『天才バカボンのパパなのだ』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『天才バカボンのパパなのだ』



2024年2月21日(水)〜3月3日(日)
本多劇場

脚本:別役実 演出:玉田真也(玉田企画)
舞台監督:谷澤拓巳、村山鈴夏
舞台美術:杉山至  照明:櫛田晃代
音響:池田野歩 衣裳:阪上秀平
イラスト:フジオ・プロダクション
宣伝写真:ワタナベミカ 宣伝美術:加藤和博
WEB:斎藤拓 演出補:中村元樹(メトロンズ)
制作|牛山晃一、島田琴未
アシスタントプロデューサー:松本和奈
企画・プロデュース:東浦尚美
主催:吉本興業株式会社

出演
浦井のりひろ[男性ブランコ](署長)
佐々木崇博[うるとらブギーズ](巡査)
かみちぃ[ジェラードン](バカボン)
浅野千鶴(ママ)
市川しんぺー(パパ)
川面千晶(レレレのおばさん)
はる[エルフ](女1)
西出結(女2)
児玉智洋[サルゴリラ/メトロンズメンバー日替わり出演〕(男)

STORY
電信柱の近くの路上に引っ越してきた、署長と巡査のいる派出所。そこへバカボンファミリーが次々と訪れる。雨が降っていないのに傘を差しながらやってきちゃったバカボン。そこへちょうど通りかかった第一声からおかしいバカボンのママ、ネコになったと思い込んでるパパ、レレレのおばさん、迷惑行為の相談に来たもののいちばんの惨劇を巻き起こす女1…。人が増える度にまったく問題でないことが問題になり、まったく揉める必要のない揉め事がただただ広がっていき…。【公式サイトより】

第34回下北沢演劇祭参加作品。
1978年に発表された別役実さんの戯曲を玉田企画の玉田真也さんが演出。

舞台やや下手に電信柱。上手奥には逆さまになった電信柱があり、電線で繋がっていて小鳥や家などが並ぶ他、客席上空にも電線が走る。電信柱の下と上で手前に草。

物語は署長と巡査が机と椅子2脚を運んできて電信柱の近くに「引っ越し」をしてくるところから始まるのだが、そこから別役実流不条理と赤塚不二夫流ナンセンスが見事な化学反応を見せながら展開していく。
なかなか噛み合わない会話は別役さんのお得意とするところだが、バカボン一家のキャラクターの強さを借りることで他の作品以上に観ているこちらの頭がおかしくなりそうになる(褒め言葉)。
最後は女1が所有していた青酸カリを署長以外のみんなで飲んで死に、そこから起き上がって盆踊りのように踊り出すという何ともシュールかつ悪夢のごときエンディングも強烈(音楽もいい)。一人残される署長役の浦井のりひろさんの表情が得も言われなかった。

キャストでは浅野千鶴さんのママがハマっていた。レレレのおじさんならぬレレレのおばさん役の川面千晶さんのキレ具合もいい。そう言えばハジメちゃんは出てこないのね。
今回、お笑い芸人が多数出ているので、それなりにチケットは売れているのかと思ったら、客席後方はちょっと寂しい状況。
お笑いファンがこの別役作品をどう受け取ったのかは気になるところだけどな。

上演時間1時間14分。