『Chime』
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2024年日本映画 45分
監督・脚本:黒沢清
プロデューサー:川村岬、岡本英之、田中美幸
共同プロデューサー:村山えりか
音楽:渡邊琢磨
撮影:古屋幸一 照明:酒井隆英
録音:反町憲人 美術:安藤秀敏 編集:山崎梓
スタイリスト:清水奈緒美
ヘアメイク:有路涼子
キャスティング:北田由利子
VFXプロデューサー:浅野秀二
VFXディレクター:横石淳
リレコーディングミキサー:野村みき
サウンドエディター:大保達哉
助監督:成瀬朋一 制作担当:大川哲史
出演:
吉岡睦雄(松岡卓司)
渡辺いっけい(中野東署・大槻誠)
田畑智子(卓司の妻・松岡春子)
小日向星一(田代一郎)
天野はな(菱田明美)
安井順平(フレンチレストラン関係者・佐久間)
関幸治(同・吉沢)
ぎぃ子(料理教室事務員・立花宏子)
川添野愛(同・宮下文江)
石毛宏樹(卓司の息子、中学生・松岡健一)
STORY
料理教室の講師として働いている松岡卓司。ある日、レッスン中に生徒の1人、田代一郎が「チャイムのような音で、誰かがメッセージを送ってきている」と、不思議なことを言い出す。事務員の間でも、田代は少し変わっていると言われているが、松岡は気にすることなく接していた。しかし別の日の教室で、田代が今度は「僕の脳の半分は入れ替えられて、機械なんです」と言い出し、それを証明するために驚くべき行動に出る。田代の一件後のある日、松岡は若い女性の生徒・菱田明美を教えていた。淡々とレッスンを続ける松岡だったが、丸鶏が気持ち悪いと文句を言う明美に、彼は──。松岡の身にいったい何が起きたのか。料理教室で、松岡の自宅で、ありふれた日常に異様な恐怖がうごめき始めたのだった......。【公式サイトより】
プラットフォーム・Roadstead(ロードステッド)のオリジナル映画第1弾として製作された中篇。
まったく観る予定がなかったどころか、その存在すら知らなかった映画だったけど、天野はなさんが出ているのかーということで鑑賞。
いやー。実にケッタイな映画ですなぁ。
でも黒沢清監督の作品でいちばん好きかもしれない(注:私はそもそも黒沢清監督作品が苦手)。
まず見るからに怪しげな田代。かなり電波系なことを言っているかと思ったら、包丁を自ら頭に突き刺してしまう。小日向星一さんの感情を押し殺した演技がとてもよかった。
てっきりこのまま松岡が不可解な事件に巻き込まれていくのかと思ったら、次は松岡が異常者となって、生徒の菱田明美を惨殺し、遺体を遺棄する。ここは松岡の妄想なのかとも思ったけど、そういう訳でもなさそうだし……。
そして何と言っても不気味なのが田畑智子さん扮する松岡の妻ね。一家3人での食事のシーンは『トウキョウソナタ』を思い出したりもしたけど、食事中であっても突如立ち上がって空き缶の入ったゴミ袋をいくつもベランダに運び出し、ケースにぶちまけて潰していく。怖い怖い怖い怖い。何なんこの描写? そんなに空き缶のゴミが出るのも不自然だし。笑
とにもかくにも黒沢監督が楽しんで作っているのが伝わってくる作品だった。