シス・カンパニー『カラカラ天気と五人の紳士』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

シス・カンパニー公演

『カラカラ天気と五人の紳士』



【東京公演】

2024年4月6日(土)〜26日(金)

シアタートラム


作:別役実 演出:加藤拓也

美術:松井るみ

照明:吉本有輝子 音響:清水麻理子

衣装:安野ともこ ヘアメイク:横田聡子

舞台監督:瀧原寿子 プロデューサー:北村明子

演出助手:山崎総司 美術助手:平山正太郎

照明操作:吉田一弥、岩元さやか

音響操作:玉置はる美

衣装助手:藤井やすのり、赤嶺愛海

演出部:正岡啓明、小澤久明、梅畑千春、櫻井典子、岡田三枝子

制作【進行】土井さや佳、近藤侑里子、井上果穂、鈴木瑛恵、市川美紀

  【票券】笠間美穂、安田千秋

  【宣伝】西村聖子 【WEB】垣ヶ原将

  【アシスタントプロデューサー】𠮷澤尚子

舞台収録:㈱ビスケ 配信:Streaming+

大道具制作:金井大道具㈱(宮崎恵一、森山貴史)

小道具:高津装飾美術㈱(西村太志)

電飾:㈱コマデン(杉山克典) 運搬:㈱マイド

宣伝美術:平田好

イラストレーション:伊波二郎

パンフレット撮影:加藤孝

舞台写真撮影:宮川舞子

パンフレットヘアメイク:奥山信次 (B.SUN)、白石義人 (ima.:)

パンフレット編集・取材:市川安紀 (猫の間)

パンフレット取材:上野紀子、尾上そら

印刷:㈱大熊整美堂、㈱三交社

企画・製作:シス・カンパニー


出演:

藤井隆(紳士1)

溝端淳平(紳士2)

小手伸也(紳士3)

野間口徹(紳士4)

堤真一(紳士5)

高田聖子(女1)

中谷さとみ(女2)

穂高真奈美(ヴィオラ演奏)


STORY

ある日、ある所に、「棺桶」を担いでやって来た五人の紳士たち。どうやら、五人のうちのひとりが懸賞のハズレくじでもらった景品らしい。せっかくの景品を役立てるためには、仲間の一人が死んで棺桶の中に入らねば、と、五人の議論が始まった。いかに本人が死を意識せず、痛みを感じる前に死ねる方法がないものか、、、と模索する五人。そこへショッピングバッグを抱えた女性二人が現れた。彼女たちは、同じ懸賞の当たりくじの当選者たちだったのだ。そして、その一等賞の景品とは…?【公式サイトより】


1992年初演の別役実さんの戯曲を加藤拓也さんが演出。シス・カンパニーお気に入りやね。笑


舞台は地下鉄のホーム。壁にはリアルな路線図や案内板。中央奥に地上へと上がる階段(客席からは見えない)。上手側に柱があり、はしごが取りつけられている。梁には等間隔に電球。左右にベンチがあり、開演10分前になると浮浪者姿の穂高真奈美さんが下手側のベンチに陣取る。


2月の『天才バカボンのパパなのだ』に続いて若手演出家が別役実作品に挑んだ本作、改めていささかも古びない別役作品の偉大さを知る結果となった。ちなみに加藤拓也さんと玉田真也さんは双方とも映画監督としても活躍しているが、メ〜テレの(not) HEROINE moviesシリーズを手掛けたという共通項も。


本作は旧臘、劇団東京乾電池によって上演された『小さな家と五人の紳士』に続く「五人の紳士」シリーズ第3作にあたる。元々は別役作品ではおなじみ電柱が出てくるが、今回は地下鉄のホームに設定が変えられたため、電柱も鉄柱に変更。永遠に電車が来ない中で死を巡る会話が思わぬ方向に展開していき、不条理感はいや増すばかり。それでも重くならず、カラっとしているのは別役作品ならではの味わい。

ところで終盤、天井からは一本の白い糸が垂れてくるのだけど、紳士3の「誰か蜘蛛を助けた?」の台詞で笑いが起きるのもなかなか凄いことだと思う(教科書でお馴染みの作品とは言え)。


キャストはいずれも申し分なし。これだけのメンツがああでもないこうでもないとこの戯曲と格闘していたかと思うと何だか微笑ましい。中ではいつの間にか死ぬことにされ、柱に昇らされる紳士4のキャラクターは野間口徹さんにぴったり。中谷さとみさんを新感線以外の舞台で見られたのも嬉しい。



上演時間1時間11分。