排気口『暗愁行尸』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

排気口新作公演

『暗愁行尸』



2024年8月15日(木)〜18日(日)

荻窪小劇場


作・演出:菊地穂波

音響プランナー:Mana-T

音響・操作操作:小山都市雄

照明:中村仁 宣伝美術:福西想人

制作:排気口 パンフレット:ボリボリ先生


出演:

中村ボリ(コンビニバイト・マレ林ポえ)

広野健至(フリーライター・松永タカシ)

倉里晴(タカシの彼女・レミコ)

東雲しの(逆流性食道炎アイドル・葵ミサエ/ヘルパー・山田アリサ)

坂本恕(黒子・山本晴敏)

坂本ヤマト(心霊タレント・マダムさちよ)

佐藤暉(怪談師・イワヤ玉手箱)


STORY

フリーライターのタカシは最恐心霊スポットとして名高いT市Sトンネルについて調べるうち、昔の心霊番組にたどり着く。それはアイドル・葵ミサエが黒子とともに司会を務め、霊感おばさんのマダムさちよや〈誇張怪談〉のイワヤ玉手箱とともにSトンネルを訪れるというものだった。取り憑かれたようにその映像をみるタカシを心配する恋人のレミコは同級生で怪談に詳しかったマレ林ポえに連絡を取る。一方、黒子の山本は自分が働く喫茶店に玉手箱を呼び出し、Sトンネルにまつわる怪異について調査を始める。


排気口、昨年4月に上演された『人足寄場』以来の新作ホラー長篇。ちなみにタイトルは「あんしゅうこうし」と読む。


舞台左右に台があり、それぞれにパイプ椅子が2脚ずつ。中央奥にある左右の台より高い台には布がかけられ、座布団が2つ。

ホラーとは言え、心霊番組の司会が黒子でまったく喋らなかったり、ゲストのマダムさちよ(漢字不明)もイワヤ玉手箱もクセが強かったり、更には端々に細かいギャグが詰め込まれてそれなりに楽しく観られた。

ちなみに言及される固有名詞等を列挙すると、サザンオールスターズ、トーキング・ヘッズ、上村一夫『同棲時代』、『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』、『菊次郎の夏』、『ハリー・ポッター』シリーズ、津山三十人殺しとなかなか幅広い(さすがに私も『デジモン』は分からなかった。細田守監督だけどね)。

それなのに終盤にかけて失速していったのは、トチりの多さ。気圧のせいなのかなんなのか、トチらなかった人がいないのでは?と思うぐらいにトチりちらかしていた。稲川淳二さんであっても、トチりながら怪談話したら怖さが半減されてしまうと思うのだけど、ホラーはコメディをやるよりも語り口が重要だなと再認識させられた。


そんな状態ではあったが、二役を演じる東雲しのさんは印象に残った。


上演時間1時間36分。