連続テレビ小説『カーネーション』第10週「秘密」(第55回) | 新・法水堂

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連続テレビ小説『カーネーション』
第10週「秘密」(第55回)


作:渡辺あや
音楽:佐藤直紀 演奏:フェイスミュージック
主題歌:「カーネーション」椎名林檎

時代考証:明珍健二 タイトル映像:辻川幸一郎

タイトルロゴ:北山雅和
資料提供:元生茂樹 撮影協力:大阪府岸和田市


出演:
尾野真千子(小原糸子)

正司照枝(小原ハル)

甲本雅裕(木之元栄作)

黒谷友香(サエ)

濱田マリ(安岡玉枝)

駿河太郎(小原勝)

三島ゆり子(大日本国防婦人会・澤田)、上杉祥三(木岡保男)、田丸麻紀(安岡八重子)、尾上寛之(安岡勘助)、柳生みゆ(小原静子)、小松健悦(奥中宗次郎)、玄覺悠子(縫い子・昌子)、大谷澪(りん)、二宮星(小原糸子・11歳)、吉岡竜輝(安岡勘助・11歳)、花田優里音(小原優子)、心花(小原直子)、鴨鈴女(神田)、朝井千景(菓子屋店員)、三原あや(婦人会の一員)、綾川文代(同)、麻生えりか(同)、高田真衣[クレジットなし](縫い子・幸子)、吉沢紗那[クレジットなし](縫い子・トメ)、橋爪未萠里[クレジットなし](同)、イズム、ルート、日本芸能センター、劇団東俳、キャストプラン

小林薫(小原善作)


岸和田ことば指導:林英世

洋裁指導:大田垣妙子 軍事指導:星川勝幸

所作指導:草下虎丸 テーラー指導:松岡義和

制作統括:城谷厚司
プロデューサー:内田ゆき

美術:石村嘉孝 技術:坂本忠雄
音響効果:柴田なつみ 編集:藤澤加奈子
撮影:西鍵真治 照明:池邊亮一

音声:惣田睦弘 映像技術:峯田俊介

記録:江川雅美
演出:小島史敬


STORY

昭和16年12月8日。大東亜戦争開戦を告げるラジオニュースに皆が騒然となる中、糸子は朝食を食べ続けながら、「終わるどころかまた始まりよった」とつぶやく。木之元電キ店の前にも人だかりが出来てニュースを聴いている。アメリカと戦争して本当に勝てるのかと聞く木之元に対し、連合艦隊だってあると答える木岡。そんな会話を耳にしながら、糸子は子供の頃の出来事を思い出し、男たちが一旦勝負にのぼせあがったら、ちょっとやそっとでは収まらないと実感する。11歳の糸子が勘助と将棋の駒で山崩しをしていると、善作、木之元、木岡、奥中がやってきて将棋を指し始めた。1回だけだと何度も善作に言う糸子だったが、大人たちは勝負が終わってもまた次を始めるのだった。「戦争なんて何がおもろいねん」と言う糸子は、まともな商売をするために勝つなり負けるなりどっちでもいいからさっさと終わらんかいと悪態をつく。そこへ大日本国防婦人会の襷をかけた澤田たちがやってくる。今の言葉を思っただけか口に出したか戸惑っている糸子に、澤田は「我々女性も銃後の守りにあたりましょう」と呼びかけ、なぜモンペを着ていないのかと非難し、悠長に着物を着ているのは不謹慎だと言う。その後、昌子がモンペを持ってやってくる。履いたら糸子も気に入ると言われ、洋装店には洋装店の意地がある、大体モンペという名前がよくないなどと散々文句を言っていたが、履いてみていっぺんに気に入る。店でもモンペを置くようになったところ、神田はモンペの中に重ね着をするというおしゃれ魂を見せ、糸子を感心させる。糸子は客からもらった野菜を持って安岡家を訪れる。玉枝は虚ろな表情で礼を言う。パーマ機が目隠しされていることに気づいた糸子は、いずれ供出しなくてはいけなくなるという八重子に対し、商売道具なのだから大目に見てもらえないのかと言うが、ミシンとパーマ機では事情が異なるようだった。高い月賦だけが残った八重子は、もう少し時代の流れを見ておいたらよかったと悔やむ。明るい話題としては、勘助が昨日からまた菓子屋に働きに行き始めたことだった。糸子は早速、様子を見に行く。勘助はやっぱりぼうっとしていたが、前と同じように菓子屋の店先にいるだけで、ずっとずっと元気になったように見えた。ちょっと先を急ぎすぎた糸子は、仕事が終わった勘助をコーヒーに誘う。珈琲店「太鼓」。平吉も去年の夏に出征したが、見送りは勘助の時ほど派手ではなかったと糸子が話していると、サエがやってくる。ダンスホールが閉鎖され、今は軍需工場で働いているサエと久し振りに会った糸子が話をしていると、勘助が体を震わせ、口元を抑えて店の外へ飛び出す。糸子はサエに直子を見てくれるように頼むと、勘助の後を追いかける。追いついた糸子が見たのは、川原にうずくまって絶叫する勘助の姿だった。日が暮れ、雷雨となる。夕食時もぼうっとして、直子に食べさせるうどんを全部落としていることにも気づかない糸子。すると、戸を叩く音がする。糸子が開けると、そこには玉枝が立っていた。玉枝は糸子に勘助に何をしてくれたのだと詰め寄る。聞けば、勘助がさっき2階から飛び降りようとしたという。玉枝は勘助の元に駆けつけようとする糸子を押し止め、金輪際、勘助に会わないでくれと言う。世の中というのはみんながあんたみたいに強いわけではない、あんたみたいに勝ってばかりいるわけではない、みんなもっと弱くてもっと負けていると言う玉枝は、うまいこといかなくて悲しくて、自分が惨めなのも分かっていても、生きていかなければいけないため、どうにかこうにかやっているのだと続け、商売もうまいこといって家族もみんな元気な糸子には何も分からないと言う。玉枝は泣きながら、勘助がどうにか働きに出れるようになるまで、自分たちがどれだけ神経すりへらしてきたか、あんたには想像もつかないだろうと糸子に言う。「今の勘助にあんたの図太さは毒や。頼むさかい、もううちには近づかんといて」と帰っていく玉枝。糸子は何も言い返すことができず、その姿を見送る。


いよいよ大東亜戦争開戦。
と同時に静子・直子もバトンタッチ。
早速、「終わるどころかまた始まりよった」と毒づく糸子。
この台詞から11歳当時の思い出が甦り、何と二宮星ちゃんが再登場。
これは完全に無理矢理盛り込んだ感じですね。笑

しかし糸子がそう言っていられるのも、仕事がうまくいっていて、家族の誰も戦争に行っているわけではないという前提があってのことなんですよね。
勘助が仕事に戻ったのを見て喜んだ糸子が、サエを呼んで勘助に会わせたのもまったくの善意からなんでしょうけど、それが裏目に…。遂には玉枝から金輪際勘助に会うなと言われてしまう糸子。これはもう何も言い返せませんね。
それにしても濱田マリさんが素晴らしかった。その昔、「頭がジャングルグルグルグルグルグルグルグル…だっよーん」と歌っていた方とは思えないほど、すっかり女優業が板に付いてきましたね。