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心の赴くままに

 


なくしたもの
最初から手に入れてないもの
もう手に入らないもの
指折り数えた約束
閉じ込められた約束
キミの還る世界
遠くも近くもない世界
震える声
不確かな指

空を切る腕
照り澱む星
反転する夢

消えない空気
小間切れの時間
終わりの始まり
泥のなかに堕ちる
閉じ込めておかないで
海の果てに見えるのは何
一番消えて欲しくなかったもの
消えちゃった



 

 

 

 

泳ぎ疲れた狼は肩を震わせ月をみる

なんて明るい夜だろう

風が吹いている 草が鳴っている

遠くに吠えようともこの声が届くことはないだろう

見果てることなく拡がる夢をみて坐り続けた

 

傷などそう簡単に癒えるはずもなく

時間が経つと思わぬところで化膿して

歪に刳れて崩れてくる

 

ずっと失くした脚を捜していた

何処かに大事に仕舞ったはずだった

どうして何もかも忘れていくのだろう

美しかったものも 賤しかったものも

 

穴が開いている

そこから何もかも無秩序に流れて

ただ人と人の隙間で生きている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聲と姿の行き交うところ

 

水鏡で歪んだ月

 

閒かな闇を蝕む光の干渉が目に染みて

 

影も見えない

 

欠け行く残像に記憶を重ね

 

褪せた光で繋がる夜を行き来する夢そしてその

 

繋がった夜の向こう側

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘をついた

助けてあげると

 

助けたかった

どうしても

あなたがやっと見つけた安息の地で

 

たくさんの約束遺したまま

 

穹を駈ける

 

他の誰にも解らない僕らだけの時間

他の誰にも解らない僕らだけの話し

 

僕は口を失くした

 

手を取り合い繰り返す道行き

 

さいごに涕を流し匣を開けた

たくさんの僕とたくさんのあなた遺したまま

 

穹を駈けるあなたをただ只管に懐かしみ

ただ只管にあなたの倖せを願う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



今宵この天の下で
君と踊ろう
君がしたかった沢山のこと
もうやってるかい?
飛行する甲虫のなかに
君が居やしないかと目を泳がせる

の隙間から君の聲が
聴こえやしないかと耳を欹てる
君はもう自由に駈けているかい?
君の欠片を少し貰ったよ
僕も君を色んなとこに連れてってあげるね
今宵手を繋いで
月影にただ歩こう





∗天(そら)