ちょっとこのドラマだけではタナケンの凄さが伝わってきませんが、「僕の代わりなんていくらでもいる」というのはモデルとなった榎本健一さんほどの人でも恐らく感じていた思いなのでしょうね。頂点を極めた人だからこそその世界の厳しさを誰よりも知っているものなのかもしれません。
「まだまだ笑わせたい」「僕たちはお客さんを楽しませなくちゃいけない」と復活に意欲を見せるタナケンの気迫を感じつつ、「負けてられへん」と奮い立つスズ子。タナケンが「復活してみせる」と言いながら、リンゴをかじるのはちょっと謎演出でしたけれども。笑
そんなある日、スズ子は羽鳥家へ。愛子を置いて出かけることにも慣れた様子ですね。
帰りに買い物してくるというスズ子にネギ、ニンジン、ゴボウ、ジャガイモ、それから砂糖と次々に頼む晶子。なるほど。これが「買物ブギー」に繋がっていくわけですな。
麻里に挨拶してピアノが聞こえてくる羽鳥の部屋に入ってみると、ピアノを演奏していたのは羽鳥ではなくカツオ。練習を切り上げて宿題をやろうとするカツオに「勉強なんてどうだっていい」と羽鳥。笑
あえなく逃げられてしまった羽鳥は、スズ子に「純粋に音楽に向き合えるのは今だけ」と惜しむ。好きだった音楽も仕事になってしまえば、最初の気持をつい忘れそうになるという羽鳥に共感するスズ子。
「ブギもネタ切れ」だという羽鳥に「ムーンライト・ブギー」「サンシャイン・ブギー」などと提案するもことごとく却下。スズ子が羽鳥家を辞する際、麻里が買い物を忘れないように言うのを聞き、新客の着想を得る羽鳥。
もちろん今回の話はフィクションですが、笠置シヅ子さんのキャラクターなしに「買物ブギー」は誕生しなかったでしょうね。まさに服部良一さんにとってはミューズ的存在だったのでしょう。
スズ子が帰宅すると、山下が来ており、トミが昨日の晩、肺結核で亡くなったことを告げる。昨日に引き続き、よくない報せを持ってくる役目を担わされる山下さん……。
スズ子は記者が騒ぐことを覚悟しつつも愛子を連れて葬儀へ。この辺は今も昔も変わらないというところでしょうかね。