ホリプロ『ねじまき鳥クロニクル』再演 | 新・法水堂

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ホリプロ

『ねじまき鳥クロニクル』



【東京公演】
2023年11月7日(火)~26日(日)
東京芸術劇場プレイハウス
 
原作:村上春樹
演出・振付・美術:インバル・ピント
脚本・演出:アミール・クリガー
脚本・作詞:藤田貴大
音楽:大友良英
照明:ヨアン・ティボリ 音響:井上正弘
ヘアメイク:宮内宏明
通訳:鈴木なお、天沼容子
美術助手:大島広子 振付助手:皆川まゆむ
演出助手:陶山浩乃 舞台監督:足立充章
 
出演:
<演じる・歌う・踊る>
成河(岡田亨)
渡辺大知(岡田亨)
門脇麦(笠原メイ/謎の女(声))
銀粉蝶(赤坂ナツメグ)
吹越満(間宮中尉)
首藤康之[Wキャスト](綿谷昇)
音くり寿(加納マルタ/クレタ)
松岡広大(赤坂シナモン)
成田亜佑美(岡田久美子)
さとうこうじ(牛河)
 
<特に踊る>
加賀谷一肇、川合ロン、東海林靖志、鈴木美奈子、藤村港平、皆川まゆむ、陸、渡辺はるか(50音順)
 
<演奏>
大友良英、イトケン、江川良子
 
STORY

岡田トオルは妻のクミコとともに平穏な日々を過ごしていたが、猫の失踪や謎の女からの電話をきっかけに、奇妙な出来事に巻き込まれ、思いもよらない戦いの当事者となっていく――。トオルは、姿を消した猫を探しにいった近所の空き地で、女子高生の笠原メイと出会う。トオルを“ねじまき鳥さん”と呼ぶ少女と主人公の間には不思議な絆が生まれていく。そんな最中、トオルの妻のクミコが忽然と姿を消してしまう。クミコの兄・綿谷ノボルから連絡があり、クミコと離婚するよう一方的に告げられる。クミコに戻る意思はないと。だが自らを“水の霊媒師”と称する加納マルタ、その妹クレタとの出会いによって、クミコ失踪の影にはノボルが関わっているという疑念は確信に変わる。そしてトオルは、もっと大きな何かに巻き込まれていることにも気づきはじめる。何かに導かれるようにトオルは隣家の枯れた井戸にもぐり、クミコの意識に手をのばそうとする。クミコを取り戻す戦いは、いつしか、時代や場所を超越して、“悪”と対峙してきた“ねじまき鳥”たちの戦いとシンクロする。暴力とエロスの予感が世界をつつみ、探索の年代記が始まる。

“ねじまき鳥”はねじを巻き、世界のゆがみを正すことができるのか? トオルはクミコをとり戻すことができるのか―――。【公式サイトより】


2020年初演、東京公演の最後3日間と名古屋、大阪公演が中止となった作品の再演。

初演は無事に観ることができ、その後、原作も読み終えたのだけど、まぁなんせ3年以上も経っていれば忘れてまさぁね。というわけで新鮮に鑑賞。
いやしかし、改めて観ても村上春樹作品の舞台化としては一つの到達点と言ってもいい作品で、今回は無事に大千穐楽まで完走して欲しいところ。
上手側に演奏者が陣取っての生演奏、役者陣の演技と歌、そして踊り手たちのダンスと目がいくつあっても足りない状態だが、個人的には初演に比べて踊り手の動きを含むステージングの妙に目を奪われた。
成河さんの身体能力も相変わらず凄いし、銀粉蝶さんの歌は今回も圧倒的。徳永えりさんが出ていなかったのが唯一残念な点(音くり寿さんが駄目だったという訳ではありません、念の為)。

ロビーには通常のデザイン模型とは別に視覚障碍者のための観劇サポートとして、「触る模型」も展示。

上演時間3時間5分(一幕1時間35分、休憩15分、二幕1時間15分)。

上演後、「ねじまき音楽教室」と題し、演奏のお三方+成河さんと成田亜佑美さんでアフターイベント。大友さんはバンジョー、江川さんはサックス、イトケンさんはボンゴを携えて登場。
音楽については初演時、たくさん曲を作ったが、9割はNGだったとか。演奏は即興性が強く、特に最初に成河さんが出る時は大友良英さんの演奏が毎回違うので、役者によっては嫌がる人もいるかもと。また、演奏者3名も今回改めて舞台の動きを見ながら演奏でき、適当に拍を取っていたシーンのダンスが実はループしていたとか。笑
本日は首藤康之さんの誕生日ということで、最後は「ポストカード」から「ハッピーバースデートゥーユー」の演奏で締め。