舞台『ジャンヌ・ダルク』(2023) | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『ジャンヌ・ダルク』
Jeanne d'Arc


【東京公演】
2023年11月28日(火)~12月17日(日)
東京建物Brillia HALL

演出:白井晃 脚本:中島かずき
原案・監修:佐藤賢一 音楽:三宅純
美術:松井るみ 照明:おざわあつし
音響:井上正弘 映像:栗山聡之
衣裳:太田雅公 ヘアメイク:川端富生
アクション:渥美博
アクション助手:亀山ゆうみ
演出補:豊田めぐみ 演出助手:木村穂香
舞台監督:村田旬作、田中政秀
技術監督:白石良高
コンディショニングトレーナー:伊藤洋
制作:佐々木康志、藤本綾菜
制作統括:笠原健一
プロデューサー:熊谷信也
企画製作:キョードー東京

出演:
清原果耶(ジャンヌ・ダルク)
小関裕太(シャルル7世)
りょう(マリーの母ヨランド・ダラゴン)
山崎紘菜(シャルルの妻マリー・ダンジュー)
神保悟志(筆頭侍従官ジョルジュ・ドゥ・ラ・トレムイユ卿)
榎木孝明(ピエール・コーション司教)
岡田浩暉(イギリス軍ベッドフォード公)
福士誠治(同ジョン・タルボット)
坪倉由幸[我が家](傭兵レイモン)
島村龍乃介(傭兵ケヴィン)
深水元基(アランソン公)
田口太智(フランス軍傭兵隊長サントライユ)
渡邊りょう(同ラ・イール)
ワタナベケイスケ[アマヤドリ](ラ・トレムイユ卿の侍従官クルパン)
岡本拓真(幻影の少年)
進藤ひろし(イングランド兵)
松上順也
稲葉俊一
嶋村昇次(イングランド兵)
森野憲一
古木将也(イングランド兵)
樋口裕司
稲葉まどか
青山裕樹(フランス兵/学僧)、有田あん(フランス兵/村人/老婆)、井澤耕平(フランス兵)、市川恭之介(フランス兵)、市川茂樹(フランス兵)、いっしー(フランス兵/貴族/大司教)、伊藤俊成、今富はな(フランス兵)、侑沙(フランス兵/村人/学僧)、牛窪航平(イングランド兵)、瓜生憲、江刺家伸雄(イングランド兵)、遠藤翔平(イングランド兵)、大浦司(フランス兵)、大山翔(フランス兵)、オカモトジョージ(イングランド兵)、奥住直也(フランス兵)、奥田龍平(フランス兵)、奥野隆之(フランス兵)、柿本龍星(フランス兵)、瓦谷龍之(フランス兵)、木香花菜(侍女/村人)、北島大昂、木ノ下藤吉(イングランド兵)、キムヒョンシク(フランス兵)、沓澤虎徹(フランス兵)、鍬野侑大(フランス兵)、小高廉斉(フランス兵/村人)、小谷和夢、小見山素朴(イングランド兵)、境悠(フランス兵/貴族)、サネユータ(フランス兵)、庄子俊徳、杉井孝光(フランス兵)、杉山将生(イングランド兵)、角谷良(イングランド兵)、高草木淳一(フランス兵/神学者)、高橋拓己(フランス兵)、滝口匠(フランス兵)、竹内穂乃花(貴族)、田島あい(フランス兵/侍女)、田中亜美(フランス兵/村人)、千依(フランス兵/村人/貴族)、鳥井燎、中島日蓉(フランス兵)、中西彩乃(フランス兵/村人/貴族/学僧/亡霊)、中村深月(フランス兵/村人)、中山優希(フランス兵)、長瀬将暉(フランス兵)、長田有正(フランス兵)、長田優花(フランス兵)、夏河京平(フランス兵)、滑川綾菜(フランス兵/村人)、成田匠(イングランド兵)、西山直秀(フランス兵)、はざきあまね(フランス兵/村人)、初鹿野海雄(イングランド兵)、早川勇平(イングランド兵)、林浩太郎(フランス兵)、菱沼祐太(イングランド兵)、日野龍一、廣田奈美(フランス兵)、藤原夏希(フランス兵/村娘/侍女)、舞沢萌愛未(イングランド兵/村人/貴族)、巻尾美優、増山海里(フランス兵)、松元飛鳥(フランス兵)、松本大吾(フランス兵)、真野壱弥(フランス兵/学僧)、丸山ひろき(フランス兵)、深月要(イングランド兵)、 南井一秀(フランス兵/学僧)、宮崎甲(フランス兵)、宮部大駿(イングランド兵)、村田正純(フランス兵/貴族/村人/学僧/司教)、望月駿(フランス兵)、森宏仁(フランス兵)、山上晃二、山崎恭輔、山田貴之(フランス兵)、山本賢太(フランス兵)、柚木涼汰(フランス兵/貴族/学僧)、吉田裕貴(フランス兵)、吉仲真輝、米山綾香、和田悠(イングランド兵)
スウィングキャスト:田口太智、竹一穂香、竹内連太郎

STORY
【第1幕・オルレアンの乙女】1431年、フランス国王の宮廷にルーアンから兵士が戻ったとの知らせが入る。立ち去ろうとする国王シャルル7世を引き留める王妃マリー。その母ヨランドは、兵士から一人の乙女の最期の言葉を聞くようにシャルルを諭すのだった。その乙女こそ、13歳で神の声を聞いたジャンヌ・ダルク。1428年、イングランド軍に故郷ドムレミ村を襲撃された彼女は、自分だけに見える幻影の少年に導かれるように敵に立ち向かい、そこで出会った傭兵のレイモンとケヴィンに自分をシャルル7世のもとへ連れて行ってほしいと頼む。翌年3月、ジャンヌはシノン城でシャルル7世に謁見する。王国の実験を握る筆頭侍従官ラ・トレムイユとその部下クルパン侍従官は、ジャンヌの神性を試そうとするが、ジャンヌは真実を見抜き、シャルルに出兵の準備を命じられる。兵とともにオルレアンへ向かったジャンヌは、総司令官タルボット率いるイングランド軍の手からオルレアンを解放。フランス軍の傭兵隊長のラ・イールとサントライユとは対照的に、なかなかジャンヌを信じなかったアランソン公爵も心を開いていく。一方、敗退したタルボットは、ルーアンでイングランドの最高権力者ベッドフォード公爵と会い、イングランドを支持するパリ大学のコーション司教と策略を練る。その頃、ランスではシャルル7世の戴冠式の準備が進んでいたが……。
【第2幕・ルーアンの魔女】1429年、ジャンヌたちフランス軍はパリに進軍するが、タルボット率いるイングランド軍との戦いに負けて撤退。コンビエーニュの町近くの丘で待機しているところを、イングランド軍に奇襲される。宮廷ではトレムイユが、クルパンがドムレミ村で調べてきたことをシャルルに伝えようとしていた。やがて届いたのは、イングランドを支持するブルゴーニュ公の兵にジャンヌが捕まったという知らせ。シャルルらはジャンヌをどうすべきか話し合うが……。そして1431年1月、ルーアン城の小さな礼拝堂で、ジャンヌの異端審問が始まるのだった。【初演時公演プログラムより】

2010年に堀北真希さん主演で初演、2014年に有村架純さん主演で再演された作品、9年ぶりの再再演。

もはや若手女性俳優の登竜門的な作品となりつつある本作だけど、清原果耶さんが主演と聞いて期待しかなかった。歴代のジャンヌは3人とも朝ドラヒロイン経験者ではあるけど、堀北さんと有村さんがジャンヌの後に朝ドラだったのに対し、清原さんは朝ドラの後のジャンヌ。前者2人は初舞台初主演ということで若干の不安はあったものの(どちらもその不安は杞憂に過ぎなかったけど)、清原さんはその点、舞台でも大丈夫でしょうという安心感がある。
結果、その期待は毫も裏切られることはなかった。凜とした立ち姿、台詞の抑揚、力強い眼差し、どれをとってもジャンヌを演じるのにふさわしいもので、改めてその実力に感服。
カーテンコールで最後に出てきた時、こんなに小さかったんだ(162cmなのでそこまで小柄というわけではないけど)と思うぐらい、舞台上では大きく見えた。

今回、脚本が改訂され、20分ほど短くタイトになっているのだけど、これまでの中でいちばんドラマ性が感じられた。
一つにはシャルル役がこれまでと違い、実際の年齢に近い(戴冠式当時シャルルは26歳)小関裕太さんが配役されたことが大きい。初演の海猿は論外として(口悪いな!)再演のSMILE-UP.社長も年齢的に差がありすぎたが、今回の小関シャルルはいい意味で等身大で、人間味を感じたし、何より最後、ジャンヌの処刑を経て王としての自覚を持つあたりの変化がしっかり伝わってきた。

この作品には欠かせない合戦シーンは、端の方の席だったこともあってか以前ほどの迫力は感じなかったが(人数も減っているようだし)、それでもやはり客席通路にジャンヌを中心としたフランス軍が横並びになり、舞台上のイングランド兵と対峙する演出は自分もフランス軍の一員になった気分が味わえて胸躍らされるものだった。

今回、サントライユ役の野坂弘さん、 ラ・イール役の粟野史浩さんがともに体調不良のため、それぞれスウィングキャストの田口太智さんと渡邊りょうさんが代役を務めたのだけど、なにぶん大所帯なので大千穐楽まで無事に公演が打てることを願わずにはいられない。