guizillen『ファンタスティックベイビーズ』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

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『ファンタスティックベイビーズ』



2024年2月21日(水)〜26日(月)
王子小劇場

脚本・演出:佐藤辰海(guizillen)
振付:まてむり村長(金渕琴音)
舞台監督:水澤桃花(箱馬研究所)
照明:近藤可奈子(FictiF) 音響:Mana-T
制作:末安陸(guizillen) 受付:神近梨子

出演:
門田友希[guizillen](劇団員/ミヤタの子供・みーちゃん/他)
片腹年彦[guizillen](劇団員/突撃系YouTuber・広瀬ひろし/塾講師/他)
笹井雄吾[guizillen](劇団員/アレフ/他)
末安陸[guizillen](ジョーカー・城ケ崎)
久間健裕[ネジマキトカゲ/マチルダアパルトマン](旅系YouTuber・アシタカ/疲れた女の母/他)
シミズアスナ(かわいこちゃん/田舎暮らしのYouTuber・カヤ/マナブ/ヒーローショーのおねえさん/酔っぱらいOL/保育士/他)
米田ひかり[KNOT](ヒロの姉/山田さん/子アシタカ/他)
佐々木タケシ(ヒロ/バーサーカー/他)
我修院達子(トー横キッズ・リリ/他)
亀井陵市[オフィスサカイ](イケメン/ケータ/他)
篠原正明[ナカゴー](劇場オーナー/元トー横キッズ・小林/チチタカ/他)
安東信助[日本のラジオ](ひろしの父/居酒屋店員・ミヤタ/村人/警察/人魚姫/他)
小嶋直子(主宰/アシタカの相棒・ヤックル/ミヤタの妻/疲れた女/熊/他)
平川千晶(舞台監督/女子高生/アイナ/アシタカの母/他)
遠さなえ(ひろしの母/居酒屋店員、クルド人・ファティマ/アイナの姉/リリの母/他)
三本木大輔(動物園/金田くん/他)

STORY
4年前、王子小劇場で1ヶ月公演を打ち、大成功を収めたguizillen(ギジレン)。結成5年の彼らの未来は明るい――はずだった。前回の公演直後に流行した新型コロナウイルス感染症により、すべてを失った彼らは演劇で何を伝えればいいのか模索する。しかし公演直前、劇場オーナーのパワハラにより上演が危ぶまれる中、ヒーローが助けに来る。ヒーローがオーナーをボコボコにして去っていった後、ジョーカーが現れ、火をつけようとするが失敗。人々が憎悪をむき出しにすると、アシタカが止めに入る。

佐藤佐吉演劇祭2024参加作品。

冒頭、門田、片腹、笹井の劇団員3人が4年ぶりの公演となった経緯を述べた後、一旦暗転すると一瞬でブリーフ一丁に。この4年で何もかもを失い、夢を叶えられなかった(若)者たちの「汗とよだれの手作り演劇」はこうして始まる。
背景の黒い幕がめくられると出演者が大勢いて、歌とダンスが始まるのだけど、もうこの出だしからして私好み。同じパンツ一丁の男性が多く出てくる作品でもやはり昨日の『インヘリタンス』のようなスタイリッシュな作品よりも、こういう役者全員が生き生きして熱量が感じられる作品の方が好みなのよなぁ。
題材的には演劇界のパワハラやらトー横キッズやら迷惑系YouTuberやら宗教二世やら、ここ4年ぐらいの社会問題をあれもこれも詰め込んだごった煮のごとき作品だけど、2時間半休憩なし(一瞬、背伸びタイムあり)でも飽きることは一切なく、現実には色々なことがあるけれど、それでも物語の力を、演劇の力を信じようとする姿に涙腺を刺激された(この手の作品にヨワイのよ)。
劇中、ストリートミュージシャンのアイナが披露するのがBLANKEY JET CITYの「小さな恋のメロディ」で、その歌を聴いたリリとケータが同名映画を観に行くのもいいのよねぇ(嫌いではないけど「小さな恋のうた」じゃなくてよかった。笑)。

キャストではナカゴー・篠原正明さんのお元気な姿を見られたのが嬉しかった他、安東信助さん、遠さなえさんといったお馴染みの方々はもちろん、初めましてな方々もみんなよかった。とりわけシミズアサナさんは冒頭のダンスシーンからして目を引き、その後も様々な役で楽しませてくれた。

上演時間2時間27分。