ミュージカル『この世界の片隅に』
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【名古屋公演】
2024年6月28日(金)〜30日(日)
御園座
原作:こうの史代『この世界の片隅に』(ゼノンコミックス/コアミックス)
音楽:アンジェラ・アキ
脚本・演出:上田一豪
編曲・音楽監督:河内肇
音楽監督・キーボードコンダクター:桑原まこ
振付:原田薫、スズキ拓朗 歌唱指導:Chibi
美術:二村周作 照明:小川修
音響:高橋秀雄 映像:上田大樹
衣裳:中原幸子 ヘアメイク:宮内宏明
キーボードコンダクター:長濱司
稽古ピアノ:國井雅美、中條純子
オーケストラ:東宝ミュージック、新音楽協会
舞台監督:菅田幸夫、佐藤豪
演出助手:石川和音 振付助手:小林らら
歌唱指導助手:黒崎ジュンコ
方言指導:新谷真弓
制作:室橋鮎
制作助手、高橋優里子、大川未希子
企画協力:遠藤学
プロデューサー:鈴木隆介、佐々木将之
宣伝フォトグラファー:坂田貴広
宣伝アートディレクション:菅沼結美
宣伝映像クリエイター:銭龍
出演:
大原櫻子[Wキャスト](浦野(北條)すず)
海宝直人[Wキャスト](すずの夫・北條周作)
音月桂(周作の姉・黒村径子)
桜井玲香[Wキャスト](白木リン)
小林唯[Wキャスト](水原哲)
小向なる(すずの妹・浦野すみ)
嶋瀬晴[トリプルキャスト](幼少期のすず)
大村つばき[トリプルキャスト](径子の娘・黒村晴美/戦争孤児)
白木美貴子(すずの祖母・森田イト)
川口竜也(すずの父・浦野十郎)
加藤潤一(すずの兄・浦野要一)
家塚敦子(すずの母・浦野キセノ/隣組・堂本さん)
中山昇(周作の父・北條円太郎)
伽藍琳(周作の母・北條サン)
鈴木結加里(隣組・刈谷さん)
舩山智香子(隣組・知多さん/看護婦・松山)
飯野めぐみ(小林の伯母さん)
丹宗立峰(小林の伯父さん)
般若愛実(すずの伯母・森田マリナ/若い頃の径子)
小林遼介(玩具屋/径子の夫・黒村)
麦嶋真帆(座敷童/二葉館・テル)
小林諒音(少年時代の周作)
高瀬雄史(怖い憲兵さん)
古川隼大(ザル屋)
東倫太朗(野菜売り)
STORY
20年7月、広島県呉市の北條家。布団に横たわるすずの脳裏には、大切な人と過ごした時間が蘇り、やがてその一つひとつの記憶が動きはじめる──広島・江波で海苔の養殖を営む父・浦野十郎、母・キセノ、兄・要一、妹・すみに囲まれ、祖母・イトが暮らす草津と行き来しながら穏やかに育ったすずは、昭和19年2月、江波から30キロ離れた呉の高台に位置する辰川の北條家に嫁ぐ。物静かな夫の周作、優しい両親・円太郎とサン、亡き夫の実家と離縁した義姉の黒村径子とその娘の晴美も加わり、新たな環境での暮らしが始まった。様々な制約のある戦時下、すずは家族や隣組の人たちと助け合いながら毎日を過ごす。そんな中で周作との束の間のデート、二葉館の白木リンとの出会い、水兵になった幼馴染の水原哲との邂逅など、一つひとつの一見小さな、だがすずにとって大切な、また心に刺さる出来事が積み重なっていく。そんな日々のなかで迎えた昭和20年3月19日、呉は初めての空襲を受ける。生活への影響は更に大きくなるものの、それぞれの居場所で日々の営みを続けていく人々。だが、戦況は悪化の一途をたどり……【「カンフェティ」より】
こうの史代さんの同名コミックのミュージカル化、東京公演に続き、名古屋公演を鑑賞。
東京公演での記事でも書いたようにとある致命的な欠点はあったものの、それでもやはり大原櫻子さん演じるすずも観てみたい!ということで帰省にかこつけて再建後は初となる御園座へ。
結果、その欠点のくだりはもうあることが分かっているので初見時ほどのダメージを食らうことなく(笑)、終盤も楽しむことができた。
何より改めてアンジェラ・アキさんの楽曲の見事さに感嘆。東京から約1ヶ月経っていてもちゃんと聞き覚えのあるメロディで、またしばらく耳に残りそう。全体で歌唱する際のコーラスパートに厚みが感じられるのもいいのよな。
劇中、入湯上陸で呉に来た水原がすずの普通さについて語るシーンがあるが、水兵として戦地を見てきた水原だからこそ、この普通さこそが何よりも大切なものだということを分かっていたのだろう。それを失わないでほしいという彼の願いは切実。
晴美が「大きくなったら」「大人になったら」とたびたぴ口にするのも切なくなってしまうが、子供が軍艦の種類や名前に詳しくなったり、「大人になったら」という当たり前の夢が叶えられなかったりするのはやはり普通の世界とは言い難い。その中で、花まつりのシーンはひときわ美しく感じられた。
吉原光夫さんがVoicyで「バケモノ」と称していた大原櫻子さんは観に行った甲斐があったし、歌はもちろん、絶叫芝居が本当に胸に迫ってくる。昆夏美さんともどもどちらも素晴らしいすずだった。
今回、ダブルキャスト、トリプルキャストは小林唯さん以外、東京とは別の方を見られてちょうどよかった。中でも桜井玲香さんの健闘ぶりが目立っていた。また、子役たちも変わらず芸達者よのう。
そして今回も音月桂さんがとてもよかった。他の人は歌詞が時折聞き取れないこともあったりするけど、音月さんははっきり聞こえる。中でも広島に戻ることを決意したすずとの「自由の色」は胸に響いた。
ちなみに本日は村井良大さん、ダブルキャストで唯一見られなかった小野塚勇人さん、小向なるさんの誕生日で、昨日は昆夏美さんの誕生日だったとか。これだけ重なるのも珍しい。
上演時間3時間3分(一幕1時間16分、休憩26分、二幕1時間21分)。