『数に溺れて』(ピーター・グリーナウェイ監督) | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『数に溺れて』

Drowning by Numbers



1988年イギリス映画 118分
脚本・監督:ピーター・グリーナウェイ
撮影監督:サッシャ・ヴィエルニ
美術:ベン・バン・オズ、ヤン・ロールフス
音楽:マイケル・ナイマン
編集:ジョン・ウィルソン

出演:
ジョーン・プロウライト(シシー・コルピッツ1)
ジュリエット・スティーヴンソン(シシー・コルピッツ2)
ジョエリー・リチャードソン(シシー・コルピッツ3)
バーナード・ヒル(検死官マジェット)
ジェーソン・エドワーズ(マジェットの息子スマット)
ブライアン・プリングル(シシー1の夫ジェイク)
トレヴァー・クーパー(シシー2の夫ハーディ)
デイヴィッド・モリッセー(シシー3の恋人ベラミー)
ジョン・ローガン(グレゴリー)、ポール・ムー二―(テイガン)、ジューン・ガーネット(ジェイクの浮気相手ナンシー)、ケニー・アイルランド(ジョナ・ボグナー)、マイケル・パーシヴァル(モーゼス・ボグナー)、ジョアンナ・ディケンズ(ハーディ夫人)、ジャニーン・デュヴィツキ(マリナ・ベラミー)、マイケル・フィッツジェラルド(70番のヴァン・ダイク氏)、エドワード・チューダー=ポール(71番のヴァン・ダイク氏)、ナタリー・モース(縄跳びをする少女)、アーサー・スプレックリー(墓堀人シド)、イアン・タルボット(刑事)、ロデリック・リー(警官)、ヴァンニ・コルべリーニ(野ウサギ)、ジョーズ・バーグ(少女の母親)

STORY
縄跳びをしながら少女が百個の星を数えるこのプロローグから死のゲームが数のナンバーカウントとともに始まる……。60歳のシシー・コルピッツ1は、夫のジェイクが日曜学校の教師ナンシーと浮気している現場を目撃し、酔っ払ってブリキの浴槽につかっている夫を溺死させる。彼女は34歳の娘シシー・コルピッツ2とともに、ジェイクの溺死を事枚として宣告してほしいと検死官マジェットに頼むが、彼は長年慕っていたシシー1が自分のプロポーズに応じるなら要求をのむと答える。12歳の彼の息子スマットは父親に劣らずのゲーム狂いで異常なほど死に執着している変わった少年である。彼をよくかまってやるシシー2は、実り少ない結婚生活に見切りをつけ母を見習って、夫のハーディが海で足をつらせたときに彼を溺死させる。マジェットは、またもやシシー2に結婚と引換に偽りの死亡証明を行おうとするが、今回もうまく拒まれてしまう。シシー1には孫娘、シシー2には姪にあたるシシー・コルピッツ3はボーイフレンドのベラミーと結婚し、何の不満もなく妊娠するが、彼が相次ぐ死に疑惑を抱く人たちの集会に参加するようになった為、カナヅチの夫をプールで溺れさせた。またしてもマジェットはシシー3に、事故だと宣言してやると言い寄るが従ってもらえず憤慨する。やがて被害者の親戚や同情者たちによって追いつめられるようになった三人のシシーは、ボートの上でマジェットを殺害し、船に水を引き始めるのだった。【「KINENOTE」より】

《ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師》上映作品。

ピーター・グリーナウェイ監督はDVD-BOXを購入するほどのファンで、マイケル・ナイマンさんと組んだ作品のサントラCDセットも持っているほどなのだけど、本作をスクリーンで観るのは初めて。
同じ名前を持つ3人の女性がそれぞれ夫を殺していき、検死官に何とかしてもらおうとするも、最後には……というブラックな本筋もさることながら、1から100までの数字が画面や台詞に散りばめられているというのもかなりトリッキー。
今回の特集上映のサブタイトルに「美を患った」とあるのは言い得て妙で、計算し尽くされた映像に酔い痴れるばかり。
ただ、シアター・イメージフォーラムでは4Kリマスターの素材を2Kで上映しているとのことで、映像はそれほど美しくなっているわけではなかったが、映画館で聴くマイケル・ナイマンさんの音楽は格別だった。