wag. produce『物語ほどうまくはいかない物語』Route 4 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

wag. produce 01

『物語ほどうまくはいかない物語』



2024年5月18日(土)〜26日(日)

小劇場 楽園


脚本・演出:須貝英

舞台監督:北村太一、宇佐美真仁

照明:富山貴之 照明操作:高橋舞香

音響:角丸碧

演出助手:(ジェシカ)(劇団フィータル)

宣伝美術:加藤和博(デザインと映像制作の加藤)

宣伝ヘアメイク:新妻佑子

衣装プラン:渡辺実希

方言指導:岩永彩、石川紗世

医療監修:鎌倉慶香

撮影:株式会社カラーズ/COLORES

制作:鶴飼奈津美

プロデューサー:澤口渉(wag. / ロデオ★座★ヘヴン)


出演(Route 4):

井上みなみ[青年団] (緒川紗那)

秋葉陽司[花組芝居](紗那の父・緒川浩太郎)

豊田可奈子(紗那の姉、高校教師・緒川千佳)

森崎健康[KAKUTA](編集者・宝生雅直) 

石川なつ美[劇団イン・ノート](小説家・吉崎こなれ)

菊川耕太郎(紗那のバイト先の同僚、役者・国見拓司)


STORY

父が帰って来た。何の前触れもなく。小説家を目指す私。私以外と喋ろうとしない父。私を馬鹿にする姉。いまいち頼りにならない編集者。小生意気な年下の小説家。流されて付き合った彼氏。私を取り巻く人間関係は、ゆるやかに煮詰まり始めていた。そんな中、私と父は一緒に小説を書き始めた。泥の中から足掻いて抜け出すみたいに。私たちの小説も生きる私も、物語ほどうまくはいかない。笑っちゃうほど、うまくいかない。【公式サイトより】


演劇ユニット「ロデオ★座★ヘヴン」の澤口渉さんによるソロ・プロジェクト、wag.のプロデュース公演第1弾。

2019年同じ小劇場楽園で初演された作品で、今回はRoute 4とRoute 1の2バージョンでの上演。


舞台の一隅にはテレビと収納ケース。テレビには各シーンの年月が表示。その前に客席とは反対向きにソファとテーブル。下手の出入口にはのれん。壁に額縁、その前に椅子。上手側の壁には紙のものではないカレンダー。柱を挟んで対角線上には執筆用の机と椅子。


Route 4、つまり国道4号線は東京と青森を繋ぐということで、こちらの父・浩太郎は東北の言葉を話す。多分、Route 1の方は関西弁なのであろう(方言指導のうち、岩永彩さんは大阪、石川紗世さんは岩手のご出身)。

物語は全五幕構成で、序幕と終幕が2015年3月12日、第一幕から第三幕にかけて2012年、2013年、2014年を舞台にしている。

「物語ほどうまくはいかない物語」というタイトルが絶妙で、(2012年を基準として)半年前に9年ぶりに帰ってきた父親となぜかともに小説を書くことになった主人公が様々な思いを抱えながら物語を紡いでいこうとする姿にしみじみとさせられる。


キャストも適材適所で、中でも秋葉陽司さんのチャーミングさと森崎健康さんの生真面目さが魅力的だった。豊田可奈子さんのキレっぷりも最高。


上演時間1時間44分。