Bunkamura Production『ハザカイキ』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

Bunkamura Production 2024

『ハザカイキ』

 

 

 
【東京公演】
2024年3月31日(日)〜4月22日(月)
THEATER MILANO-Za
 
作・演出:三浦大輔
音楽:内橋和久 美術:愛甲悦子
照明:三澤裕史 音響:鏑木知宏
衣裳:小林身和子 ヘアメイク:河村陽子 
映像:荒川ヒロキ 美術助手:寺田万里奈
演出助手:相田剛志 舞台監督:松下清永
制作助手:小泉廉太郎、今井実春
制作:青山恵理子 プロデューサー:松井珠美
エグゼクティブ・プロデューサー:加藤真規
 
出演:
丸山隆平(芸能記者・菅原裕一)
勝地涼(菅原の親友・今井伸二)
恒松祐里(タレント・橋本香)
さとうほなみ(菅原の同棲相手・鈴木里美)

風間杜夫(香の父、芸能事務所社長・橋本浩二)

大空ゆうひ(香の母、元女優・橋本智子)

九条ジョー(ミュージシャン、プロデューサー・加藤勇)
米村亮太朗(香のマネージャー・田村修)
横山由依(香の友人・野口裕子)
日高ボブ美(ホステス・明美)
青山美郷(ホステス・ひかる)

松澤匠(弁護士)

川綱治加来(菅原の後輩記者・川津田)
 
エキストラ:内山麻衣子、大柿伶、大矢巧、鍵本尚志、加治屋章介、菊地翔子、グッド良平。、倉田莉子、古賀友樹、小宮海里、櫻田将平、佐藤修作
映像出演:太田清伸、鐵祐貴、加藤靖久、脇坂兵吾、タイソン大屋、島田香澄、蜂谷真未、道下広次、美玖空、伊勢谷能宣、藤崎晃雅、レプスルプス、今井実春、佐藤勇輝、塩塚玲、芝原啓成、高野渚、中村深月、仁木祥太郎、浜田美保、平野史子、福冨タカラ、丸山港都、山田裕記、ワダタワー
 
STORY
芸能記者である菅原裕一が担当することになった、国民的人気タレントの橋本香と人気アーティスト・加藤勇の熱愛疑惑。リークしたのは、香の友人・野口裕子。香の父・橋本浩二は人気俳優であったが、芸能事務所の社長となり、いまは香のマネージャーの田村修とともにマネージメントをしている。香がまだ幼い頃に、不倫をスクープされ芸能界から姿を消した自身の経験を元に、香にはスキャンダルを起こさないよう諭している。マンションから出てきた香を追い、菅原が入ったスナックには浩二と離婚した香の母・智子がいた。菅原には同棲している恋人・鈴木里美と、親友・今井伸二がいる。菅原は里美との生活に安らぎを得、今井と会うときには仕事の愚痴を話したり、ごく普通に過ごし、そんな生活が今後も続くと信じていたが、実は二人は菅原の仕事を快く思ってはいなかった。ある日勇がとある不祥事で芸能界を追放され、事態が急変する。勇との熱愛をスクープされた香にも芸能人としての存続の危機が訪れ、菅原も芸能記者として最悪の事態に陥る……。【公式サイトより】

三浦大輔さん、3年ぶりの書き下ろし新作。
 

左右に回転舞台があり、下手側は加藤勇のマンションのエントランス、その部屋、橋本香の事務所など、上手側はマンションのゴミ置き場、菅原と里美の部屋、智子が営むスナック、喫茶店などに変化。勇の部屋と菅原の部屋にはそれぞれテレビがあり、そこで流されるワイドショー番組の映像やCMもかなり凝っている。サウナやカラオケボックスのシーンでは、双方の間に小さい舞台が出てくることもあり。舞台奥上方には歩道橋。

 
本作にはまず、芸能界のスキャンダルとそれを追うメディア、その情報を受け取る庶民という構図があるのだが、人間一皮むけばみな同じ、芸能人といえども一般の人と変わりはないし、その立場は容易に変わりうる。それまで芸能人のスキャンダルを追う立場だった菅原がホステスとの写真を週刊誌に掲載され、ワイドショーでも取り上げられるのはいい例だろう。
 
また、本作では登場人物のほとんどが謝罪をする。パワハラ疑惑をかけられた橋本社長とかけた方の田村、菅原に情報提供をした裕子、釈放後の加藤、そしてその集大成とも言うべきなのが、「完璧な謝罪を思いついた」と言って開かれる橋本香の謝罪会見。
今回、座席が上手側最前列だったので、上記の回転舞台を動かしているスタッフも見えるほどで、菅原たちの吐く煙もやってくるし、ちょいと圧迫感もあって見えづらさもあったのだけど、このシーンでは客席の前に椅子が並べられ、24人のモブ(なぜか公式サイトのどこにも記載がない)が記者役となって会見が始まる。その中には菅原の姿もあり、会見の様子はテレビカメラで生中継されるという趣向。
こうすることで観客は自分も記者会見に出ているような感覚が味わえるわけだが、ここでの恒松祐里さんがとにもかくにも圧巻で、最大の見せ場を見事に自分のものにして全部持っていったなという印象。
その後、雨が降る中での菅原と里美のシーンなどもあたったが、正直なところ、香の謝罪会見の余韻の方が勝ってしまっていた。
既に映像作品でも引っ張りだこの恒松さんだが、舞台にも積極的に出てほしいのう。多分、ご本人も今回の役には手応えを感じているだろうから。
 
キャストでは他に日高ボブ美さんがきちっとお笑い担当をこなしていた他、青山美郷さんがどこか影のある感じで印象に残った。風間杜夫さんは「主将時代じゃない、教官時代だ」のセルフパロディ台詞あり(平成生まれには分かるまい。笑)。
 
上演時間2時間53分(一幕51分、休憩20分、1時間42分)。