ホリプロ『オデッサ』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ホリプロ

『Odessa オデッサ』



【東京公演】
2024年1月8日(月・祝)〜28日(日)
東京芸術劇場プレイハウス

作・演出:三谷幸喜
音楽・演奏:荻野清子
美術:松井るみ 照明:服部基 音響:井上正弘
衣裳:前田文子 ヘアメイク:高村マドカ
映像:ムーチョ村松 演出助手:伊達紀行
舞台監督:瀧原寿子
英語監修:宮澤エマ 鹿児島弁指導:迫田孝也
ナレーション:横田栄司

出演:
柿澤勇人(スティーブ日高(スジオ))
宮澤エマ(カツコ・カチンスキー警部)
迫田孝也(児島勘太郎)
 
STORY
アメリカ、テキサス州オデッサ。1999年、一人の日本人旅行客がある殺人事件の容疑で勾留される。彼は一切英語を話すことが出来なかった。捜査にあたった警察官は日系人だったが日本語が話せなかった。語学留学中の日本人青年が通訳として派遣されて来る。取り調べが始まった。登場人物は三人。 言語は二つ。 真実は一つ。密室で繰り広げられる男と女と通訳の会話バトル。【公式サイトより】

三谷幸喜さん最新作。
開演前のアナウンスは三谷さんが鹿児島弁と英語にて。いつものふざけた感じ。

舞台は食堂。下手にドア。テーブル席が2つ。上手にカウンター席。カウンター背後の壁には時計。手前にトイレへと通じる出入口。また、下手袖では荻野清子さんがウエスタンな格好でピアノの生演奏。

タイトルのオデッサはテキサス州にある町の名前。ここで81歳の元校長が殺された事件が起き、被害者の息子の目撃証言から日本人観光客の児玉勘太郎に容疑がかけられる。英語が話せない児玉の取り調べのため、通訳として白羽の矢が立てられたのがジムで働く日本人留学生・スティーブ日高(本名はスジオ)。取り調べを担当するのが母親は日本人だが、日本語が話せないカチンスキー警部。
取り調べの前に日高は児玉が同じ鹿児島県出身だと知って意気投合(日高は鹿児島市、児玉は指宿市)。児玉がカチンスキー警部の取り調べに対して犯行を認める供述をするが、彼の無罪を信じる日高は警部に対して嘘の通訳を始める。
児玉の動きに合わせて、実家が蕎麦屋だということにしたり殺風景な景色を見て詩を作っていたということにしたり、日高が必死で取り繕う姿が笑いを生む。このあたりは三谷さんの筆が冴え渡る。
事件の真犯人だったり、児島が犯行を認める供述をした理由などは布石が置いてあるので、ちゃんと拾っていればある程度予想はつくのだが、三谷作品でおなじみの芸達者3人が実に巧みで、一瞬たりとも飽きさせないのはさすが。
字幕も遊び心があり、何より最後列でもしっかり読めるのがありがたかった。

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の後、体調不良で舞台を降板していた横田栄司さんがナレーションなのが胸熱でありましたね。

上演時間1時間43分。