演劇ユニットせのび 第12回公演
『夏に冬は思い出せない』
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神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI
脚本・演出:村田青葉
演出助手:渡邉愛実(劇団ちゃねる)、佐藤玲香(着ぐるみのドレープ)
舞台監督:角舘信哉(ライナー・ノーツ)
プロデューサー:藤原慶 舞台美術:工藤早織
制作:小山内綾音、山本あかり(劇団ちゃねる)、嵯峨瞳(片目で立体視)
当日運営:原乙葉
音響プラン・オペレーション:千葉美紀依
照明プラン:工藤雅弘(Fantasista?ish.)
照明オペレーション:菅野未帆
衣装:工藤弥弓(ココノカトーカ)
イラスト:森優
フライヤーデザイン:嵯峨瞳(片目で立体視)
物販:岩山りな
出演:
髙橋響子(相原志保)
石橋奈那子(澤田まゆ)
大和田優羽(上村岬)
新沼温斗(岬の恋人・平和巳)
村田青葉(まゆの従兄、医師・川口穣)
佐々木玲奈(二宮金次郎像)
STORY
相原志保が、短大時代に出会った友人・澤田まゆといつもの喫茶店でお茶をしている。その日は、どこかのタイミングで今朝見た夢についてお話をしたいと思っていた。お話をしていると、見知らぬ人が会話に参加してきた!……のであるが、それはどうやら澤田まゆの高校時代の友人・上村岬で、相原志保とは以前にも会ったことがあるという。最初の出会いは去年の冬、、、冬?「あれ? そもそも今年の冬……あった?」「冬のことをまったく思い出せなくなってしまった」という症状が出始めた世界のお話。【パンフレットより一部省略】
岩手県盛岡市を拠点に活動する演劇ユニットせのび、初の関東地方本公演。
何と言ってもタイトルがいい。
冬忘れという奇妙な症状が全国に広まり、冬がないものとして扱われることにより、東北地方での冬季うつによる自殺者数も減少する。
一見いいことのようにも思えるが、東北の人にとってまだ冬の時期である3月に起きた出来事も忘れ去られることになってしまう。もちろん、東日本大震災のことである。
人というのは幸か不幸か忘れていく生き物である。時にはつらい出来事であれば忘れてしまった方が楽だと感じることもあるかもしれないが、東日本大震災のような出来事は忘れてはいけないし、被災者の方々も忘れてほしくないと思っていることだろう(もちろん思い出すのも嫌だという人もいるだろう)。
盛岡市を拠点にしているとはいえ、こうした展開に持って行くとは予想していなかったこともあり、大いに心を揺さぶられた。
リアリティのある会話がある一方で、訪れていないはずの小学校の校庭で二宮金次郎像と会話するといった非現実的なシーンが差し挟まれる塩梅もよかった。
今後も関東で観る機会があれば積極的に観に行きたいし、ユニット自身が目標にしているという盛岡まで足を運ぶ価値もある団体だと感じた。
上演時間1時間35分。
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アフタートークゲストは今泉力哉監督。公演案内のDMをもらい(実は私ももらって鑑賞を決めた)、それだと忘れそうだから逆にアフタートークとかありませんかと逆オファーして決まったそうな。笑