不条理コントユニットMELT
『スネーク・オイル』
2024年3月6日(水)〜10日(日)
王子小劇場
脚本:宇城悠人 演出:平田純哉
舞台監督:根津健太郎、田中心太
照明:中村仁 音響:清水元春
音楽:Yosuke Sakai(酒井陽佑)
制作協力:高本彩恵 当日運営:宮野風紗音
宣伝美術:小林未和 宣伝写真:Yukinao Hirai
舞台美術:袴田長武
映像:馬場光太、山崎立樹
配信:馬場光太、平田純哉
衣装:平田純哉
企画・制作:不条理コントユニットMELT
出演:
伊藤圭太[アガリスクエンターテイメント](岩永モチオ/総統の部下スペンサー 他)
江益凛(妻・岩永サキコ 他)
鍛治本大樹[演劇集団キャラメルボックス](前世鑑定センター・今川/博士/総統 他)
佛淵和哉(教祖・田辺タカシ/医師 他)
守屋百子(弟子・ガブリエル/ネコ型配膳ロボット/総統の妻マリア 他)
波多野伶奈(信者/ファミレスの客・なっちゃん/総統の愛人、映画女優ジェニファー/刑事 他)
平田純哉(信者/探偵/総理大臣/敵兵リチャード 他)
さとうゆうき(信者/老婆/ファミレスの客/コーヒー好きの人/悪口を言う少年 他)
酒井陽佑(生演奏/記者)
渋木耀太(声の出演)
STORY
魂の存在が科学的に証明された。すべての生き物が死後別の生命に転生することが前提となった社会では、前世の履歴さえ鑑定することができる。ある日、不審死を遂げた妻の身元引受人として呼び出された男は、死んだはずの妻が平気で動いたり喋ったりしている姿を目の当たりにする。魂だけが残された動く死体の妻と夫の共同生活には、腐臭が忍び寄る。そこに現れた感情に目覚めしネコ型配膳ロボットは、人類の滅びを予言する―。幽霊、ロボット、ネアンデルタール人、そして人間と流しそうめん。ヒトとヒトならざる者たちが繰り広げる、贋作・サピエンス全史。この茶番劇を目にしたあと、なぜかあなたは涙する。【公式サイトより】
佐藤佐吉演劇祭2024参加作品。
舞台は2段の段差あり。背景が黒で白いテープが斜めに走って空間を区切っており、上手側の一角に映像を投射。その他、枠組のみの立方体がいくつか配置。場面によってスツールを数脚使用。また、下手には生演奏の酒井陽佑さんが陣取る(基本的に俯いた姿勢)。
タイトルの「スネーク・オイル」は「いんちき、当てにならない話」を表す言葉で、魂の存在が科学的に証明された世界が舞台。
てっきり何本かのコントをオムニバス形式で上演するのかと思っていたが、かなり演劇寄りな作品だった。小野小町の遺体が腐敗していく様子を描いた《小野小町九相図》に倣って9つの場面で構成する予定が13に増えたそうだけど、軸となるのはある夫婦の物語。この世界では魂の存在が科学的に説明されているのだが、それによって新興宗教をはじめとしたスピリチュアルなものの胡散臭さが露呈してしまうのが面白い。
映像や音楽を使ってスタイリッシュに見せるところもあり、それはそれでいいのだが、コントユニットという前提があるので冒頭の酒井さんの本格的な歌にしても何かオチがあるのかと思ってしまった。
上演時間1時間53分。
アフタートークは詩人、小説家の東直子さん。宇城さんがファンだそうで、著書を何冊も持ってきていた。