劇団二進数『死して尚、生きてナオ』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

劇団二進数第七回公演

『死して尚、生きてナオ』



2024年3月1日(金)〜3日(日)
王子小劇場

脚本・演出:樋口龍成
舞台監督:竹内恵理香
舞台監督補佐:下元彩椰、田中文葉
舞台美術:斎藤渓、小池瞬介、志内要
音響:鈴木幸弘、今井悠人
照明:藤咲穂香、中山さなぎ
制作/広報:石井祥伍、金山亜未、木原彰一、君島嘉華、清水奈津、関美穂
宣伝美術:山田航太郎、黄木日菜子、三浦杏樹
稽古場:小川直優太

出演:
松尾樹(杉田なお/杉田ナオ)
永井大創(なおの小学生時代からの友人、小学校教諭・慎吾)
せこはやと(なおの中学時代からの友人、保険会社の営業マン・平田(ひらりん))
樋口龍成(なおの高校時代のバンド仲間、精神科医・拓也)
早川留加(なおの大学時代の敵、高級居酒屋店主・陸人)
小川直優太(ゲームの声)

STORY
「素直でまっすぐな、優しい人間になりなさい」小学校では足が速くてモテた。中学ではパソコン部を立ち上げ、少し頭が良くてモテた。高校ではモテたくてバンドを始めた。そこまでではないが、モテた。大学では、自分と同姓同名の俳優が売れ始めて、自分もそれに肖ってモテるチャンスだと思っていた。しかし、「残念な方」「駄作」などと言われるように。そして、25歳になった杉田なお。なんか、別に嫌なことも無いんだけど。良いこともないなぁ。昔の友人と居酒屋で飲む。隣のどうでもいいサラリーマンの会話が入ってくる。「最近、テレビとかオワコンじゃん。プロ意識みたいなのが昔と比べるとないっていうかさ、あの俳優誰だっけ、ナントカナオみたいな、あれも普段女の子と遊びまくってるらしいよ。この前行ったお店の子が言っててさ、、」自分のことじゃないのに自分のことを言われているようで、無性に腹が立った。お酒も回っていてつい声をかけそうになった瞬間目の前にいたのはテレビで見ていた杉田ナオ本人だった。「代わりに死んでくれる?」【公式サイトより】

佐藤佐吉演劇祭2024参加作品。

舞台下手側はなおが居候しているしんちゃんの部屋。ローテーブル、机と椅子、横長の棚など。上手側はひらりんの部屋で手前にソファ、奥に縦長の棚があり帽子などがかけられている。その他に木製の椅子が4脚。

劇団二進数は慶應義塾大学の公認サークルを母体に2019年旗揚げ。東京学生演劇祭2022では大賞を受賞して全国学生演劇祭東京代表となり、審査員奨励賞・観客賞を受賞している。

…との触れ込みだったのだけど、こと本作に関してはその片鱗を微塵も感じさせてくれなかった。これほど穴だらけの脚本も久し振りかも(「完成度は完璧」とツイートしていた人もいましたけどね…)。
細かいことを書き出すとキリがないけど、まず根本的な問題として、人気俳優の杉田ナオが同姓同名の杉田なおに「代わりに死んでくれる?」と頼むのがまず謎。なおが死んだというニュースが流れれば、ナオが死んだと世間が思い、自分はしがらみから解放されるという理屈らしいのだけど、まったくもって意味不明。
あと、実際になおが交通事故で死んだというニュースが流れて葬式まで出したのに、実はなおが生きていたという展開は無理があるにも程がある。鑑賞中、何度ため息をついたことか。

キャスト陣もなぁ…。主演の松尾樹さんや友人役の永井大創さんなんかは結構イケメンだし、せこはやとさんは小太りキャラを確立しているけど、千穐楽というのに噛みまくってグダグダ。樋口龍成さんと早川留加さんも滑舌をもっと頑張って……。

上演時間1時間58分。