テアトロコントspecial
『寸劇の庭』
Sungeki No Niwa
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2024年11月20日(水)〜24日(日)
ユーロライブ
■劇団アンパサンド「目覚め」
作・演出:安藤奎
出演:
川﨑麻里子[ナカゴー](トモコ)
神谷圭介[テニスコート](トモコの夫・スグリ)
安藤奎(トモコの幼馴染・アケミ)
STORY
幼馴染のトモコが結婚したと聞き、新居を訪れるアケミだったが、肝心のトモコが寝てしまい、夫から怖い話を聞かされる羽目に陥る。夫は夫で怖い話をしなければならないため、何とかトモコに起きてもらおうとするが、突如苦しみ出したトモコの後頭部に恐ろしい顔が出現する。アケミはそちらが本当のトモコだと主張するが……。
■テニスコート「だるま」
作・演出:
出演:
神谷圭介
吉田(先回りさん)
小出圭佑(逆張りさん)
大堀こういち(照れてる人)
STORY
とある部屋で待つように言われた神谷。部屋に入ると椅子が4つ並べられ、だるまが置かれた椅子の後ろに男が座っている。神谷はその男の後ろに座るが、男はやたらと神谷の疑問を先回りして答える。更にもう1人男が入ってくるが、その男は床に寝転がる。男はだるまを見てもこれはだるまではなくキャッツだと言い張り、神谷から「逆張りさん」と名づけられる。
■近現代不条理集合3人「逆流」
作:ブルー&スカイ 演出・演奏:大堀こういち
出演:
ブルー&スカイ(4号室の住人/1号室の住人・刑事/3号室の住人・元市役所職員)
吉増裕士[ナイロン100℃](大家/2号室の住人・大家の妻)
STORY
息子のDVに苦しめられている大家は、無職で家賃を8ヶ月滞納している4号室の男に息子の殺害に協力するよう持ちかける。男は今後家賃を払わなくてもいいという条件にくわえ、水を流すたびに逆流してしまう共同便所を修理することを条件に出す。修理を渋る管理人は他の住人にも掃除当番制をお願いに回る。
舞台監督:小島雄一郎 (スターダストプロモーション) 照明:シバタユキエ 音響:栗原カオス
映像オペレーション・映写:栗田ばね
撮影:ニュービデオシステム
制作:佐藤よしこ (スターダストプロモーション)、小西朝子(ユーロライブ)
イラスト:小出圭祐 (テニスコート)
宣伝美術:牧寿次郎
企画・プロデュース:加藤伸崇(SDP)
共催:ユーロスペース
主催:SDP、スターダストプロモーション
1月に上演された『寸劇の館』に続くシリーズ第2弾。
今回は劇団アンパサンドとテニスコートが短篇、ブルー&スカイさん、大堀こういちさん、吉増裕士さんによる近現代不条理集合3人が中篇の寸劇を上演。
オープニングではブルー&スカイさんがマントを羽織った案内役、大堀さんがギター弾きを務め、社長を刺してしまった社員・小出の物語が語られ(小出さん以外は同僚役)、エンディングでその結末が語られる。
若手、中堅、ベテランそれぞれの味わいがあるテアトロコントspecialの名にふさわしい演目だった。
アンパサンドの作品で「こうだと思っていたら違っていたというのが一番怖い」という話をしていたけど、こうだと思っていたら違っていたというのは今回の3作品に共通した特徴だと思う。
「目覚め」ではトモコの後頭部に現れた顔が悪霊だと思っていたら、アケミは自分のことをあだ名で呼ぶそちらの方が本当のトモコだという話になり、「だるま」ではだるまと思っていたものが本当は……という話にもなる。
それをとことんまで突き詰めていったのが「逆流」で、大家はこれから息子を殺そうとしているのに、1号室の住民は大家の家を張り込んでいる刑事で、3年前に息子を殺した大家が戻ってくるのを待っていると言うし、2号室の女性は大家の妻で、事件は7年前に起きたことになっている。更に怪我が増えていく大家も実は……ともはや何を信じたらいいのか、そもそも何かを信じることほど馬鹿馬鹿しいことはないのではという気すらしてくる。
吉増裕士さんの佇まいが今回もよかった。
上演時間2時間5分(第一部53分、休憩6分、第二部1時間6分)。