椿組『ガス灯は檸檬のにほひ』 | 新・法水堂

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椿組2024年新春公演

『ガス灯は檸檬のにほひ』



2024年1月25日(木)〜2月4日(日)
ザ・スズナリ

脚本:秋之桜子(西瓜糖)
演出:藤井ごう 挿入歌:山崎ハコ
舞台美術デザイン:加藤ちか
照明プラン:沖野隆一(RYU CONNECTION)
照明オペレーター:野中千絵(RYU CONNECTION)
音楽・作曲:寺田英一
音響プラン:佐久間修一(POCO)
音響オペレーター:益川幸子
衣裳デザイン:阿部美千代(株・MIHYプロデュース)
振付:スズキ拓朗(CHAiroiPLIN)
殺陣指導(擬闘):栗原直樹(WGK)
殺陣助手:西村聡 演出助手:伊沢奈々
かつら(床山)メイク:杉岡実加
かつら:丸善 人形・小道具デザイン:松本淳市
舞台監督:野口研一郎、佐藤昭子
舞台監督助手:松本淳市
舞台協力:鳥越勇作、外波山流太、宮本翔太
HPデザイン:福原望
制作票券:佐藤希(アンデム)、清水直子、佐野(づき(アンデム)、吉野美紀
宣伝美術:黒田征太郎+タカハシデザイン室

出演:
加山徹(草次郎)
井上カオリ(花魁・小鈴)
山中淳恵(お夏)
外波山文明(お夏の父・石守光政/汽車の乗客・子供)
鈴木幸二(草次郎の幼馴染・権左衛門/イギリス人)
佐藤銀平(権左衛門の弟・右佐治/汽車の乗客・父)
田渕正博(県令・桃山桃之助/テーラー・桃山栗之助/カフェ店長・桃山柿之助)
斉藤健(三斬)
長嶺安奈(三斬の妻・珠代)
十河尭史(似顔絵描き・平助)
浜野まどか(平助の姉・お梅/汽車の乗客・母)
根本大介(ヨネ)
鈴木彩乃[劇団晴天](夢之丞一座座長・夢之丞)
佐久間淳也(夢之丞一座座員・夢之介)
岡村多加江(女中・お兼/カフェー店員)
木下藤次郎(雇人紹介所・服部)
土屋あかり(同・亮子/女学生)
奥山美代子[文学座](馨子・スミス(スミス夫人))
谷口双葉(馨子の息子・ジョージ/女学生/雇人紹介所の客/スミス家のメイド)

STORY
明治4年の廃藩置県により領主ではなくなった石守光政は娘のお夏とともに東京へ向かう。お夏の幼馴染の草次郎はお供としてついていこうとするが、恋敵でもある権左衛門とその弟・右佐治がその任にあたることになっていた。県令として赴任してきた桃山桃之助は花冠を作る草次郎の手先の器用さを見込み、弟の栗之助が浅草で店主を務めるテーラーを紹介する。浅草にやってきた草次郎は、似顔絵描きとその姉・お梅、毛唐嫌いの元武士・三斬(さんざ)と妻の珠代、平助に夢中なヨネといった住人が暮らす長屋に住み着く。草次郎は平助に描いてもらった似顔絵でお夏を捜すが、一向に見つからないまま明治5年を迎える。そんな折、草次郎の枕元に瓢箪池で釣りをしていた時に助けた小鈴という花魁が現れる。小鈴は恋人への未練を抱いたまま亡くなっており、草次郎以外にはその姿が見えなかった。似顔絵を見た亮子からお夏が雇人紹介所にやってきたことを知った草次郎は、お夏が職を得た横浜のスミス邸へと向かう。そこには父親を亡くしてから笑わなくなったジョージという息子がいた。

2022年、初日直前に公演中止となった作品。新たに加山徹さんを主演に迎え、脚本も書き換えたとのこと。

椿組は毎回、作・演出を異なる人が務めているが、どの作品においても「ああ、いい芝居を観たなぁ」という心持にさせてくれる。それはとりもなおさず、座長・外波山文明さんの芝居作りに対する姿勢が貫かれているからであろう。
本作でも旅芸人一座主導の歌あり踊りあり(ビートルズの「Hello, Goodbye」調)、山崎ハコさんの挿入歌あり、殺陣あり、回転盆ありで芝居の楽しさを存分に味あわせてくれる。
明治5年、横浜に最初のガス灯が造られ、新橋〜横浜間を汽車が走り、そしてカフェーではレモネードが出される。そんな新しい時代を迎えて適応する者もいれば、三斬や右佐治のように抵抗する者もいるわけだが、そんな激動の時代をたくましく生きる市井の人々の姿が生き生きと描かれていた。

キャストはいずれも適役だったが、中では右佐治役の佐藤銀平さん(父・B作さんは本多劇場に出演中)とジョージ役の谷口双葉さんが印象に残った。

上演時間2時間1分。

カーテンコールは撮影可。井上カオリさんの体が布で隠されているのは衣裳でのネタバレ阻止のため。