いよいよ、産まれるんだ!

ゆきは桜を、箱の中に入れましたが、直ぐに出てきます。


できることなら、出産は、夜、もしくは真夜中がいいなどと、勝手に思ってました。

「心配しなくても、部屋の隅とか、暗い静かな場所で、勝手に産むよ」
と、聞いていましたが…

よりによって、お一日(おついたち)の朝…


「桜ちゃん、仕事の段取りしてくるから、30分だけ行かせてね!」


スケジュールをチェックして、動くのを昼からにして…直ぐに部屋に戻ってきました。


ゆきは、ホットカーペットの上に、バスタオルを引きつめました。箱の中では産まないなと判断したからです。
そして、毎晩、桜と一緒に寝ている、こたつの定位置に座りました。


桜は、ゆっくりと歩き、ゆきの横に寝そべりました。でも呼吸は荒く激しくなってきてます。それ以上に、ゆきの心臓の鼓動は激しくなってきているようでした。
ゆきは、大きく深呼吸をして、落ち着け!落ち着け!と自分に言い聞かせました。そして、桜の背中をゆっくりと撫でてあげました。


「桜ちゃん、大丈夫だよ。私はここにいるからね。安心してね。どこにも、行かないからね。」


桜は、ゆきの顔を見ています。


その時、携帯電話が鳴りました。



続く
『桜の開花情報です。京都市内では~』


テレビでお天気予報と一緒に、桜の開花情報が流されるようになりました。
4月1日、京都の町に、桜が咲き始めた頃の朝…


桜はゆきの後ろをくっついて歩き、離れません。


ウロウロウロウロ、ソワソワソワソワ。


大きなお腹が重たいだろうに、ゆきの後ろをついてくるのです。


ゆきは、桜のお尻をチラッと見てみました。


「あっ!これって、破水?」


桜のお尻が濡れてきていたのです。



続く
猫の出産…
そもそも出産はゆきにとっては未知の世界でした。


子猫を育てることには自信がありました。
ラッキーとハッピーの2匹は生後約1週間ほどで保護しました。獣医さんに言われたこと「3時間おきに授乳を約2ヶ月はして下さいね!」
2ヶ月間、ゆきは真夜中も起き、昼間は仕事を調整して、2匹を育てました。
ハッピーは18歳になり、元気にしています。


猫好きの友人達に、自分は何をしたらよいのか?と、尋ねてまわりました。


「心配しなくても、勝手にちゃんと産むわよ。静かな安心できる場所を見つけてね。箱は用意してあげるくらいよ。」


段ボールの箱を、部屋の隅にいくつか、用意をしました。


しかし、母となる桜ちゃんは全く箱に入る気配もなく…父親モモが箱に入っては、遊ぶ日々が続くのでした。





続く