシーフード怪獣との対決を描いたグルメ映画です。

 

超理化学研究所の田沼雄太(植田圭輔)は生物を巨大化させる"セタップZ"を開発中に研究費の使い込みでクビになり、実家の寿司屋でバイトをしています。ある日、田沼の出前中の寿司が行方不明になり、しばらくして、寿司ネタのシーフードは巨大怪獣となって東京に出現。日本政府は三体の怪獣をタッコライカラカニーラと命名。怪獣撃退のため、SMAT(Seafood Monster Attack Team)を結成します。

 

超理化学研究所のエリートで田沼のライバル彦馬(安里勇哉)発案の"酢砲"により、酢の成分で怪獣を弱体化させることに成功しますが、完全撃破はならず。ただ、怪獣の切れ端を調理したら美味であることに気づいたSMATは、怪獣を国立競技場に誘導、競技場を器に、怪獣を具にした巨大海鮮丼にして食べてしまおうという壮大な作戦を決行するのだが・・・という一大スペクタクルロマンです。

 

セタップZはもともと食糧危機を解決するために研究されていた技術であり、そのセタップZを完成させて悪事に利用して怪獣を生んだのは誰なのか、その目的は何なのかというサスペンス、SMATのマドンナ(吉田綾乃クリスティー)をめぐる田沼、彦馬の恋の争奪戦を展開していきながら、SMATが怪獣を海鮮丼にすることができるのかというクライマックスまで、特に緊張感もなく、ニヤニヤしながら楽しんで観ることができる一品でした。

 

SMATの司令官役は木之元亮。怪獣の味を絶賛する彦摩呂や、カンペをチラ見しながら怪獣料理のナイスな味を解説するシェフ村西とおる等、友情出演的なゲストが続々と出演しているのも見どころです。岩下食品とニイミ洋食器店が協賛しています。これはストーリーの大事なオチとなりますが・・・、実在するニイミ洋食器店ビルの巨大シンボルニイミ財閥の御曹司(横井翔二郎)の操縦するジャンボコックとなって、三大怪獣を倒すための秘密兵器となります。

 

バカげたストーリーだと思いましたが、公式サイトの監督コメントによると、『円谷英二監督が盟友・犬塚稔監督と戦前に企画していたという大ダコ映画の話を私は知り興奮しました。それは、大ダコが日本を襲い、国軍が「酢鉄砲」で倒し、酢ダコにして食べて終わるという、笑撃の内容でした。もしこれが「ゴジラ」より先に製作されていたら、日本怪獣映画の歴史は変わっていたでしょう。タコこそ、怪獣の原点なのだ。わたしは円谷監督・犬塚監督の想いを勝手に紡いで、タコ・イカ・カニの海鮮怪獣を使った究極の怪獣映画を完成させました。実はこれこそ怪獣映画の王道なのだと思っています。』ということらしく、先人の想いを酌んだ作品であることが分かりました。また、巨大化した豆腐とネギと肉の怪獣を後楽園球場に誘導してスキヤキ鍋にして食べるという自主製作8ミリ映画「フウト」を学生時代(1977年)、すでに作られていることも知りました。いずれにしても、バカげたストーリーであることには変わりありません。