『結婚しない、できない私』(シェシュ・シャラム監督、ハイラ・メダリア監督) | 新・法水堂

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『結婚しない、できない私』
LEFTOVER WOMEN


2019年イスラエル映画 84分
脚本・監督:シェシュ・シャラム、ハイラ・メダリア
撮影:シェン・ミ、ファン・ジエン
音楽:ラン・バーニョ
編集:ジョエル・アレクシス

出演:
ホワメイ(弁護士・34歳)
シュ・メイ(ラジオ局のDJ・28歳)
ガイ・チー(北京師範大学准教授・36歳)

STORY
中国で、27歳になっても結婚しない、できない女性を意味する「剰女」(シェンニュイ)。「余った女」という意味である。ここに登場する独身女性たちの悩みは深刻だ。34歳、弁護士。28歳、ラジオ局のアナウンサー。36歳、北京師範大学准教授。彼女たちは、果たしてしあわせな結婚ができるのだろうか。婚活に奔走する彼女たちと家族の本音を赤裸々に綴ったドキュメンタリー映画。【アジアンドキュメンタリーズ映画祭2024公式サイトより】

《アジアンドキュメンタリーズ映画祭2024》上映作品。アジアンドキュメンタリーズでは2021年より配信。

「剰女」と呼ばれる3人の女性を通して、中国の結婚事情を描いていた本作だが、ここで彼女たちが言ったり言われたりしていることは日本でもよく見られるものであろう。
メインで描かれるホワメイは弁護士というキャリアを持ちながら、結婚相談所ではボロカスに言われるし、結婚している他の姉妹からも槍玉に挙げられる。ほとんど母親の言いなりとなっていたDJのシュ・メイが反旗を翻して口論となるくだりはちょっと切なくもなった。また、唯一、タイトルとは相違して結婚するガイ・チーも村でまるで見世物のようにされていて何とも言えなくなる。
イスラエルの女性監督2人がゲリラ的に撮影したそうで、中国政府の検閲が入っていないからこそ、リアルな姿が切り取られていた。

上映後、『ドキュメンタリーで知るせかい』出版記念ということで、著書のRHYMESTERの宇多丸さんとアジアンドキュメンタリーズ代表の伴野智さん、そしてジャーナリストの中島恵さんとでアフタートーク。
青空代理婚活はほとんど意味がないとか(そりゃまあそうか)、北京や上海の戸籍がある人は優遇措置があるので結婚の時に有利とか、イスラエルでは子供を産むのが当たり前で出生率は3.0を超えているとか(!)、映画の背景を理解する上で有益な情報がつまったトークだった。
なお、ホワメイさんはフランスに渡った後、現地の方とご結婚されたそうな。自ら幸せを勝ち取ったわけやね。