唐組『動物園が消える日』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

唐組 第74回公演

『動物園が消える日』


【猿楽通り公演】


2024年10月5日(土)、6日(日)、11日(金)〜13日(日)、18日(金)〜20日(日)

猿楽通り沿い特設紅テント


作:唐十郎 演出:久保井研+唐十郎

絵:合田佐和子、大鶴美仁音(カバの絵)

作曲:安保由夫 宣伝美術:海野温子

舞台美術:大鶴美仁音+紅美術団子

照明:重村大介 音響:福原由加里

衣装:加藤野奈 舞台監督:藤森宗

(稲荷卓央、またまた修行中)


出演:

福原由加里(興信所サム・スペードの所員・サム)

加藤野奈(サニーランドの、かつてのもぎり四人娘の一人・チキータ)

升田愛(四人娘の一人・オド)

重村大介(ビジネスホテルの支配人にして上野動物園の飼育係・灰目)

友寄有司(金沢サニーランドの飼育係長・足立)

オバタアキラ(ひらの飼育係・乳川)

岩田陽彦(その下の飼育係・新夜)

藤森宗(ミーアキャット担当の飼育係・佐馬良)

影山彰一(ゴリラの檻に入った動物学者・田口狂児)

大鶴美仁音(その姉と称す・スイ子)

福本雄樹(お菓子の会社のバリバリマン・台場)

西間木美希(部下・万能)

工藤梨子(台場家のお手伝い・チンマリ)

久保井研(さすらいの飼育係・灰牙)

髙橋直樹?(装具屋・トンちゃん/イヌワシ)

舟山海斗?(同・キンちゃん/イヌワシ)

?(イヌワシ)

藤井由紀(もぎり四人娘の最後の一人・オリゴ)


STORY

コンドミニアム建設のために閉鎖されてしまった金沢の動物園、サニーランド。数ヶ月前までその動物園で働いていた飼育係達や、入場券のもぎり娘らが、かつての持ち場や動物との絆を断ち切れず、転職しきれずに、金沢から遠く離れたビジネスホテルに引き寄せられて来る。中でも飼育係の副係長・灰牙は、「さすらいの飼育係」として独立すると宣言し、二トン半あるカバのドリちゃんを動物園から連れ出して、目下のところ、このホテルの二階の一室に飼っているという。【右文書院「唐十郎コレクション③戯曲篇」あとがきより】 


1993年初演、2017年に再演された作品。


舞台はビジネスホテルのロビー。

上手奥にフロント、手前にドア。中央にビジネスホテルには似つかわしくない風格のあるエレベーターのドア。下手側のエリアにソファー、壁には窓。天井からは水の溜まったビニールがぶら下がる。


私は前回は雨の雑司ケ谷・鬼子母神にて鑑賞しているが、今回、7年という比較的短いスパンで再再演することにしたのは、動物園が閉園になっても飼育員を続けんとした灰牙のように、唐さん亡き後も劇団を続けていくという決意表明の意味もあったのではという深読みもしたくなる。

今回のチラシに引用されている

「動物園が消えないでいるのは、それはあなたの頭の中にあるその灯が消えないからです。その灯は、もうみんなの目には消えているのに、あなたが火種であるばかりに次々と点火されます」

という台詞もそんな心情を言い表しているような気がしてならない。

天井から降り注ぐ水に打たれる久保井研さんの背中からもその決意が伝わってきた。


上演時間1時間49分(一幕47分、休憩10分、二幕52分)。


紅テントの上に輝くお月様。