池袋レコ屋⑦ ~ 高田馬場 | レコ屋巡りの夜

レコ屋巡りの夜

塩化ビニール(=レコード)中毒患者のトホホな日々を綴りたいと思います。
オリジナルが欲しいけど高いなら諦めます。

(前回の続き)

都内近郊に散らばるD店の中でも、自分にとっては相性が悪い池袋D店。その証拠に、このブログのサイドバーにある『池袋』タグ内の数を見れば、一目瞭然である。そこで偶然とはいえ、狙っていた"Arrival" 国内盤帯付きが手に入ったのだ。嬉しくないわけがない(掘り師歴30年以上でも、未だにこの瞬間は嬉しい♪)。

 

レコ屋巡りって買えないときは全く買えませんが、買える時(欲しいレコが出てくるとき)は買えますよね?そういう意味では、レコ掘りって釣りに似てますな。年末ってそういう魔力があるのか、2022年末もそうでした。

 

探し始めたROCK "A" で見つかったので、まだ何かあるのでは…とひたすらレコをパタパタ見続ける。『レコードが若者に人気!』とか世間では宣ってますが、そうは言ってもやはりレコ掘り師の大多数はやっぱり私世代のオッサンである。狭い通路に背中合わせにオヤジ同士がレコ掘りするのも気色悪い。きっと相手も同じでしょう(笑)。

 

そんなこんなで Rock "S"まで来たらいきなりこれが出てきたギョッとした!

 

Terry Reid – Seed Of Memory ( ABC Records YX-8054-AB ) 国内盤 帯付 インサート 1976年 880円

 

ウオオオッ!これも探していた1枚!…というか、数年前に安くUKオリジナル盤を入手して、金に目が眩み手放してしまった1枚なのだった。それを悔いて探していたら、まさかの激安値!(ハァハァ…)。

 

この Terry Reidという人、皆さんご存じでしょうか?UK Rock 好きなら覚えておいて損はない方で、何と 『Led Zeppelin と Deep Purple を蹴った男』としても有名なのでした(汗)。

 

 

Rejecting Led Zeppelin and Deep Purple

( Led Zep & Deep Purple を断る)

Yardbirds guitarist Jimmy Page, managed by Peter Grant, became interested in Reid's work, and when The Yardbirds disbanded, Page wanted Reid to fill the vocalist spot for his proposed new group, the New Yardbirds, which was to become Led Zeppelin.[2] Reid had already committed to go on the road for two tours with the Rolling Stones and another with Cream (as an opening act on the 1968 US Tour). Reid suggested to Page that if he were compensated for the gig fees he would lose and if Page would call Keith Richards to explain why Reid had to pull out of the US tours, Reid would try some things out with Page. It never happened and Reid told Page to consider a young Birmingham-based singer, Robert Plant, instead, having previously seen Plant's Band of Joy as a support act at one of his concerts. Reid also suggested Page check out their drummer John Bonham. Reid also rejected an offer from Ritchie Blackmore to replace the departing Rod Evans in Deep Purple.[10]

(wiki の原文まま)
 

 

 

 

これを翻訳サイトにぶち込んでも、訳の分からぬ日本語になるので要注意(笑)。要約すると、そもそもデビュー前に Hollies の Graham Nash と仲良くなった Terry Reidは、当時 Hollies のプロデューサーだった Mickie Most に注目される。そしてMickie Mostのプロデュースで、1stアルバムを Epic (なぜかUK出身でMickie Most の仕事にも拘らず、UKでの発売はなし)、2nd を Columbia からリリース。この2枚がUK Heavy Rock / Hard / S&W が好きなら堪らぬ素晴らしい出来だったのです(ハァハァ…)。

 

右のピンク帯が1stアルバム(1968年)、左の青帯が2nd(1969年)。どちらも1970年頃のUK Rock ( Led Zep & Deep Purple 辺り)が好きなら無視できぬ内容。

 

上の2枚の自作曲が素晴らしいのですが、その Janis Joplinが Hard Rock をやったような Voがまた凄い!これに注目したのが、Yardbirds の後期にプロデューサーだった Mickie Most 繋がりで彼を知った Jimmy Page 。Terry Reid に New Yardbirds ( 後の Led Zeppelin ) Voを頼んだそうな。このとき Terry Reid は、 Cream & Rolling Stones のツアーにも同行することが決まっており、

 

「そのツアーのキャンセル料を支払ってくれるなら」

 

という条件を引き換えに出すも、結局はお流れに。驚くのは、代りに Terry Reid は Jimmy Page に、

 

「"Band of Joy"の Robert Plant が良いよ」

 

と薦めたそうな!この時"Band of Joy"はデビューしてもいないUKのローカルバンドに過ぎず、Robert Plant も全くの無名でした。で、Jimmy Page (g) は無名の Robert Plant (vo), と同じバンドの John Bonham (dr), Yardbirds 時代からのセッション仲間だった John Paul Jones (b)と Led Zeppelin を結成。

 

"Band of Joy" ( 1977年に1st アルバムをリリース)

https://www.discogs.com/artist/1095321-Band-Of-Joy

 

 

また1969年中ごろに "Deep Purple III" をリリース後、 バンドを去ったRod Evans (vo)の後釜としてRitchie Blackmore からの誘いを受けるも、同じ理由からか、断ったそうです(ハァハァ…)。

 

そう、1970年代初頭から吹き荒れるUK Hard Rock のVo として打って付けのストロング・スタイルだったんですが、ただの歌い手になるのが嫌だったんでしょうね。彼の諸作(特に上の2枚1st & 2ndアルバム)を聴くと、Singer のみならず、Writing 能力も素晴らしいことが分かりますし。

 

で、買ったレコの帯を見てみれば…

 

プロデュースは Hollies 時代から仲の良い Graham Nash。他にも David Lindley (g), Blue Mitchell (hr)! も参加となかなか豪華な顔ぶれ。それにしても、『グラハム・ナッシュの庇護のもと』とは(爆笑!)。Terry Reid のこのアルバム(4th) までしか聴いてませんが、何れも素晴らしい出来だと思ってます。

 

 

ただやたらと安いので、「盤質が死んでるのか…?」と焦りながらも検盤すれば、奇跡の極美品!何の間違いか、神のご加護か?それとも買取担当者の

 

「テリー・リードだ⁉ 誰じゃいお前は?こんなレコ、価値があるかい!」

 

と300円位で買取してくれたお陰か?しかも新入荷コーナーではなく、通常棚の"S" に叩き込まれていた辺り、幾多の掘り師達も無視したのか?これぞ僥倖~~~~(嬉!)。

 

 

 

これは2nd アルバム。なぜか 1st アルバムの動画はyoutube で見つからず(無念!)

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆   

 

 

奇跡的に2枚も欲しいレコが同時に見つかった2023年末の掘り師。もうおなか一杯ですが、最後に帰宅する前にもう少し。

 

死ぬほど混み合う池袋JR駅構内。夕闇迫る年末に若い衆達で込み合う山手線に乗り込めば、ほんの5分程で高田馬場に到着。早稲田大学があるだけに、駅前は忘年会に集まったのか学生風の若者達で溢れている。あぁ、良いなぁ君達は。人生これからだよ。どうやら私はレコード漬けで人生のフィナーレを迎えそうだ(トホホ)。

 

駅を右に出て5分程坂を登れば、D店史上最も相性の悪い高田馬場D店に到着:

 

(これは高田馬場D店HPからの無断借用写真。ゴメンナサイ!)

 

これは入り口

 

ここに来るといつもそうですが、池袋、新宿、御茶ノ水D店と異なり、人気(ひとけ)がない(涙)。まぁね、逆に人だらけだと移動するのも困難だしね…と脳内回路で肯定してみるも、年末セール時期だというのにセールをしている雰囲気もない。

 

そもそもこの高田馬場には、大学がある⇒学生多い⇒音楽売れる…という図式でこの街にレコ屋が多かったんでしょうけど、今の若い人は音楽に金なんて遣わない。それに、5分も電車で移動すれば池袋&渋谷&中野D店とあるし、売る人達もそっちに持って行くんじゃないのかな?逆に言えば、ここに何かナイスレコが出ても、そのまま残っているかも(ハァハァ…)といつも下心丸出しで行くのですが…。

 

早速店内に突入するも、年末夕方というのにお客は私を含め数名ほど。レコを見てるのなんて私の他に1人だけだった。うぬぅ…早速新入荷 ROCK コーナーから見てみるも、欲しい人は欲しいであろう2000年代以降のレコが多い。新しい(と言っても20年前かw)音楽は、マジで門外漢なので華麗にスルー。

 

まぁ今日は色々買えたし、まぁ何も見つからんくてもね…と余裕ぶっこいて、奥地のROCK "A" から見てみるもやはり食指は動かない(涙)。もういつもの事だしと、巡回警邏の如くゆっくりパタパタ右へ右へと移動する。

 

すると "I" の棚からこれが!

Iron Butterfly – Ball ( ATCO SD 33-280 ) US プロモ LP 見開きジャケット (Unipak) 、プロモ・ステッカー、白レーベル 1969年 2200円

 

これ既に持ってるんですが、値段が自分が買った時より安く(持ってるのは2500円)、しかもプライスタグには『盤美品』と!ヌアアアァ!じゃ何か?他の掘り師は、ワイが買ったよりも安く、もっとキレイなこれを買えるという事?因みに、既に持っている同じプロモ盤は盤に薄いキズが少々入っていたのですが、

 

「Discogs 見れば安いけど、送料が3000円位するし、国内で見つからんかも…」

 

と意味不明に怯えて、数年前に池袋D店で購入したわけです。そこから値下げ…。レコ&プロモ白盤ブームと言えども、人気のあるものとないものがハッキリ分かれてるこの現実。いっそ無視しようか…と思うも、レジに持って行ってしまったんですよ。『盤美品』に弱い私に無視は無理だったので。今から50年以上前の産物がピンピンなはずはない…と検盤プリーズしてみれば、本当に美品じゃないか!沈思黙考10秒、これも買いました…(完!)。

 

家に帰って記念撮影:

通常盤(USオリジナル…当然マトは知らない。気合が全ての掘り師は、マトより盤質よ!)…も持ってるはずですが、見つからないので2枚のみ。通常盤なら盤質まぁまぁでも1000円程と素晴らしい。

 

ジャケの内側は、UNIPAKの表記…国内では”カンガルー・ジャケット”と呼ばれています。

 

そして、やはり美しい白よ!MONOがあれば尚更ですが、Discogs で見る限りMONOはない模様。

 

…とは言っても、盤質の劣る最初の1枚は要らんよなぁ…と後日、某D店へ買取持ち込むも買取価格は

 

『500円』と(!!)

 

お前ら自分たちの店で2500円で売ってた代物を、丁寧に扱ったワイが持ち込んだら1/5の買取価格って、そりゃぁないやろ?まぁ、美品が手に入ったことだしな…と思うも、最初の1枚目はどうしよう?(年末レコ屋巡り紀行・完!)

 

 

 

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