優しい劇団『歌っておくれよ、マウンテン』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

優しい劇団の春よ来い!淡き光立つ名東公演

『歌っておくれよ、マウンテン』



【東京公演】
2024年3月20日(水・祝)
高円寺K'sスタジオ本館

作・演出:尾﨑優人(優しい劇団)
制作:優しい劇団
舞台監督:アマンド巌(優しい劇団)
演出助手:甲斐田詩乃(劇団バッカスの水族館)

出演:
千賀百子*(姉・チョメチョメ)
小野寺マリー*[(妹・ゴニョゴニョ)
尾﨑優人*(町の人/セキララ/歓迎村村長/楽団員)
池田豊(町の人/歓楽街男爵/渡し屋)
石丸承暖*[しまい俱楽部](町の人/町で一番大きな木/ビバ丸/セキララの執事/柳生宗矩/占い野郎)
宮﨑奨英*(町の人/怪しい商人/柳生十兵衛)
下野はな[マチネゲスト](王女/エミューの飼い主/楽団員)
公社流体力学[マチネゲスト](王女のおじ/交番の木村さん/楽団員)

STORY
私たちの住むこの大陸には大きな大きな山があります。この大陸の人たちは、人生に一度か二度(もっと多いかもしれません。)この山を訪ねます。艱難辛苦
を乗り越えて、 山を訪ねます。 艱難のあたりで脱する人もいます。あの山に行けば、その人が一番思い出したい事を思い出せると言うのです。皆が言うだから本当です。山の先っちょが口みたいに割れててパクパク教えてくれるのです。私達はその山に、歌を歌わせに行こうと思います。いつ誰かが歌ったあの歌を、姉
妹で聞いたあの歌を。これは私たち姉妹のそんなあれこれと、山へと向かうまでに出会ったり、別れたり
した彼らの、なんやかんや笑えて、振り返れば涙がちはちょぎれるかもしれない。そんな、旅のお話です。【公演チラシより】

名古屋では野外劇として上演された作品を東京では劇場(というかスタジオ)にて。

開場時から尾﨑さんと池田さんがデカい声で場内整理。アクティングスペースの真横にもソファ席あり。床にはブルーシート、その上にペットボトルや折りたたみ傘など。左右にスピーカーがあり、尾﨑さんが手元のスマホで操作する他、照明も持ち運びできる小さいもので、役者陣が手に持って使ったりもする。
上演中も写真、動画の撮影可能。

上演前は緩めの雰囲気だが、開演すると一転、きちんとした作品で一安心(歌や踊り、展開に緩いところはあったけど。笑)。
物語は18歳のチョメチョメと16歳のゴニョゴニョが旅に出るところから始まり、その途中で渡し屋、ビバ丸とエミュー、時空を超えてやってきた柳生十兵衛などとの出会いが描かれていく。
何よりも役者陣の息が合っていて、台詞回しのテンポもよく、膨大な量の台詞もほとんど噛むことなくまくしたてる技量の高さに感心。
千賀百子さんとザ・クズレルズのメンバーでもある小野寺マリーさん(入江雅人さんも観に来て写真も撮られていた。ええ人や…)の姉妹コンビも安心感があり、歌舞伎のように見得を切るところでは大向こうをかけたくなったぐらい。

この優しい劇団、旗揚げ公演が唐十郎さんの『少女仮面』、第2回が野田秀樹さんの『表に出ろいっ!』、第3回がつかこうへいさんの『熱海殺人事件』というわけで、私が気に入るのも当然と言えば当然かも。笑
今度は野外劇でも観てみたい。

上演時間1時間36分。