早大劇研『シン・ワ』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

早大劇研企画公演

『シン・ワ』



2024年2月29日(木)〜3月4日(月)
大隈講堂裏劇研アトリエ

作・演出:佐織祥伍
演出補佐:佐久間喜望、時吉海希
稽古場制作:小林沙瑛
照明:中村仁(黒猿) 照明操作:小林沙瑛
音響:秋尾藍歌 音響補佐:平野樺香、久間朝陽
映像:小西美雨 映像補佐:川元優輝
映像操作:吉岡采莉 舞台監督:早坂奈菜穂
舞台監督補佐:成海ことね、小林未和、谷川大吾、能見千秋
舞台美術:稲葉捺月 舞台美術補佐:田中優笑
美術製作:谷川大吾 衣装:久佐山れヱと
衣装補佐:堀込美桜 メイク:堀込美桜
小道具:齊藤真菜香、吉岡采莉
振付:佐久間喜望
宣伝写真:石川絢菜 宣伝美術:小林未和
広報:池森香乃 制作:5 制作補佐:えすた
スーパーバイザー:小島淳之介、時吉海希
主催:早稲田大学演劇研究会

出演:
田中優笑(そう)
池森香乃(梅田若丸)
川元優輝(男)
齊藤真菜香(真名)
佐織祥伍(オレステス)
樺香[カコ](エレクトラ)
きよすけ[劇団木霊](刑事・古田)
栖田ひまり[劇団木霊](古田の部下・白石)
久間朝陽(同・石井)
村瀬星哉(同・新山)

スウィング:
櫻井結子、藤井一輝

STORY
「助けてください。人を殺しました。」嘘ばかりが流れるエイプリルフールのSNS。男は運命に手繰り寄せられ、嘘かもしれない投稿に引き寄せられていく。投稿したのは一人の女子高生。彼女は殺人の容疑をかけられているらしかった。嘘が本当になっては混乱していく。暗い真昼を、駆けていく。【Twitter公式アカウントより】

早大劇研企画公演。
新歓公演『走れメルス』では潤色・演出を務めた佐織祥伍さんによるオリジナル作品。

舞台には直角に交わる通路。下手側に出入口があり、縦長の壁の根元部分が緩やかなカーブを描く。その横に二段舞台。その手前の床部分には日付や時刻が表示される。上手も出入りに使用。
また、客席も特徴的で、下手側と上手側で段差がついていて、下手側の方が高くなっている。

物語は2024年4月1日、「人を殺しました」というツイートをした少女とそれを読んで渋谷駅に少女を探しにきた男、少女を追う刑事たち、突然、少女と男に救いの手を差し出すギリシャ悲劇のエレクトラとオレステスの姉弟を軸に展開。
こうしてほえるべき太陽が昇らず、嘘のようなことばかり起きる神なき世の真の神話(シン・ワ)が始まっていくのだが、その顛末を外側から見ているのが道に倒れていたそうと彼に声をかけた梅田若丸の2人。
能『隅田川』に『罪と罰』、『太陽にほえろ!』(令和の学生演劇で石原裕次郎さんの名前を聞こうとは)などなど様々なモチーフを散りばめ、言葉遊びも多いあたり、野田秀樹さんの影響を強く感じるが、それらを1時間半のオリジナル作品に仕立てる力量は確かなものがある。
劇中、『ハムレット』ぐらいなら自分でも書けるというオレステスが「僕だって時流に乗れば、あっという間に芸劇(東京芸術劇場)プレイハウス行きだね!」と言っていたが、やはり目標はそこか!笑

キャストでは『走れメルス』でも印象的だった齊藤真菜香さんがやはり本作でもひときわ目を引いた。樺香さんも現在のシーンとギリシャ悲劇のシーンとでの切り替えが見事。
終盤、ツイートを読み上げていく池森香乃さんにもグッときた。

上演時間1時間28分。