世田谷シルク『カズオ』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

世田谷シルク 二人芝居

『カズオ』



2024年7月13日(土)〜15日(月・祝)
アトリエ春風舎

脚本:永井愛 演出:堀川炎
舞台監督:海津 忠(青年団)
照明:上田茉衣子(合同会社LICHT-ER)
音響プラン:吉田拓哉​​
音響オペレーター:佐々木玲奈
宣伝美術:金定和沙
制作:太田久美子(青年団)
企画制作・主催:一般社団法人tokyo sisters

出演:

越谷真美[劇団 山の手事情社​​](福富銀行星美ヶ丘店支店長・塚ノ原宗盛/その妻・塚ノ原波磨子/八重垣家のひとり息子、宗近のクラスメート・八重垣尚道/天仰会副管長・天々姫先生/女性ニュースキャスター)

堀川炎[世田谷シルク](塚ノ原家のひとり息子、小学六年生・塚ノ原宗近/宗近の祖母、宗盛の母・塚ノ原クマコ/福富銀行××駅前店支店長・八重垣忠道/その妻・八重垣冨美代/福富銀行××駅前店行員・咲村はるな/海外特派員(男性)/男性キャスター)


STORY
趣味がタップダンスの銀行支店長、塚ノ原の前に現れたのは、カズオという青年。彼はホームに飛び込もうとした塚ノ原を助け、息子の家庭教師をし、妻と不倫して、一家に深くかかわっていく。出世、宗教、借金にママさんバレー。家族のいざこざに巻き込まれた息子は、とあることを思いつく。【公式サイトより】

1984年、二兎社によって初演された二人芝居。

舞台奥には開閉可能な黒い壁があり、奥の階段も使用。調度は白いテーブルに椅子2脚、長椅子1脚。

タイトルロールの「カズオ」は姿は見えず、彼に振り回される人々を2人の俳優が早替えで演じる(声のみの役も含めれば12役)。
開場時には80年代のヒット曲が流れ、チラシにも「昭和の雰囲気を漂わせた」とあるのだけど、せいぜい公衆電話が出てくるぐらいでそれほど古びた印象は受けなかった。
それよりは永井愛さんがこんな作品を書いていたのか!という新鮮な驚きの方が大きかった。専業主婦の不倫が描かれるあたりはやはり当時ブームを起こしていた『金曜日の妻たちへ』を意識してのものかな。どうせなら今度、紫式部を主人公にした作品を書いてくれたらいいのに。笑
越谷真美さん、堀川炎さんともに男女の区別なく年齢も幅広く様々な人物を演じていて感嘆するしかなかった。公演数が少ないよ!(私が観たのは追加公演)とも思ったけど、これを何公演もやるのもしんどいわな…。

上演時間2時間6分。

終演後、堀川さん、越谷さんとでアフターパフォーマンストーク。世田谷シルクは元々劇団山の手事情社の研修者同期で結成されたそうで、越谷さんは堀川さんの1期上なんだとか。
今回の戯曲は2時間以上かかるため、当初はカットすることを考えていたが、上演許可を申請したところ、永井愛さんからは台詞を一字一句変えないようお達しがあったとのこと。戯曲にも演出の指示が事細かに書いてあるそうなのだけど、最後に「今までの演出はすべて忘れて」と書かれていたそうな。笑