『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』(マリア・シュラーダー監督) | 新・法水堂

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『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』

SHE SAID

 

 
2022年アメリカ映画 129分
監督:マリア・シュラーダー
脚本:レベッカ・レンキェヴィチ
原作:ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー、レベッカ・コルベット
製作:デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー
製作総指揮:ブラッド・ピット、リラ・ヤコブ、ミーガン・エリソン、スー・ネイグル
撮影:ナターシャ・ブレイア
美術:メレディス・リッピンコット
編集:ハンスイエルグ・ヴァイシュブリッヒ 
衣裳:ブリタニー・ロア
音楽:ニコラス・ブリテル
キャスティング:フランシーヌ・マイスラー 
 
出演:
キャリー・マリガン(ミーガン・トゥーイー)
ゾーイ・カザン(ジョディ・カンター)
パトリシア・クラークソン(編集者レベッカ・コルベット)
アンドレ・ブラウアー(編集長ディーン・バケット)
ジェニファー・イーリー(被害者ローラ・マッデン)
サマンサ・モートン(被害者ゼルダ・パーキンス)
アシュリー・ジャッド(アシュリー・ジャッド)
ザック・グレニア(ワインスティーン社元財務担当アーウィン・ライター)
ピーター・フリードマン(弁護士ラニー・デイヴィス)
トム・ペルフリー(ミーガンの夫ヴァディム・“ジム”・ラットマン)
フランク・ウッド(記者マット・パーディ)
アダム・シャピオ(記者、ジョディの夫ロン・リーバー)
ロクサナ・ホープ・ラジャ(クイーンズ在住の元アシスタント)
ローラ・ペティクルー(若き日のローラ)
アンジェラ・ヨー(被害者ロウィーナ・チウ)
ショーン・カレン(ワインスティーン社役員ランス・マエロフ)
グレッグ・エデルマン(ニューヨーク・タイムズ弁護士デイヴィッド・マクロー)
キャサリン・ラヒーン(アイルランドの映画スタッフ)、エマ・クレア・オコナー(トランプの被害者レイチェル・クルックス)、ダリア・ナップ(ミーガンの娘タリア)、エメリー・エリス・ハーパー(同ヴァイオレット)、ジェームズ・オースティン・ジョンソン[声の出演](ドナルド・トランプ)、ケイティー・ニーサ(産婦人科の看護師)、サラ・アン・マッセ(記者エミリー・スティール)、マイク・スパラ(記者マイケル・シュミット)、トレイシー・ウルフ(記者)、スジャータ・エリック(同)、シャーリー・ルミアーク[声の出演](ミラマックス社従業員)、ジュディット・ゴドレーシュ[声の出演](ジュディット・ゴドレーシュ)、ディーパ・アニティア(超音波検査の技術者)、テッサ・リー(メアリー)、ケイリー・マクエイル[声の出演](ローズ・マッゴーワン)、ザブリーナ・ゲバラ[声の出演](政府職員)、ハーヴィー・フリードマン[声の出演](調査員)、アナスタシア・バージー(弁護士リサ・ブルーム)、ジョン・マズレク(ミラマックス社の元最高財務責任者ジョン・シュミット)、ヒラリー・グリア(シュミット夫人)、マキア・マーティン[声の出演](EEOC(雇用機会均等委員会)の女性)、リア・クライツ(グウィネス・パルトロウの秘書)、ニコール・ベタンコート(ウォーターミルの女性)、マーセリン・ヒューゴット(元検察官リンダ・フェアスタイン)、ルビー・トーマス(ウェイトレス)、アレックス・ハート(バーの男1)、リチャード・バッサー(バーの男2)、キャサリン・ケンドール(ミラマックス社重役)、エドワード・アスター・チン(ロウィーナの夫アンドルー・チャン)、キャスリーン・メアリー・カーシー(ローラの主治医)、マレン・ヒアリー(ローラの娘ネル)、エル・グレアム(同グレイシー)、ウェズリー・ホロウェイ(息子ハイウェル)、ジャスティン・コーラン(娘アイリス)、モリー・ウィンザー(若き日のゼルダ)、アシュリー・チウ(若き日のロウィーナ)、サフィア・オーキー・グリーン(クラブで踊る人)、キャサリン・ルフレール[声の出演](ローラの元同僚パメラ・ルベル)、アニタ・サバーウォル(ホテルの受付)、マカイラ・パットン[声の出演](ディーンの助手)、セリア・アウ(香港のウェイトレス)、ティア・ウォンルー(香港のレジ係)、ローレン・オコナー(ワインスティーン社元従業員ローレン・オコナー)、ブラッド・オルダス[声の出演](トランプの弁護士チャールズ・ハーダー)、マイク・ヒューストン[声の出演](ハーヴィー・ワインスティーン)、ジェーソン・バビンスキー(ワインスティーン社社長デイヴィッド・グラッサー)、ジョージ・ウォルシュ(弁護士)、ダヴラム・スティーフラー(編集者ローリー・トーラン)、ステファニー・ハイトマン(ウェールズの看護師)、メアリー・ヒギンズ(ローラの友人)、グウィネス・パルトロウ[声の出演・クレジットなし](本人)

STORY
ニューヨーク・タイムズの記者ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターは、ハリウッドに君臨する映画プロデューサー、ハーヴィー・ワインスティーンの数十年に及ぶ性的暴行について調査を開始する。取材を進める中、ワインスティーンが過去に何度も記事をもみ消してきたことが判明。さらに、被害にあった女性たちはそのほとんどが示談を受け入れており、証言すると訴えられるという恐怖や、当時のトラウマによって声をあげられずにいた……。問題の本質は業界の隠蔽構造だと知ったミーガンとジョディは、調査を妨害されながらも信念を曲げず、証言を決意した勇気ある女性たちと共に突き進む。そして、サバイバーたちによって遂に沈黙が破られ、ワインスティーンによる悪質な事件の全貌と真実が明らかになっていく……。【「KINENOTE」より】

ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴィー・ワインスティーン(ハーヴェイ・ワインスタイン)氏によるセクハラ被害を告発したニューヨーク・タイムズ紙の記事および書籍を基に映画化。

原作は翻訳が出てすぐに読み、映画も楽しみにしていたのに見逃してしまっていたが、Amazon Prime Videoにてようやく鑑賞。

本作では告発者の一人、アシュリー(アシュレイ)・ジャッドさんが本人役で登場する他、サラ・アン・マッセさんやキャサリン・ケンドールさんも出演。もちろん関係者、団体もほとんど実名で出てきて誰にも忖度することがない。
こういう作品を観るたびにアメリカが心底うらやましくなるし、真正面から問題に取り組み、社会のあり方を変えていこうとする気概が感じられる。
キャリー・マリガンさん、ゾーイ・カザンさんともによく、ややもすればシスターフッドものにも分類されてしまうかも知れないが、私はそんな流行りの言葉で片付けるよりはミーガンとジョディのプロフェッショナリズムにいたく感心した。日本のマスコミにいちばん足りていないものがそれであろう。
記事の掲載を差し止めようとするワインスティーンからの電話にも冷静に対応する編集長ディーンもカッコよすぎる。

ワインスティーンのセクハラ被害を伝える際、ホテルの廊下を映し出し、音声のみが聞こえるという演出がなされていたり、ローラの証言の際もホテルの部屋と脱がされた下着などが映っているだけだったりと、直接的な描写がなかったのもよかった。