『にっぽん’69 セックス猟奇地帯』(中島貞夫監督) | 新・法水堂

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『にっぽん’69 セックス猟奇地帯』



1969年日本映画 93分
監督:中島貞夫

企画:岡田茂、佐藤雅夫

構成:中島貞夫、竹中労

撮影:赤塚滋、中島徹 音楽:八木正生

ナレーター:西村晃

タイトルデザイン:横尾忠則

出演:唐十郎、都ますみ(ストリッパー)

STORY

○乱交パーティー。関西の秘密マンションでは、全員裸体の男女がからみ合っている。○ヌード・スタジオ。新宿二丁目、元赤線地帯。スタジオといっても、カメラは置いてない。二人の中年客が、熱心に女の裸身を覗きこんでいた。○性倒錯者。女のうがい水から尿まで飲みほす変態男。異常なセックスにひたりきっていた。○ソープランド。この世から隔絶された密室。あやしい雰囲気の中で男が絶頂感を味わっていた。○ふうてん集会。ある夜、突然新宿花園神社に集まったふうてんたちが大集団で踊り狂う。○アングラ芝居。花園神社の境内では、珍妙な扮装をした俳優たちが、由比正雪を上演していた。○ハプニング。0次元集団が、異様な興奮がたまらない、と日曜の真っ昼間に銀座でハプニングを演じていた。○猟奇儀式。0次元集団が披露した女性の出産儀式は異様な雰囲気をかもしだしていた。○刺青を彫る女。二十一歳の女性の背からジワジワと血がにじみ出ている。昇り竜の刺青は彫師の見事な針さばきでその姿をあらわした。○モノセックス。男対男、女対女の狂った関係そのコンテストは、賑わっていた○整形美容。隆鼻手術に、豊胸手術に、女性は美しくなるために苦痛を忍ぶ。○ボディ・ペインティング。混雑する湘南海岸で、ボディ・ペインティングする前衛画家。○ブルーフィルム撮影現場。ジリジリ照りつける太陽のもと、無人島にかまえた超望遠レンズが、ブルーフィルム撮影隊をとらえた。上陸した一行は、早速カメラを廻しはじめた。緊迫した時間の連続だった。○関西ストリップ。舞台での緊張とうってかわって楽屋でのストリッパーたちは底ぬけに明るい。○夏の夜の公園。芝生の上では、アベック天国。彼らには、周囲の物音や光景は無関係のようだ。○生きている赤線地帯。旧赤線地帯は日本各地で、歓楽の夜を彩っている。○沖縄。巨大なB52の翼の下、基地の女たちが軍人を追っている。混血女のN子もその一人だった。【「KINENOTE」より】


神保町シアターにて開催中、《怪人物!唐十郎の映画》上映作品。

時間が合ったのでたまたま観た作品だったが、殊の外興味深くて思わぬ掘り出し物だった。
唐さんは序盤と終盤のみの出演だけど、55年前の紅テントが見られるのも貴重だし(『由比正雪』)、腰巻きお仙を追い求めて返還前の沖縄って混血女性にインタビューするというのもドキュメンタリーと言えどもドラマチック。

その他にも美容整形手術やストリップ、トルコ風呂(今のソープランド)、ヌードスタジオなど、いずれもよく撮影が許可されたなと思うものばかり(客の顔もボカしなし)。
中ではマゾヒストの男性が淡々と己の性的嗜好について話すその語り口がなんとも文学的で、遠藤周作さんの「月光のドミナ」や谷崎の名前も出てきて、妙に聞き入ってしまった。
学生運動をする若者たちも当然出てくるけど、当時20代だった人たちが現在、70代、80代になってどのような生活をされているのか誰か追跡してくれないかな。