『水深ゼロメートルから』(山下敦弘監督) | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『水深ゼ0メートルから』



2024年日本映画 87分
監督:山下敦弘
原作・脚本:中田夢花 脚本協力:小沢道成
原作:村端賢志、徳島市立高等学校 演劇部
企画・製作:直井卓俊
プロデューサー:寺田悠、久保和明
音楽:澤部渡(スカート)
主題歌:スカート「波のない夏 feat. adieu」
撮影:高木風太 照明:後閑健太
録音:岸川達也 美術:小泉剛
スタイリスト:小宮山芽以
ヘアメイク:仙波夏海 スチール:根矢涼香

出演:
濵尾咲綺(出島ココロ)

仲吉玲亜(ミク)

清田みくり(奥田チヅル)
花岡すみれ(水泳部先輩・ユイ)
さとうほなみ(体育教師・山本)
三浦理奈(野球部マネージャー・リンカ)
土山茜(山本の友人・声)、井手上亮太(野球部員・楠)、岡田空(野球部員A)、吉田タケシ(野球部員B)、山本宗介(野球部員C)

STORY
高校2年の夏休み。ココロとミクは体育教師の山本から、特別補習としてプール掃除を指示される。水の入っていないプールには、隣の野球部グラウンドから飛んできた砂が積もっている。渋々砂を掃き始めるふたりだが、同級生で水泳部のチヅル、水泳部を引退した3年の先輩ユイも掃除に合流。学校生活、恋愛、メイク......。なんてことのない会話の中で時間は進んでいくが、徐々に彼女たちの悩みが溢れだし、それぞれの思いが交差していく――。【公式サイトより】

2019年、徳島市立高等学校演劇部によって上演され、2021年、『アルプススタンドのはしの方』に続く高校演劇リブート企画第2弾として上演された『水深ゼロメートルから』を山下敦弘監督が映画化。

舞台版がとてもよかったので映画化の報を聞いたときから期待していた本作だが、砂が積もった水のないプールは映像で見るとなおさら女性たちが置かれた理不尽な社会的状況とも重なって見えた。
チヅルが野球部のグラウンドのマウンドに行き、バケツからプールに積もった砂をぶちまけて楠に宣戦布告するのだが、野球部員たちは「勝ち負けとか何の話?」とまったく彼女の行動が理解できていないところも男性が自分たちの優位性に無自覚でいることの表れともなっていた。

舞台版でいちばんよかった宮﨑優さんがいないのは残念だけど、4人中3人が続投なのは嬉しいところ。新キャストの清田みくりさんも役にハマっていた。