「氷艶」初演から二周年記念・衣裳から読み解く「氷艶2019」(8)~弘徽殿女御と桐壺帝~ | 気まぐれデトックス

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「氷艶2019-月光かりの如くー」開幕まで、二週間を切りましたね。

今回は主に役者さん達から日々TwitterやInstagramでちょっとした投稿があって、前回の「破沙羅」よりもみっちりと時間を取っての「合宿」がたいそう充実している様子が伝わってきて、期待は高まる一方です。

 

「座長」髙橋大輔に対しては、いつも通りの「いい人」「優しい」評に加え、「やっぱり凄い」「スーパースター」「この人すげぇ」という感嘆の声もチラホラ交じり、異業種の方からの評価が心底嬉しく、毎日いそいそとファボリツさせていただいてます^^

XOIに関しては「雇われ座長」だったとぬかしてくれた大輔サマ。

今度こそ、本気の「座長」として、これだけの一座を率いていく、気概と気迫の舞台に。

「破沙羅」初日をも上回るほどの興奮と歓喜を。(欲張りだな、オイ?)

上げられた写真の数々から拝察するに、今度は台詞もありそうですし、オンフロアの踊りと殺陣は当然でしょうし。

八面六臂のご活躍キラキラを。

長いこと、この人こそ「座長」という座に相応しいのに、なぜ?と思うことが多かったから、なおのこと、ね(^.-)=☆

 

 

さて、自分的本題(?)に入る前に、これを貼っておきましょう。

http://www.25ans.jp/lifestyle/skate/daisuke_190712/

 

Twitter上では、「さすが天才、ちょっと何言ってるんだかわからない」笑い泣きと異口同音に呟かれておりましたが。

大輔さんの語る「音楽」と「踊り」に関する感覚は、ご本人にとっては自然に身に備わっているものだから、きっと言語化は難しいのでしょうね。

カウントが取れない、って、、、アナタ。

LOTF2017で、プロのダンサー&超一流のアイスダンサーに交じって、カウント取りながら「雨に唄えば」練習してたくせに、ナニ言ってらっさるの?

私は踊りは観る方専門だけどさ。

カウントってのは、音の取り方も感じ取り方も体の使い方もそれぞれに異なる踊り手たちが、いわば「共通言語」としての必要に駆られて使っている「ツール」であって、ツールが要らない人にとっては、必要ないものでしょうよ(苦笑いするっきゃないな?)。

やーもー、天才って本当に「想像を絶する」を直接的にぶつけてくるから怖い、怖い。

 

 

さてと。

長々と続けてきた衣裳にまつわる与太話、今回で最終回になります。

読んで下さった皆様、イイネ下さった皆様、ありがとうございましたm(__)m

 

最後に採り上げるのは、「破沙羅」で悪役に目覚めた荒川静香さん演じる弘徽殿女御と最長老・西岡徳馬さん演じる桐壺帝です。

 

Twitterでもちょっこし、呟きましたが、桐壺帝は、「氷艶2017ー破沙羅ー」における瓊瓊杵命の役割を一面、担っているわけですね。

本来妻になる筈だった磐長姫を魔道に堕とした瓊瓊杵尊、才色兼備の后弘徽殿女御を、ライバル桐壺更衣を呪殺させるまでに落としめてしまった桐壺帝。

一面から見れば「美しき恋」は、違う面から見れば邪恋、非道なわけで。

 

豪奢極まりない弘徽殿様の裲襠。

縫い取られているのは、牡丹、蓮、蝶、蛾、極楽鳥、そして、なんとトリカブト。

 

every特別版で見て、あれ?この紫がかった青い花は何?とズームアップして驚いたんですよ。(マルつけたとこね)

だって、私和服も好きなんですけど、この花、あまり模様になってるの見たことなかったので。

トリカブトといえば、昔から使われ、現在もなお解毒剤のない毒草↓。

 

帝の第一皇子(朱雀)を生み、何不自由ない后(「氷艶」での設定では、弘徽殿が正室となっている)であった筈の彼女を根底から揺るがしたのは、彼女から見れば「取るに足りない女」であったろう桐壺更衣。身分の違いを越えて帝の心を独占し、見る者の心を奪う光り輝く皇子を生み、その光源氏への帝の偏愛が、彼女が腹を痛めた朱雀の地位をも危うくする、となれば。

 

桐壺更衣は、陰陽師に呪殺せしめた。

それだけでも、誇り高い弘徽殿様にはさぞや屈辱でしたろうに、さらに、「桐壺更衣に似ている」という理由で、帝は新たな妃・藤壺宮まで入内させ、寵愛する。これが、許しておかれようか?

 

弘徽殿女御が、手ずから毒を盛ってでも葬り去りたい、とまで憎んだであろう光源氏。

毒草と蛾は、その毒心を顕し、極楽鳥と蓮は、彼女の奥底に秘められた「救われたい」という悲痛な願いを暗示するのではないでしょうか。

桐壺帝が彼女以外の、「取るに足りない女」に心を移しさえしなければ、彼女はそこに縫い取られた牡丹のように、誰にも指一本触れられない華麗な女王として後宮に君臨していた筈。

 

女の目からそう思って見ると、弘徽殿様は何がなし、哀しい。

愛は美しい、でも、一面で恐ろしい。

原作「源氏物語」の基調低音として常に鳴り響いている、その事実を誰よりも体現している女性は、実は弘徽殿女御だったりするのかも。

 

さて、最初に「裲襠」と書いてしまいましたが、一応五つ衣の片鱗は見える↑

(しかし、この襲の色目は不思議だなあ。色調が韓国っぽい↓)ので、

小袿↓の変形と見た方がいいのかもしれません。彼女の身分から言っても。

 

 

ただ、おそらく、「都は闇に包まれる」という説明文から想定される、闇に閉ざされた都で弘徽殿様が権勢をふるうシーンでは、彼女、この豪華な長い衣を脱ぎ捨て、黒髪もプッツリと切って(というかあの長い髪はつけ外し可能だよね?)黒衣で踊り狂うものと想像される^^

(新国立バレエの持ちプロの中でも一番好きなデヴィッド・ビントレーによる『パゴダの王子』の魔術を操る王妃エピーヌ↓と通じる感じで♪)

 

というか、そうこなくちゃ、この役に名スケーター・荒川静香を配した意味がないでしょう。

「破沙羅」の蛇髪姫さながらに、全身黒と金の衣裳で激しいステップを踏むところが、見たい。

なんなら、金の鱗粉を撒き散らす(モスラかよ?)毒蛾と共に、宙を舞ってもいいかな。

 

 

そして、その弘徽殿様を哀しい地獄へ落とした桐壺帝はといえば、まあ、到底日本の「天皇」の装いではあらっしゃいません。

 

これはどっちかというと、毘沙門天とかの四天王↓

 

もしくは、中国の武将↓。(検索してもゲーム「三国志」のばっか出てくるので、開き直って大好きな川本喜八郎さんの手になる曹操にしてみた💦)



立ち襟の感じや、黄金の甲冑を思わせる胴の部分とかね。

曹操は後の呉王ですが、中国の王朝なら、「王」「皇帝」が自ら甲冑を身にまとい、戦場に赴くというのは、そう違和感ないです。
翻って日本の「天皇」は、戦場にはそぐわない。
それこそ額田王の二人の背の君・天智天武両帝の時代あたりならば、帝の親征というのも、あったわけだけれども、「平安」時代の天皇は「死」どころか「血」さえ忌むほど、清浄を宗としていました。
その帝が、なぜ甲冑を模した衣裳を身に着けているのか・・・?

なんとなく、最終決戦の大詰め、亡くなられた桐壺帝が登場してすべてを収める、なんて展開もありえるんじゃないだろうか、、、という気がしています。

都にはびこる「悪」を平らげ「魔」を払う為であれば、帝おん自ら武装されていらしても、違和感はありません。


何より、弘徽殿女御の怒り、悪意をなだめ抑制できるとしたら、桐壺帝しかいないんですよね。

ことの発端が桐壺帝の恋であるのならば、ことをおさめるのも、桐壺帝の広い愛、である必要があるのかも。

そして、その桐壺帝を現世に呼び生ける巫女的存在として、もしかすると、額田王=紫の上の力が必要になるのかもしれません。

ということで、初回に話がつながりましたね(^^;A

 

頭中将・藤壺宮・朧月夜・長道については、触れられなくてごめんなさい。

実物を近くでじっくりと見れば、彼らについても色々と語りたくなると思うので、「破沙羅」と「月光かりの如く」合同で、本格的な「氷艶衣裳展」の開催を切に願いつつ、おしまいにします。

長々とおつきあいいただき、ありがとうございました。

 

(完)

 

 

 

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