ONEOR8『かれこれ、これから』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ONEOR8

『かれこれ、これから』



2024年5月31日(金)〜6月9日(日)

新宿シアタートップス


作・演出:田村孝裕

舞台監督:宮島雄一郎、筒井昭善

演出部:古屋治男、野本光一郎

舞台美術:稲田美智子

照明:吉川ひろ子 音響:今西工

配信:株式会社カンゲキエクスアール

宣伝美術:郷志郎 写真:塚田史香

当日運営:須藤千代子、大槻志保

制作協力:和田ひろこ

企画・製作:ONEOR8

主催:一般社団法人ハチノス


出演:

恩田隆一(八田)

異儀田夏葉(花代)

岡田帆乃佳(葉子)

佛淵和哉(畑野)

金井美樹(スイ)

オツハタ(稲尾)

山科連太郎(幹彦)

小林桃香(ミツ)

大城智哉(原)

小笠原遊香(原の妻・茂美)

中野亜美(新入り・草村弓枝)

富川一人(スタッフ・玉置)

田久保柚香(スタッフ・小寺)

保倉大朔(スイの息子・安食)

冨田直美(畑野の娘・結衣)

山口森広(八田の息子・坂本住夫)


STORY

シェアハウス「わかばの家」に弓枝という女性が入所してくる。花代は弓枝が来たことをきっかけに八田たちがやっている賭け麻雀を禁止にするようスタッフに言うが、玉置ははっきりと態度を表明しない。八田と花代はいつも口喧嘩ばかりしていたが、ずっと2号さんだったという葉子は八田への思いを口に出せずにいた。また、茂美は原が弓枝を見て鼻の下を伸ばしていたと腹を立てる。そんな中、畑野は部屋にナメクジが出たと不安がるスイを浅草に誘い、スイに思いを寄せる稲尾もついていく。一方でスタッフの玉置と小寺も密かに交際していた。そんなある日、独身のはずの八田の息子を名乗る人物がシェアハウスを訪れる。


1998年、舞台芸術学院47期卒業生により旗揚げされたONEOR8(ワンオアエイト)、1年半ぶりの新作公演。


舞台はシェアハウスの茶の間。上手側が一段高くなっていて下手側にカウンター。左右に机と椅子。下手奥と上手手前に出入口。また、客席通路を喫煙所への道として使用。


この1年半、様々な劇場に足を運んでいいなと思った若手俳優を集めてキャスティングしたという本作、シェアハウスに若くて可愛らしい女性がやってきたところから物語が始まり、若者を中心とした恋愛模様が描かれる……と思いきや、中盤で本当の設定が明らかとなる。

【以下、ネタバレ注意】

八田の息子に続いて、スイの息子・安食がやってくるところで「あれ?」となる。スイは畑野と交際することになりうきうきしていたはずだが……年齢的にも母親にはとうてい見えないのだが、実は若いと思っていた入居者は老人たちで、いわばここはシェアハウスというより老人ホーム。畑野の娘・結衣もやってくるが、交際はともかく結婚ということになったら、相続のこともあるし……と難色を示す。

入居者たちの外見は精神年齢を表しているのかなとも思ったが、恋をするとき、人は誰しも青春時代に戻るのであろう。年を取り、頭や体にガタが来たとしても、「これから」の物語がある限り、人は老け込むことはないのかもしれない


今回の上演にあたって、田村さんが若手俳優陣から恋愛話を聞き、あて書きをしていったそうだけど、中では舞台芸術学院で田村さんに指導されていたという小笠原遊香さんは弓枝に嫉妬心を燃やす茂美を好演(夫役の大城智哉さんも田村さんの教え子で、この2人は話を聞いてもらっていないとか)。

お久し振りの中野亜美さんは「夕焼け小焼け」で歌声も披露して弓枝というキャラクターもよかったが、特に終盤、もう少しストーリーに絡んでほしかったな(これは他のキャラにも言える)。

恩田隆一さんと異儀田夏葉さんの関係性もよかった。


上演時間1時間56分。


アフタートークは山口森広さんMCで、恩田隆一さん、オツハタさん、山科連太郎さん、田久保柚香さん、大城智哉さん、小笠原遊香さんが登壇。