二兎社公演47
『パートタイマー・秋子』
【東京公演】
2024年1月12日(金)〜2月4日(日)
東京芸術劇場シアターウエスト
作・演出:永井愛
美術:大田創 照明:中川隆一
音響:市来邦比古 衣裳:竹原典子
ヘアメイク:清水美穂
沢口靖子ヘアメイク:黒田啓蔵、胡桃沢和久(Iris)
演出助手:白坂恵都子 舞台監督:澁谷壽久
照明操作:吉田裕美、横田幸子、林美佐、安田正彦
音響操作:堤裕吏衣
舞台監督助手:竹内章子、加瀬貴広、宇野圭一
衣裳助手:田辺雪枝 プロンプター:中舘早紀
宣伝美術:永瀬祐一(BATDESIGN inc.)
宣伝写真:西村淳
宣伝ヘアメイク:黒田啓藏、胡桃沢和久(Iris)
舞台写真:本間伸彦
ウェブデザイン:宇田敦子(動画まわり)
票券:熊谷由子 客席案内:ヴォートル
制作助手:鴻上夏海、小川菜穂
制作協力:new phase、ycoment
制作:安藤ゆか、持田有美
出演:
沢口靖子(「フレッシュかねだ」パートタイマー・樋野秋子)
生瀬勝久(品出し担当・貫井康宏)
亀田佳明(店長・恩田俊夫)
小川ゲン(副店長・竹内慎二)
土井ケイト(青果担当・春日勇子)
中舘早紀(惣菜担当・窪寺久仁子)
吉田ウーロン太(鮮魚担当・師岡保男)
田中亨(精肉担当・小見洋介)
石森美咲(チェッカー主任・新島喜美香)
水野あや(チェッカー・小笠原ちい子)
関谷美香子(チェッカー・星ひろ代)
石井愃一(万引犯・大坪久弥)
STORY
樋野秋子は成城でセレブな生活を送る専業主婦。だが、夫の会社が倒産したため、働くことを決意する。勤め先に選んだのは、自宅から遠く離れたスーパー「フレッシュかねだ」。パートタイマーとして働く姿を近所の人に見られたくなかったのだ。しかし、そこは秋子の想像を超えたディストピア的世界だった。賞味期限の改ざんやリパック、商品のちょろまかし、いじめなど、あらゆる不正が横行している。正義感が強く世間知らずで他のスタッフから浮いてしまう秋子は、大手企業をリストラされ、この店で屈辱に耐えながら働く貫井と心を通わせるようになるが……【公式サイトより】
2003年、青年座のために書き下ろされた作品を二兎社として初めて上演(ちなみに初演は高畑淳子さんが主演)。
舞台は開業して21年になる「フレッシュかねだ」の2階にある従業員控室。上手に店へと降りる階段に続くドア。その横にトイレへと続くドア。上手奥に掃除道具入れ。表面にはカーテンのないガラス窓。下手の壁には従業員用のロッカーが6列×2段。その横に裏手に降りる階段に通じるドア。下手手前には冷蔵庫があり、奥には給湯室があるという設定。
沢口靖子さん扮する秋子は「フレッシュかねだ」には似つかわしくない成城住まいの女性。夫の会社が倒産したために働くことにしたわけだが、パートに出るのも初めての経験。青果担当の春日、チェッカー主任の新島、遅刻常習犯の星らはそんな秋子を最初から敵視し、赴任してきたばかりの店長が改革を進めようとしても従おうとはしない。
と、そこへ掃除道具入れから突然現れたのが仕入れ担当の貫井。彼はかつて住宅メーカーの部長職にあったがリストラで解雇され、自分の息子と同じ年の副店長・竹内から口汚く罵られる日々を送っており、もうこの店を辞めようかと思っていたところだと言う。
店では従業員たちがレジを通さずに商品を持ち帰ったり、精肉ではリパックを行っていたり、様々な不正が常態化しているのだが、てっきり秋子が中心となってそうした店のあり方を変えていくのかと思いきや、彼女自身も店長から特別手当を餌にリパックを持ちかけられて応じてしまう。本作はスーパーマーケットの話ではあるけれど、昨今の自民党の裏金問題を想起せずにはいられなかった。もちろん、最初から私腹を肥やそうと議員になった人もいるかもしれないけど。笑
多分、初めて生で見る沢口靖子さんは決して演技がうまいとは言えないが、二幕の冒頭では「夏の扉」の替え歌を振り付きで歌うなど可愛らしさ満点。
タナケン…じゃない、生瀬勝久さんもクセの強いオヤジを好演。店員の中では、替え歌を歌ったりそれぞれの売り場に合ったシャッポをつけたりといった営業方針の転換に最後まで抵抗する土井ケイトさんが存在感あり。
また、体調不良の稲村梓さんの代役を急遽務めたプロンプターの中舘早紀さんが実に堂堂とされていたのが印象に残った。
上演時間2時間38分(一幕1時間13分、休憩15分、二幕1時間10分)。