ホリプロ『ねじまき鳥クロニクル』 | 新・法水堂

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ホリプロ

『ねじまき鳥クロニクル』

 
 
【東京公演】
2020年2月11日(火・祝)~3月1日(日)
東京芸術劇場プレイハウス
 
原作:村上春樹
演出・振付・美術:インバル・ピント
脚本・演出:アミール・クリガー
上演台本・演出協力:藤田貴大
音楽:大友良英
照明:ヨアン・ティボリ 音響:井上正弘
ヘアメイク:宮内宏明 通訳:鈴木なお
美術助手:大島広子 振付助手:皆川まゆむ
演出助手:西祐子 舞台監督:足立充章
 
出演:
<演じる・歌う・踊る>
成河(岡田亨)
渡辺大知(岡田亨)
門脇麦(笠原メイ/謎の女(声))
銀粉蝶(赤坂ナツメグ)
吹越満(間宮中尉)
大貫勇輔(綿谷昇)
徳永えり(加納マルタ/クレタ)
松岡広大(赤坂シナモン)
成田亜佑美(岡田久美子)
さとうこうじ(牛河)
 
<特に踊る>
大宮大奨、加賀谷一肇、川合ロン、笹本龍史、東海林靖志、鈴木美奈子、西山友貴、皆川まゆむ(50音順)
 
<演奏>
大友良英、イトケン、江川良子
 
STORY

岡田トオルは妻のクミコとともに平穏な日々を過ごしていたが、猫の失踪や謎の女からの電話をきっかけに、奇妙な出来事に巻き込まれ、思いもよらない戦いの当事者となっていく――。トオルは、姿を消した猫を探しにいった近所の空き地で、女子高生の笠原メイと出会う。トオルを“ねじまき鳥さん”と呼ぶ少女と主人公の間には不思議な絆が生まれていく。そんな最中、トオルの妻のクミコが忽然と姿を消してしまう。クミコの兄・綿谷ノボルから連絡があり、クミコと離婚するよう一方的に告げられる。クミコに戻る意思はないと。だが自らを“水の霊媒師”と称する加納マルタ、その妹クレタとの出会いによって、クミコ失踪の影にはノボルが関わっているという疑念は確信に変わる。そしてトオルは、もっと大きな何かに巻き込まれていることにも気づきはじめる。何かに導かれるようにトオルは隣家の枯れた井戸にもぐり、クミコの意識に手をのばそうとする。クミコを取り戻す戦いは、いつしか、時代や場所を超越して、“悪”と対峙してきた“ねじまき鳥”たちの戦いとシンクロする。暴力とエロスの予感が世界をつつみ、探索の年代記が始まる。

“ねじまき鳥”はねじを巻き、世界のゆがみを正すことができるのか? トオルはクミコをとり戻すことができるのか―――。【公式サイトより】


1994年に刊行された村上春樹さんの長篇小説を舞台化。
 
原作は3部からなる長大な作品なだけに、エッセンスを抽出したという感じ。
特に第2幕は思索的な内容も増えてくるので、ストーリーそのものよりも舞台美術、ダンサーの動き、歌、演奏なども含め、インバル・ピントさんらが創り出す世界観を楽しんだ。とりわけ舞台美術は変幻自在で、いつしか物語の迷宮へと誘われる。
 
成河さんと渡辺大知さんが一人二役ならぬ二人一役であることの意義はあまりピンと来なかったが(笑)、両者をはじめほとんどのキャストが歌もあり。
初舞台『ファントム』以来の徳永えりさんの歌声は進化を遂げていたし、銀粉蝶さんの貫禄の歌が聴けたのも嬉しいところ。門脇麦さんはキャラに合って可愛らしく。
 
上演時間約3時間3分(一幕1時間36分、休憩16分、二幕1時間11分)。