『インヘリタンス―継承―』前篇・後篇 | 新・法水堂

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『インヘリタンス―継承―』

THE INHERITANCE


【東京公演】
2024年2月11日(土)〜24日(土)
東京芸術劇場プレイハウス

作:マシュー・ロペス エドワード・モーガン・フォースターの小説『ハワーズ・エンド』に着想を得る。
訳:早船歌江子 ドラマターグ:田丸一宏
演出:熊林弘高
美術:二村周作 照明:佐藤啓
映像:松澤延拓 音響:長野朋美[オフィス新音]
衣装:伊藤佐智子[プリュッケ]
ヘアメイク:稲垣亮弐 ムーブメント:柳本雅寛
インティマシーコーディネート:西山ももこ
舞台監督:齋藤英明
演出部:山本修司、飯田浩、小野寺栞
照明部:溝口由利子 映像部:堀田創
音響部:渡邊卓也、北村夏主馬
衣裳部:山中麻耶、赤瀬菜穂
ヘアメイク部:今野富紀子
映像デザイナー:松尾佑一郎、中澤裕季、谷口綾、ZUMA、平澤達朗
美術助手:土田しほり
衣裳助手:関口琴子、伊藤真弓、江森明日佳
衣裳制作:都築彩
キャスティング協力:堀内美穂
制作進行:藤野和美、尾崎裕子、小田未希
大道具:伊藤清次[C-COM]
小道具:西村太志[高津装飾美術]
運搬:マイド 広報:森明晞子
宣伝協力・公式サイト:ディップス・プラネット
宣伝美術:浜辺明弘、松崎貴史[WATCH inc.]
宣伝写真:ケイ オガタ
宣伝写真レタッチ:栗山和弥
宣伝コーディネート:奈良間里加子
宣伝衣装:伊藤佐智子
宣伝ヘアメイク:稲垣亮弐
宣伝映像撮影・コメント映像編集:西野正将
トレイラー映像編集・制作:神之門隆広

出演:
福士誠治(エリック・グラス)
田中俊介(トビー・ダーリング)
山路和弘(ヘンリー・ウィルコックス)
篠井英介(ウォルター・プール/エドワード・モーガン・フォースター)
新原泰佑(アダム・ルーカス・マクドウェル/レオ)
柾木玲弥(ジャスパー/ヘンリーの息子ポール・ウィルコックス)
百瀬朔(ジェイソン1/ドアマン)
山森大輔(ジェイソン2/診療所の人)
岩瀬亮(トリスタン/ディーラー)
野村祐希(若き日のヘンリー/他のエージェント)
佐藤峻輔(若き日のウォルター/タッカー)
久具巨林(ヘンリーとウォルターの友人ピーター・ウエスト)
山本直寛(ヘンリーの息子チャールズ・ウィルコックス/トビーのエージェント)
麻実れい(マーガレット・アベリー)

STORY
[前篇]エリックと劇作家のトビー、初老の不動産王ヘンリーとそのパートナーのウォルターの2組のカップルを中心に物語は展開する。ウォルターは「田舎の家をエリックに託す」と遺言して病死する。トビーの自伝的小説がヒットしてブロードウェイで上演されることになるが、その主役に抜擢された美しい青年アダムの出現により、エリックとトビーの仲は破綻する。しかしトビーはアダムにふられ、彼にそっくりのレオを恋人にする。一方、リベラルと保守の両極のようなエリックとヘンリーが、ふとしたことから心通わせる。エリックは、ウォルターの遺言の「田舎の家」が、エイズで死期の近い男たちの看取りの家となっていることを知る。
[後篇]エリックとヘンリーが結婚することになり、ジャスパーら古い友人たちとの間に溝ができる。結婚式に、トビーがレオを伴って現れる。レオを見て顔色を変えるヘンリー。トビーは式をぶち壊して失踪する。トビーに捨てられHIVに感染し行き場をなくしていたレオをアダムとエリックが救う。レオを「田舎の家」に連れて行くと、そこには男たちに寄り添い続けたマーガレットがいて、この家で起ったことを語り始める…。ウォルターの遺志を継ぐ決心をするエリック。レオは彼らの物語を書き残していく。【公式サイトより】

2018年、ロンドンで初演。翌年ブロードウェイで上演され、ローレンス・オリヴィエ賞で4部門、トニー賞で4部門を受賞した作品の日本初演。

舞台上手奥に向けて段々があり、壁にスクリーン。その手前はカーテンが敷かれる。白い紐が舞台全面と下手側斜め後方の面を囲む。

E・M・フォースターが1910年に発表した『ハワーズ・エンド』に着想を得て描かれるニューヨークのゲイ・コミュニティの物語。
前篇・後篇を通して6時間半という長さにいささかためらっていたものの(そもそもスケジュールの都合をつけづらい)、評判がいいのと観劇予定が一つ飛んだお陰もあって鑑賞することに。
これまでも長い演劇は(『グリークス』にいたっては10時間)観てきたので見始めてしまえば長さはさほど苦にならなかったものの、正直なところ、それだけの長さが必要だったのだろうかという疑問は残った。その点、これまた直尺でエイズを題材にした『エンジェルス・オブ・アメリカ』に軍配を上げざるを得ない。
また、直前に予約したせいもあって座席が後方だったのだけど、そこまで役者の熱量は届いてこなかった(
その中では田中俊介さんと新原泰佑さんがよかった)。最後の最後にようやく出てくる麻実れいさんは別格で惹きつけられたけれども。
T細胞の説明で『鬼滅の刃』を出してくるのもなぁ…(原作戯曲では『ゲーム・オブ・スローンズ』が使われている)。

上演時間:前篇3時間1分(一幕1時間3分、休憩15分、二幕三幕1時間43分)後篇3時間28分(一幕1時間12分、休憩15分、二幕・三幕2時間1分)。