劇団青年座 第257回公演
「伝承〜朗読劇二題」
津嘉山正種ひとり語り
『命口説(ヌチクドゥチ)』
渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール
原案:謝名元慶福
構成台本・演出・出演:津嘉山正種
演出協力:菊地一浩
照明:広瀬由幸 音響:内田誠
舞台監督:阿部一郎 舞台監督助手:佐藤瑛子
照明操作:広瀬由幸
音響操作:渡邉卓也(オフィス新音)
宣伝美術:西山昭彦 写真撮影:坂本正郁
写真提供:沖縄タイムス社
製作助手:川上唯奈 票券:星美佳、髙橋江利子
製作:紫雲幸一、川上英四郎
STORY
極東最大のアメリカ空軍基地である嘉手納飛行場。この飛行場近くの小高い丘で、観光客を相手に「基地観光のガイド」をする一人の老人。「戦争中、何が何だかわからない内に取り上げられて、日本軍の飛行場になって…戦争が終わったら今度は、アメリカの飛行場になって…土地は取り上げられたまま…戻って来ない…」沖縄戦…アメリカ統合…本土復帰…日本とアメリカに振り回されてきた庶民の苦しみと怒り…津嘉山正種が魂を込めて語る沖縄人の「命口説」。
1981年、NHK FMにて放送されたラジオドラマを津嘉山正種さんがひとり語りにした作品。2023年初演。今回は『RAA-進駐軍特殊慰安所-』との同時上演。
舞台中央に演台。左右にシーサー像。
津嘉山さんが登場して一礼。演台の後ろに座り、タイトル等を言ってから本篇開始。
舞台となる嘉手納基地周辺は私も行ったことがあり、近くの建物の屋上から飛行場も見渡せたが、津嘉山さんの語りを聴きながら、その時の情景が蘇ってきた。米軍の航空機が上空を通過する時の爆音がするシーンは、場内から笑いも起きていたけど、その音とともに暮らしている人たちのことを思うと笑えなかったな…。
津嘉山さんの語りはまさに至高の芸で、常連出演していた『男はつらいよ』で寅さんが披露するバイの口上もやってくれた。
それだけに最後の最後でビロリロリンピロリロリンと間の抜けた着信音が何度も聞こえてきたのには、腹が立つというよりも、真剣にこの作品に取り組んでいる津嘉山さんがお気の毒で仕方なかった。昨日の公演でもケータイの音がしていたそうで、劇団として改善策を講じるよう強く求めたい。
上演時間1時間22分。