名取事務所『少年Bが住む家』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

名取事務所公演

『少年Bが住む家』

The House Where Boy B Lives


2024年10月4日(金)〜20日(日)
小劇場B1

作:イ・ボラム(李ボラム) 演出:宋英徳
翻訳・ドラマトゥルク:沈池娟(シム・ヂヨン)

美術:吉野章弘

照明:桜井真澄 照明操作:鈴木啓子

音響:志和屋邦治 衣裳:樋口藍

演出助手:山崎稚葉(劇団キンダースペース)

舞台監督:大島健司
制作担当:栗原暢隆、松井伸子、佐藤結
プロデューサー:名取敏行 製作:名取事務所


出演:

八頭司悠友(キム・デファン)
鬼頭典子[文学座](母)
横山祥二[文学座](父)
森川由樹(姉・ユナ)
横幕和美[Pカンパニー](向かいの奥さん)
藤田一真[劇団俳優座](保護観察官)
中田翔真[演劇集団円](少年B)


STORY
冬の寒い日、家族での朝食。そこに近所に引っ越してきたひとりの女が挨拶にやって来る。この家には父と母、そして息子のデファンが住んでいる。父と母はデファンを女の前から隠す。デファンは14歳の時に殺人を犯し、7年の実刑判決を受けることになった。模範因だったデファンは保護観察処分になり自宅に戻っていた。自立を促す父、息子を外に出すことを恐れる母、デファンにだけ見える少年Bの存在。この朝から家族の日常が変化し始める。「僕が普通の人のように生きていけると思いますか?」【2020年版チラシより】


現代韓国演劇2作品上演のうち、イ・ボラムさんの戯曲を新演出にて再演する作品。

中央に島舞台があるのは『最後の面会』と同じ。その上に木目調の台を重ね、デファン一家の家の居間となり、ローテーブルや箪笥が置かれる。下手壁沿いに手前から流し台、冷蔵庫、棚が並び、上手側にコートなどをかけるフック、出入口付近に事務机、その手前にタイヤが2つ。デファンの父親が営む自動車修理工場の音が断続的に聞こえてくる。

本作で描かれる事件が実在のものなのか何かモデルがあるのかは知らないが、林泰男元死刑囚を描いた『最後の面会』同様、加害者少年の一家という重い十字架を背負うこととなった家族の揺れ動く心情を真摯に描いていて良質な作品だった。ただ、個人的には『最後の面会』ほどは話に入り込めなかったのも事実。この差は何に起因するのかは自分でも不明だけれども。


ところで名取事務所による現代韓国演劇上演、作者の名前をわざわざ漢字表記にするのはなぜなんだろう。漢字で書かれたところでほとんどの人は読めないし、イ・ボラムさんのように漢字のない名前もあるのだからカタカナ表記だけでいいと思うのだけど(という理由で拙ブログではカタカナメインで表記しておく)。


上演時間1時間39分。